68.男爵邸1階の活用(室内でできる遊びの考案)
屋外実習が終わって、またいつもの日常が戻ってきた。俺とアライダ達は気楽である。学院を卒業したら結婚して、後は優雅に諸国を旅してまわる。ポーションの収益だけで遊んで暮らせる。結婚相手も決まっている。
しかし、就職の決まっていない生徒や結婚の決まっていない女生徒は必死のようである。時々、アライダ達が近づく女生徒に睨みを効かせている。
そんな時は昼行燈全開、しかし、これが中々難しい。獲物を狙う肉食獣には俺は子羊に見えるようである。最近はやたら女子に話かけられる。
「あのポーション1本売れるとツェーザル様にいくら入ってくるのですか」
「そういうことは、売っているアンナやリズに聞いてくれ」
「アンナやリズが教えてくれるわけがないじゃないですか」
「それなら言えない」
「ねー、わたしを愛人にしてくれない」
「もう妻は決まっているので無理です」
「8人が9人になっても変わらないじゃない」
そんな話をしていると、やっとアライダ達が戻ってきた。アライダが睨みつけるとその女生徒はすごすごと離れていった。
「ツェーザル様、変な女に捕まってはいけませんよ」
「わかっている。しかし、中々離れてくれないのだ」
「もっと、厳しく言ってください」
「わかっているのだけれど、声を荒げるのは大人気がないし」
男爵邸に帰るとほっとする。俺は俺の男爵邸からあまり出ない。アライダ達の男爵邸に行くとそこのメイドたちに惚れられても困る。俺の男爵邸の女性は皆奴隷である。『ご主人に惚れることを禁ずる』と命令してある。
俺が、アライダ達の男爵邸にあまり行かないので、アライダ達がこちらに来ることが多い。夕食は大抵こちらで一緒に取る。
俺のところでは奴隷も一緒である。大食堂でみんなで一緒に夕食を取っている。最初はアライダ達貴族は少し戸惑っていたが最近は慣れてきたようで何も言わない。
夕食後、適当にだべって、甘い時間を過ごす。婚約者とはいいものである。婚約者だから甘美の香りは抑えなくてもいいだろうと思い、昼行燈弱めである。そうすると、アライダ達はもう俺から離れられないようである。帰りが遅くなって、メイドが迎えに来ることもある。
俺の甘美の香りは強力なスキルである。なんせ猫でも魅了するのである。これを全開にしたらどうなるのだろう。ふと思うときがあるが恐ろしくてできない。
俺の男爵邸は1階がほとんど空きスペースである。そこで、俺が考えたのが、この空きスペースを利用して、屋内でできる遊びが出来ないかということである。
工房に頼んで、卓球台とネットとラケットを作ってもらったのだが、この世界にピンポン玉はない。前世の記憶では卓球は確か最初はピンポン玉の代わりにコルクを使ったはず。ということで、コルクを丸く削って、コルクを球にして、アライダ達と遊ぶようになった。
俺達だけでしていてもつまらないので、うちの男爵邸の奴隷やアライダ達の男爵邸で働く執事やメイドや護衛にも教えた。
競技人口が増えてきたので、卓球台やネット、ラケットは数を増やした。そうしたら空きスペースがかなり埋まった。なお、卓球はアンナとリズの商会で商品化して売り出すことになった。
バトミントンが出来ないかと思ったが、さすがにこれは天井が低くて無理だと思った。
ビリヤードは前世の記憶では「発祥は古代ギリシアのはず」と思って探したら、この世界にもあった。そこで、ビリヤード台も発注して、空きスペースに設置した。
ここまで来ると俺の男爵邸の1階は屋内球戯場である。
ついでだと、かるたも作って遊べるようにした。この世界に百人一首はない。そこで、以前作った『前世の葛〇北〇の〇〇百景』にちなんだ地名を書いた木の板を作った。そして、その地名の説明を書いたガラス板を作った。
読み手の代わりに、操作手が投影機のガラス板を取り換える。するとそれにちなんだ地名を書いた板を取り合う遊びを考えた。
ガラス板に書かれた説明はクイズのようなものである。例えば以前行った旅行の場所で言うと「ライラント王国でダイヤモンドと宝石の加工と取引で有名な都市は」という問いに対して取り合う木の板は「アントリーペン市」このような感じである。
これだと今後俺達が行く地名を覚えるのにも役に立つ。一石二鳥だと思った。ちなみにゲームの名前はかるたではこの世界の人間は分からないと思ったので王国百景と名付けた。
そうしたらこの遊びも販売したいとアンナとリズが言ってきたので、商品化することになった。これの取り扱いはアンナとリズに任せた。
男爵邸で、冬の間にできる遊びを考案するツェーザルであった。




