83.ダンジョン(魔道具の改良)
第6階層は虫系の魔物が主で彼らと戦うには魔道具の改良が必須である。
先ず彼らは、リーチが長い、接近戦は不利である。そして、虫系は火に弱い。それと彼らはスピードが速い。それに羽があるので、移動距離も大きい。そして飛び上がれば3次元の動きをする。まことに厄介である。
彼らのスピードに付いて行くのは難しい。これもやはり俺の結界に当たって彼らが動きを止め後を狙うしかない。
とりあえず、スピードのことはさておき、リーチの長いことに対応するため、剣や槍の先端から油を出せるようにした。
剣や槍の先端にポンプをつけて、そこからマジックバッグに収納した油を勢い良く噴射するようにした。噴射する油のスピードを上げるため、剣や槍に魔石をつけて一度に大量の魔力を注げるようにした。その結果油の噴射スピードはかなり上がった。
それから、剣と槍を伸縮式にした。剣は1mの剣が3mぐらいまで一度に延びる。同様に槍は3mぐらいの槍が10mぐらいまで伸びるようにした。剣や槍が折れないように剣や槍には強化魔法をかけた。
この剣と槍で男爵邸の庭で効果の検証をした。公爵家の護衛や元冒険者、アライダ達が見守る中改良した剣と槍の実験をした。
俺が、剣を構え、魔物に見立てた、木の棒に向かって対峙する。まず俺は明かりの魔道具を起動させて相手に目くらましをする。
次に剣が、一気に3mぐらいに延びて、その先から油が勢いよく飛び出していく。俺が「着火」と唱えると、木の棒が燃え上がった。成功である。
次に、槍を構える。先ほどと同様、まずは目くらまし。つぎに槍が10mぐらいまで一気に伸びる。それから槍の先端から油が噴射される。俺が「着火」と唱えると先ほどと同様、木の棒が燃え上がった。これも成功である。
「どうだ、俺の魔道具は。これで第6階層でも十分戦えるぞ」
これを見た一同はそのセコサにあきれていた。
「ツェーザル様の戦い方は本当にセコイですね。まず目くらましで隙を作って、油をかけて火をつける。魔獣相手だから許されるけど、これ人間相手だったら、卑怯とか言われますよ」
「俺は人間相手には戦わない。だからこれでいいのだ。でもこれ盗賊とかが相手だったら、これでもいいのではないか」
「そりゃまあそうですが」
「俺が正々堂々と戦って勝てると思うか」
「無理でしょうね。たぶん瞬殺されます」
「だろう、だから俺はこれでいいのだ」
「お前たちはあの動きの素早い虫の魔獣とどうやって戦うのだ」
「そうですね、今の私たちの力では勝てませんね」
「だろう、だったらこの前作ったお前たちの剣と槍にも同じように油の出る装置をつけてもいいぞ」
「失礼しました。ツェーザル様同じような装置をつけてください。お願いします」
そういうことで、アライダ達にも同様に装置を設置した。ついでに元冒険者と護衛にも同じような装置を設置した。
そして、今日はこの装置をダンジョンで試してみることになった。まず最初は第1階層で試した。
例のごとくゴブリンが出てきた。ツェーザルが前へ出る。例のごとく槍を構えて、目くらまし、ゴブリンがわめいている間に油を出して「着火」ゴブリンが燃え上がった。すると辺りに臭いにおいが充満した。
アライダが鼻を抑えて
「ツェーザル様、ゴブリンを焼くのはやめてください。これでは臭すぎます」
俺たちは第1階層は早々に諦めて、第2階層に進んだ。第2階層は狼の魔獣である。10匹の狼の魔獣が出てきた。
今回もツェーザルが前へ出た。狼の魔獣の方へ剣を向けて、振り回した油が狼の魔獣に降りかかった。ツェーザルが「着火」と唱えると、油のかかった狼が一斉に燃え出した。そして熱さに耐えきれずに、のたうち回った。狼が動きを止めた瞬間にパワーステアリングのスイッチを入れて、剣を振り回しながら、狼の魔獣を倒していった。
「俺にかかれば、狼の10匹ぐらい敵ではないな」
次に第3階層に行った。オークが出てきた。槍を構えて、目くらまし、そのあと油をかけて、「着火」すぐにオークの丸焼きの出来上がり。
しかし、第4階層に行って問題が生じた。ゴーレムが出てきたのである。一応油をかけて燃やしてみたが、意味はなかった。ゴーレムはピンシャンしている。今回は前回同様、パワーステアリングで力任せにゴーレムを引き裂いた。
「今回の魔道具、完璧かと思いましたけど、燃えない魔獣には効かないのですね」
「仕方がない、ゴーレム相手では分が悪い」
次は第5階層へ行った。この階層の魔獣は狼の進化系や猫の進化系である。これも目くらまし、油の散布、「着火」で無事倒すことが出来た。
しかし、魔物が素早い動きをすると、油がかからないことがあった。それで、もう少し魔道具を改良して、広い範囲にも油を散布できるようにする必要がある。そのため、この魔道具の実験は今日はここまでとした。




