~ファイル33 元 十両力士 柿田信好の最期~
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「幕下から快進撃で昇進し、今場所は十両優勝ですが、来場所の意気込みなどは?」
「ぶふー、ぶふー。今場所は、つ、疲れましたが、一番一番、来場所もがんばります!」
「このまま、来場所、幕内でまた活躍を期待しています。小田島関でしたー」
「どもっ! ありがとござましたぁっ! うっす!」
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「膝の皿が割れています。靭帯も損傷。もう、これは・・・・・・。引退も視野に・・・・・・」
「な、なぜです。ぶふー。こんなところで、引退するわけには。また、土俵に・・・・・・」
「土俵に? とんでもない! 歩くこともしばらく困難でしょう。残念ですが・・・・・・」
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「小田島関! おやめください! 相手は、一般人の女性ですぞ! 小田島関っ!」
「うるせぇ! この女が先にぶつかったんだ! ぶふー。このやろう。ざけやがって!」
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「破門追放・・・・・・。廃業・・・・・・。どうして。僕はこんなことに・・・・・・。くそうっ!」
「・・・・・・ほっほっほ。・・・・・・お嘆きのようですねェ、小田島関。いや、柿田信好さん」
「? なっ・・・・・・なんだい、あんたは? ・・・・・・ほっといてくれ!」
「もう、力士じゃないんでしょう? その力、別なことで活かしてみませんかァ?」
「はぁ? な、なんなんだ、あんた?」
「簡単なこと。ボクの指示に従って働いてくれれば、お金に困りませんよ。どうです?」
「(どうせ、もう、追放されて、半ば人生終わっちまったんだ・・・・・・。ヤケクソだ!)」
「・・・・・・いいっすよ。で? 僕は、あんたに、何をすれば?」
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「ぐぎゃあ! ぐへぇ。うげぇ。 ・・・・・・きゃあ! ひええぇ! いやぁ!」
「ぶふふー、ぶふふー。悪く思うなよ。か、金と、粉のためだぎゃ。粉、粉!」
「ほっほっほ。・・・・・・いい活躍です、柿田さん。さて、お望みのものは、これですか?」
「粉! 粉ぁ! ぶ、毒島さん。デスアダーの金で、どうか・・・・・・粉を。ぶふふー」
「・・・・・・まだ、だめですねェ。もっと、お金を納めなければ、あなたには、だめですよ」
「な、なんでも、する! ぶふふー、ぶふふー。金、粉、毒島、金・・・・・・」
「ちょっと! 呼び捨てとは、生意気です。・・・・・・躾が必要ですねェ、柿田さん!」
「ぶぎゃ! ぶぎょぉ! ぐへぇ! ひ、ひいいぃぃぃぃ・・・・・・」
「ボクへの不敬は、最終的に、死が待っています。仕事を失敗してもね。ほっほっほ!」
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あの柿田信好は、精神鑑定と経過観察のため、市街地から隔離された施設の部屋にいた。
薄暗い部屋の隅で身を震わせ、よだれを垂らしながら恐怖を感じたように怯えている。
「ぶ、ぶぶぶぶ・・・・・・ぶすじま・・・・・・じんえ。ひいいいぃー・・・・・・。た、たすけてくれぇ」
柿田は激しく錯乱し、鉄格子がついた窓を開け、外へ向かって叫んでいた。
・・・・・・キィィュゥーーーンッ バスウゥッ!
「ぶきゃ! ぼ、ぼぼぼく・・・・・・。あぐ・・・・・・」
その時、柿田の首元に、一本の矢が深く突き刺さった。
その場でどすんと崩れ落ち、ぐるりと白目を剥いた柿田は、そのまま血泡を吹いて息絶えた。矢は、信じられないほどの正確さで、柿田の気管を貫いていた。
「なんだ、今の音は!? ・・・・・・なっ! お、おいっ! 柿田! どうした!」
施設の職員や看守が多数、慌ただしく柿田の部屋へ駆けつける。施設内は騒然となった。
・・・・・・ザッ
「(・・・・・・最期にいい的の練習になったなりよ、柿田信好。・・・・・・廃棄処分、完了なり)」
施設から離れた山の中には、弓を背負って藪の中へ消えて行く男の影があった。




