97.赤い目の魔獣3
明かりの魔道具を仕込んだ杖と指輪の配布により、ツェーザルの赤い目の魔獣対策はひと段落である。次は赤い目の魔獣の依り代の探索である。これは赤い目の魔獣が帰っていくのを追跡する必要がある。
部屋に戻るとダンゴムシの説得の再開である。
「なあ、アーダ、お前しか、あの赤い魔獣の追跡は出来ない。これは分かっているよな」
「それは分かっています。しかし、私も命を懸けるのですよ、はいご苦労さんでは、割が合いません」
「単刀直入に聞く何が望みだ」
俺がこう言いうと、アーダは顔を赤らめて
「それを私から言うのですか」
なんか変な方向へ話が行きそうであるが、ここでやめるわけにはいかない。
「もう一度聞く何が望みだ」
「わかりました、女は度胸、私の望みはツェーザル様の9番目の妻になることです」
やはりというか、やっぱりこいつは俺の甘美の香りに毒されていた。
「わかった。今アライダたちと協議する」
「どうする、アライダ」
「ツェーザル様はこの羽虫と結婚すると言うのですか」
「仕方ないだろう、それが望みなら。このまま赤い目の魔獣を放っておくわけにもいかないだろう」
「それはそうですが、どうします」
そう言ってアライダはほかの妻たちを見た。
結局妻が8人から9人になるだけであまり変わらないだろうということでこの結婚は認められた。
「妻たちと協議したところ、お前が俺の9番目の妻になることは俺の妻たちに了解された。ただし、式はしないぞ。『ダンゴムシと結婚式を挙げる』と言うと俺が教会から破門される」
「そうですね、私は所詮虫。日陰の存在なのですね。およよー」
こいつは絶対、うそ泣きをしていると思い、無視した。
結局、その夜からダンゴムシは虫かごから出て俺の布団にもぐり込んできた。
「今日は新婚初夜、新婚初夜」と言って浮かれている。
「服は脱がなくていいのですか」
「気持ち悪いから服は着ていろ」
「ひどい、それが新妻に言う言葉ですか」
「9番目の妻になるのは魔獣退治が済んでからだ」
「そんな冷たいこと言わずに、ツェーザル様、こちらを向いてください」
俺がアーダの方を向かなかったら、アーダが飛びあがって、俺の顔の前に下りてきた。羽があるので、自由に場所を変えられるようである。
仕方がないので、そのまま寝た。とにかくずっと魔道具を作っていたので体は疲れている。すぐに眠りに落ちた。
夜半ごろに護衛が部屋に飛び込んできた。赤い目の魔獣が出たそうである。宿の馬小屋が襲われているそうである。宿が雇った冒険者が対応しているようだが、とにかく剣で切っても、槍で突いても、空を切るだけで、攻撃が全く効かないそうである。その間、馬が段々衰弱して、もう2頭が干物になったそうである。今は3頭目が吸われているそうである。
俺たち宿泊客は部屋から出ないようにとのことである。馬だけならあとで何とでもなる。
俺はアーダに
「魔獣が帰りについたら密かについて行くのだぞ」
「分かっています。昼行燈全開で付いて行きます。報告は明日の朝、それでは馬小屋へ行ってまいります」
えらく素直である。すこし拍子抜けしてしまう。
その夜は結局馬3頭が干物になった。そして、馬を3頭干物にすると、赤い目の魔獣は帰っていった。それを、ダンゴムシが追っていった。俺たちも後をつけたかったが、俺たちは「部屋を出るな」と言われている。それに俺の体力ではどうにもならない。護衛達にはダンゴムシのことは秘密である。護衛もメイドもその日は俺たちの部屋で待機している。仕方がないので、後はダンゴムシに任せた。
昼頃になって、ダンゴムシが帰って来た。なんかすごく遠くへ行ったようである。随分疲れている。
「ツェーザル様、赤い目の魔獣の依り代を見つけました。ただ遠いのと疲れているので今日は眠らせてください」
そう言って寝てしまった。
仕方がないので、依り代のところへ行くのは次の日にした。とにかく今から出かけて行ったのでは暗くなってしまう。そうするとまた赤い目の魔獣に襲われる。




