Maria×Ash×Vampire07
しばらく何も考えずに歩いていると「あ」とレオが呟いた。何だろう、と思っていると何かが猛スピードで脇を通り過ぎていった。少なからず驚いてその通り過ぎていった何かを振り返ると、これまたすごい速さでその何かがバックしてきているところだった。
黒いスポーツカーだった。
スポーツカーはアタシの脇で突然止まり、ウィンドウを下げた。
「おやおや! ホノカはまた一人で出てきたんですか!? いやいや、その格好もまたすごいですね!」
「ずずっ」
サンダーさんだった。相変わらず声が大きい。アタシが何も言わずに見つめていると、サンダーさんは微笑んだ。
「まぁまぁ、無事で何よりですね。どうですか、乗りませんかお嬢さん。お家まで送って差し上げますよ」
止まっていた涙が今度はじわ、と目に浮いてきた。
サンダーさんは運転席から降り、助手席のドアを開けてくれた。アタシはずるずる鼻をすすりながら助手席に乗り込んだ。
アタシがシートベルトをし終わると、サンダーさんは車を発進させた。滑らかな発進だった。
それからしばらく三人とも無言だったけど、レオが唐突に口を開いた。
「……ホノカ頑張ったんだ。サンダー、褒めてやってよ」
サンダーさんがこっちを見た気がした。と、腕が伸びてきてアタシの頭を抱き寄せた。頬がサンダーさんの胸にくっつく。
「よく、よく頑張りましたね。偉い偉いですよ」
子どもにするように、サンダーさんは頭を撫でてくれた。
それだけだったのに、アタシの涙腺は崩壊した。目から涙が滝のように溢れてきた。
「ふうううう……」
サンダーさんは片手で運転しながら、泣き続けるアタシに胸を貸してくれていた。




