79.困窮する婚約者たちの実家と対策(砂糖の製造)
他にも何か対策が取れないか再度協議した。
「テンサイは作られていないのか」
「テンサイ、聞いたことがありません」
「飼料用のビートだが、大根に似ていて根が大きなかたまりになる。食べると少し甘いのだ」
「馬のエサですか」
「そうだ」
「よく知りません」
「まあ、いいや、アンナとリズの実家で大根に似たものでかじると甘い馬のえさがないか聞いてくれ」
その後、アンナとリズの商会から大根に似た馬のエサが届けられた。2つともかじってみると少し甘い。鑑定をかけると「テンサイ:馬のエサ」と出た。
さらに鑑定をかけて、「砂糖の分離工程」と唱えると
1.テンサイを細断して土鍋に入れて煮込む工程、
2.石灰や活性炭で不純物を除去する工程、
3.出来た糖液を煮詰めて砂糖の結晶を作る工程
4.結晶から砂糖を分離する工程、遠心分離機が必要
と出た。
何とか砂糖は出来そうである。
「アンナとリズの商会で探してもらった馬のエサから何とか砂糖が取れそうだ。工場は秘密にしたいので、この男爵邸に作る。作業員は、新たに奴隷を買ってその奴隷に作業させる」
「この馬のエサから砂糖が取れるのですか」
「そうだ。どれくらいとれるかはやってみないと分からない。砂糖が取れるとなるとテンサイの買取価格も上がるだろう」
その後、俺は砂糖を製造する工場を作ることにした。
1.まず、大きなイモ洗い機を作って、その中でテンサイを水洗いする。このイモ洗い機は自動で動くように中にこれまで作った回転の魔法陣を設置した。作業員は、まずテンサイを軽く水洗いして大きな泥や汚れを落とす。そして、イモ洗い機に入れ、スイッチを入れると、きれいに水洗いしたテンサイが出てくる。
2.大きな裁断機を作って、細かく切る。これも自動で動くようにした。1.で作ったテンサイがそのまま裁断機を通るようにした。
3.大きな土鍋を作って煮込む。これも、2.作った細切れのテンサイが土鍋に入るようにした。煮込む火力は魔石にした。
4.石灰を加えて、下に沈殿したものを取り除く。(あく抜き)この石灰投入も自動で投入されるようにした。そして、沈殿した物を取り除く工程は上澄み液が別の土鍋に流れていくようにした。
5.活性炭を加えて、沈殿した物を取り除く。(臭い物質の除去)この活性炭投入も自動で投入されるようにした。そして、沈殿した物を取り除く工程は上澄み液が別の土鍋に流れていくようにした。
6.残った糖液を煮詰める。これも煮込む火力は魔石にした。
7.遠心分離機で砂糖を分離する。これも自動で、6.で作った砂糖の結晶が遠心分離機に行くようにした。
中々ハードである。鑑定をこれほどかというぐらいに駆使して何とか工場を作った。これらの工程は秘密保持の関係から、ガラスの製造と同様、マジックバッグの中で行うようにした。
この装置は盗まれるといけないので、俺の男爵邸の1階に部屋を作ってそこに設置した。そして部屋には関係者以外は入れないように侵入防止の結界を張った。また、機械にも盗難防止用の結界を張った。
作業員は、軽く水洗いして大きな泥や汚れを落とす。そして、砂糖の製造装置に入れる。スイッチを入れると、砂糖が出てくる。これでなんとかいけそうである。
なお、この水洗いの工程はアライダ達の領地で収穫した際にしてもらうことにした。そして、マジックバッグに入れて持ってきてもらうことにした。すると工場の作業員はマジックバッグのテンサイを砂糖の製造装置に入れる。すると砂糖が出てくるようになった。それで追加のマジックバッグを渡した。
出来た砂糖は前世の砂糖ほど白くはないが舐めると甘いので、粗悪品としてなら十分であろうと思われた。
「先日の農地を4分割農法の4月~11月とうもろこしをテンサイ(種取りの場合は8月採種)にしろ。そして、お前たちの領地で生産されたテンサイは俺のアセビ商会が買い取る。
買い取る量は砂糖の売れ行きが良ければ多いし悪いと少ない。とりあえず各領地200tにしろ。この量ならアセビ商会ですべて買い取る。
マジックバッグを別途貸し出すので、それに入れて持ってきてもらえればいい。買取価格は砂糖がどれくらいできるかによって変わるが馬のエサよりは高くなると思う」
男爵邸に作った砂糖工場ではテンサイ10tで砂糖1tが出来た。砂糖は1kg銀貨1枚と小銀貨5枚すなわち1t金貨150枚でアンナとリズの商会が引き取ってくれることになった。これを銀貨2枚で販売するそうである。
そこでテンサイ1tにつき金貨7枚でアライダ達の領地から買い取ることにした。するとこの1tのテンサイから砂糖が100kgできる。すると金貨15枚でアンナとリズの商会が引き取ってくれる。
各領地200t、各家は金貨1400枚の収入となる。一方この砂糖の生産はかなり大掛かりなのとなる。テンサイ1000tから生産される砂糖は100t、アンナとリズの商会への売り上げは金貨15000枚となる。
アンナとリズの商会長に聞いた話では「量が少ないので、これぐらいなら問題にならないであろう。様子を見てだが、今後はもう少し増やしても問題ないであろう」とのことであった。
工場では石灰と活性炭も購入する必要があるし、工場で作業する人間の給金も発生する。赤字にはならいがもうけも薄い。すべて、アライダ達の領地の救済のためである。これをアライダ達に説明すると泣いて喜んだ。
アライダ達の実家の救済策としてマジックバッグを貸し出した。これは一定の効果を上げたようである。まず、輸送費が激減した。その分だけアライダ達の実家の取り分が増えた。また、鮮度が落ちないため、売れ行きも持ち直したようである。
農地を4分割する農法とテンサイの生産はまだ始まったばかりで、結果の検証は来年以降である。これらについては、とりあえず、様子見となった。なお、マジックバックの賃貸料は領地の経済状況が回復するまでは無料とした。




