8.校舎裏の騒動
それから何日かして、放課後教室を出ようとしたら、出たところでリーナに会った。前回同様青い顔をしていたので、
「どうかしたのか。何かあったのか」
「ツェーザル様は貴族なんですよね」
「将来は平民だけど、今は貴族」
「だったら、お願いしたいことがあるのだけれど、いいかしら」
「いいよ。美女の頼みなら、いつでもOK」
「ついてきてくれるだけでいいから。貴族がそばにいればひどいことはしないと思うから」
ということで、俺はリーナに付いて行った。普段女生徒が近づくとすぐに逃げ出すツェーザルが他のクラスの女生徒についていくというので、Aクラスのやじ馬が何人か2人に隠れて尾行していった。
前回と同じ校舎裏に行くと、前回同様金髪縦ロールの女生徒とその取り巻き連中がいた。
「リーナ。遅い。授業が終わったらすぐに来いと言ったでしょ」
「私、もう、あなたの言いなりにならない」
「そんなこと言えるの、私は貴族、あなたは平民、口をきいてもらえるだけでもありがたく思いなさいよ」
「口をきくって、あれを持ってこいとか、スパイの様な事をさせるだけじゃないの。もう私、あなたに使われるのは嫌。それに持っていった物もお金を払ってもらってないし」
「あれはあなたが、私にただでくれた物じゃないの」
「そんなことはない。いくらうちの商会で売っている物とはいえ、ただじゃないのよ、お金を払ってもらわないと困る」
「つべこべ言わずに、今回私が要求したのもを早く渡しなさい」
ここまで聞いて俺は
「お金も払わずに、物を持ってこさせるのは泥棒か強盗のすることだ」
と叫んでしまった。
すると、金髪縦ロールは
「部外者は黙っていて。それとも貴族の私に口出しするの」
「貴族でもしていいことと、悪いことがある。お金も払わず、物を要求するのはいけないことだ」
「ええい。口の減らない平民が、制裁を加えてやる」
そう言うと、金髪縦ロールの女生徒とその取り巻き連中から、攻撃魔法が飛んできた。
一瞬のことで驚いてしまった。
女性が多いということで、昼行燈を全開にしていたこともあって、よけるのが一瞬遅れた。俺は攻撃魔法を食らって、吹き飛んだ。幸い擦り傷と軽いやけど程度であるが、問題は服が少し燃えたことだ。すぐに火は消したが、新しい服を申請するというのは問題がある。服はもらってまだ1か月くらいしかたっていないのだ。「事務室へ行くのが嫌だな」と思った。
金髪縦ロールが
「ふん、思い知ったか平民。これに懲りたら変な口出しはしないことだな」
と言ったら、
後ろから
「大丈夫かツェーザル」
声のした方を見るとAクラスの連中がいる。声をかけてきたのは公爵令息だった。
すると金髪縦ロールが慌て始めた。
「なぜ、ベルンハルト様がここにいるのですか」
「ツェーザルが放課後、女生徒と2人でふけたのだ。こんな面白い見世物、他にないじゃないか。そう思ってついてきたのだが、ツェーザルがいきなり攻撃魔法を食らって吹き飛んだ。なぜ、ツェーザルに攻撃魔法を放った」
「平民が、私に意見したからだ」
「言っておくが、ツェーザルは平民ではないぞ。俺と同じ公爵令息だ。姉は生徒会長のミヒャエラ様だ」
これを聞いた金髪縦ロールはその場にへたり込んでしまった。
「大事になってしまったな。これどうなるのだろう」と思った。その後、学院の教師もやってきた。そして問題のミヒャエラ姉さんもやってきた。姉さんは俺の姿を見ると
「どうしたのツェーザル、傷だらけじゃないの」
「こんなの、つばでも付けとけばすぐ治るよ」
「そんなことはない、返って治癒士に治療してもらわないといけない」
ミヒャエラ姉さんが、あんまり騒ぐもので、結局俺と姉さんは後を教師やベルンハルトにませて、公爵邸へ帰って来た。その後、父に事の経緯を話した。ミヒャエラ姉さんの話ではあの金髪縦ロール令嬢は伯爵家の令嬢で、これまでもいろいろよくない噂が聞こえてきていたそうである。
その日の夜に伯爵家の当主と令嬢が謝りに来たが、父は会わなかった。「ことが落ち着いてから、正式な謝罪を受ける」と回答したとのこと。
それからしばらくして、学校側の処分が決定した。いきなり攻撃魔法を放った金髪縦ロールとその取り巻きの令嬢は1か月の謹慎処分。また、金髪縦ロールは他の生徒に金品を要求していたということでさらに、1か月の謹慎処分が追加された。またこれまでにもらった金品は伯爵家が代金を支払ことになった。
その後、伯爵家の当主と令嬢が再度謝罪に来た。父はそれを受け入れた。結局その金髪縦ロールは学院を退学した。この間俺は注目を集めるので、昼行燈を全力でかけ続けた。正直言って、金髪縦ロールはどうでもいいが、昼行燈全開これが一番つらい。




