82.ダンジョン(第6階層)3
銀嶺の森は「これからカマキリを解体して素材を取る」というので、そんなことをしていると時間がなくなるので、カマキリは俺の持っていたマジックバッグに入れた。「こんな大きな物が入るマジックバッグがあるとは」と言って銀嶺の森が驚いていた。
しばらく進んで行くと蝶が飛んでいた。蝶といっても、大きさは人間の倍くらいある。羽に綺麗な模様があり思わず見とれてしまった。
するとメンバーが
「注意しろ、蝶の鱗粉を吸うと息が出来なくなる」
すかさずメンバーの1人が風魔法を行使して、蝶の鱗粉を吹き飛ばした。
そして、またメンバーの1人が蝶の羽に槍を突き刺した。槍が刺さって動きの少なくなった蝶に、また油をかけて火魔法で焼いておしまい。
「蝶の注意するところはあの鱗粉を吸わないようにすること。今回は風魔法で吹き飛ばしたが、風上に蝶がいるときは風魔法では鱗粉は吹き飛ばせないので、もう逃げるしかない」
「おお、」思わず感嘆のセリフがでる。今回も蝶は俺のマジックバッグに入れた。銀嶺の森のマジックバッグではこれも入らないそうである。
「俺のマジックバッグってそんなに大きいのか」
「当たり前だ、そんな大きいものが入れられるマジックバッグだといくらするか分からない」
すると後ろからアライダが
「さすが、公爵家、マジックバッグも一流ですわ」
「ああ、要らないことを言う」
と思った。
とたんに銀嶺の森のチーフが
「ツェーザル様は公爵家の人間なんですか。失礼しました」
「気にしなくていい。ただのツェーザル、様は要らない」
「でもそういう訳には」
「だったら、俺のことはあまり人に言わない。その代り困ったことがあれば相談に乗る。これでどうだ」
「わかりました。そうしてもらえるとありがたい。たまに変な貴族の相手をすることがあって、そういう時は困ってしまう」
「俺は貴族も平民も平等に扱う。以前は将来は商人つまり平民だな、に成って諸国を回るのが夢だったからな」
「そうなのですか、諸国を回るのが夢だったのですか」
「それがまたなんでダンジョンなんかに挑戦しようとしたのですか」
「俺は剣術は男子で最下位、体力は女子にも負ける。魔法は生活魔法しか使えない。いつも後ろの女子に守ってもらっている。どう思う」
「とてもみじめですね」
「だろう。だから少しは戦えるようになりたいと思ったわけだ」
またしばらく進んでいくと森に入った。森は厄介である。先ず魔獣がすぐに見つけられない。気を抜くと上から魔獣が落ちてくることもあるそうである。
すると、銀嶺の森が警戒態勢に入った。
「これからは慎重に進む。様子が変だ」
すると急に、白い物が飛んできた。それを銀嶺の森の冒険者が剣で切り落とした。そして
「気をつけろ、蜘蛛の魔物だ」
すると目の前に大きな蜘蛛の魔物が落ちてきた。大きさは小型の車ぐらいある。気を抜くと先ほどのように糸を出してくる。この糸に捕まったら引き寄せられて殺される。魔法攻撃を加えようとすると、ぴょんぴょんと飛び跳ねて狙いが定まらない。
どうやって倒すのだろうと思っていると、冒険者が全員松明を持った。そして松明に火をつけて、魔獣を威嚇している。そして冒険者6人が一斉に蜘蛛に向かって松明を投げた。
すると、蜘蛛は飛び上がって上に逃げた。そこをあらかじめ詠唱していた1人の冒険者が火魔法を放った、放たれた火魔法は蜘蛛の体に当たった。
その時ちょうど1人の冒険者から壺が投げられ、壺が壊れて油が蜘蛛の全身に降りかかった。そして火が付いた。そのまま蜘蛛が燃え上がった。
しばらくすると焼け焦げた蜘蛛が倒れた。俺はまた、蜘蛛をマジックバッグに収納した。
今日はカマキリ、蝶、蜘蛛と3匹の魔物を倒した。帰る時間を考えると、もうそろそろ引き上げたほうがいいとのこと。ダンジョンでは無理は禁物とのこと。
ギルドに帰って、解体場に行った。そこでマジックバッグから、カマキリと蝶と蜘蛛を出した。
普通だったら解体した素材ぐらいしか納品出来ないのに俺のマジックバックのおかげで、すべて持って帰ることが出来たので、魔物を解体して得られる金額の半分をもらえることになった。
次の日も同様にして、第6階層の魔物を倒すところを見学させてもらった。彼らと同じようなやり方をすると第6階層でもやっていけそうである。ちなみに鑑定の結果では俺の結界は第6階層の魔物にも有効であった。




