57.ツェーザルの婚約
執務室を出ると母上とあった。言いたいことがあるようで客間に通された。
「もうお父様への報告は終わったのですか」
「はい、ブルヘンジュ伯爵のところへ行ったことについての報告は終わりました」
「そうなの、ツェーザルはブルヘンジュ伯爵のところへ行っていたの」
「そうですが、今回の依頼は父上を通しての依頼だったので、父上は知っているはずですが」
「そうなの、旦那様は何も言ってくれなかったから」
「そうでしたか、何分急だったので、母上には挨拶する暇もなかったので、すいませんでした」
「それはいいのだけれど、あの一緒に叙爵した娘たちが屋敷にやってきて、ツェーザルの行先はどこかと執拗に聞くもので、少し弱ってしまって、それで、あの娘たちをどうするつもり」
「どうって、そのままですが」
「結婚する気はないの」
「今のところその気はないのですが、だって学院を卒業したら私は商人になって諸国を巡るのですよ。付いて来いなんて言えないじゃないですか」
「でも、あの娘たちはツェーザルに付いて行くって言っていたわよ」
「………」
「そろそろ諦めて、あの娘たちと結婚したら、ほかに付き合っている娘もいないのでしょう。それにあの娘たちとは昼休み一緒に食事をしているという話だし、貴族令嬢だから噂になると傷がつくし、彼女たちがかわいそうだわ」
「わかりました。諸国を巡る旅に随伴してくれるなら、結婚します。ただ、8人すべてと結婚するのはさすがに無理でしょう」
「そうでもないみたい。子爵令嬢を正妻にして、後は側室でいいって言っていたわ」
「それで、いいのですか。仮にも男爵位を授かっているのですよ。側室にならなくても、婿を取ることもできるし」
「そうでもないみたい。金目当ての婿よりはツェーザルの方がいいって言っていたわ。私としてはうれしかったわ」
「そうですか、彼女たちがそれでいいなら」
「いいわね、この話進めるわよ。後で嫌と言わないでね」
「もし、旅先で私の側室になりたいという娘が現れたらどうします」
「変なこと聞くのね。結婚している男に側室にしてくれなんて言ってくる娘はいないわよ」
「でも、彼女たちは側室でもいいから私と結婚したいと言っているのでしょう」
「そうね、変ね」
「でしょう。この先そんな娘が現れて、私に付きまとったらどうします」
「どうしますって、私は結婚しているときっぱり断ればいいと思うけど」
「断っても納得しなかったらどうします」
「その時はあの娘たちの判断に任せるわ、8人が9人になっても変わらないでしょう」
母上は考えることをやめたようである。
「再度、あの娘たち会って確認してみます。それでよければ話を進めてもらって結構です」
「それじゃ明日あの娘たちを屋敷へ呼ぶ?私も立ち会うから」
「すぐに来ますかね、来ると思うわ。ツェーザルが帰ったと言えば飛んで来ると思うわ」
その後、公爵家から使いを送ったら、明日朝一番で伺うとの返事であった。
次の日朝一番でアライダ達がやってきた。エラも一緒である。対応は俺と母上がすることになった。父上は俺がアライダ達と結婚しても異存はないようで、相手の親が来ていないと聞くと立ち会わなかった。母上が
「急に呼び立てしてごめんなさいね。それで、ツェーザルのことなんだけど、貴方たちはどう思っているの」
すると、みんなを代表して子爵令嬢であるアライダが
「私たちは、ツェーザル様と結婚したいと思っています。ツェーザル様が学院卒業後旅に出るというなら、私たちもそれに付いて行きます」
「俺と結婚しても本当にいいのだな。アライダは正妻だからいいとして、ほかの者は側室になるのだぞ」
「はい、私たちは元々そのつもりですから。私たちを平等に愛してくれるなら側室でも構いません」
「でもお前たちは、エラ以外は爵位持ちだぞ。婿を取ることもできるし」
「この爵位はツェーザル様のおかげでもらえたもの、問題ありません」
「そこで、ご両親はどう思っているのだ」
「両親も私たちの意見を尊重してくれるそうです。学院に入ったのもいい旦那様を見つけるためのもの。男爵家の娘がいけるところなど知れています。高位貴族に嫁ぐのであれば側室も視野に入れていました」
「いいのだな」
「はい」
「それから、1つ聞きたいことがあるのだが、俺はどうも女子に好かれるたちのようで、この先俺の嫁になりたいと言ってくる女子が現れるかもしれない。その時はどうする」
「どうすると言われても、その時なってみないとわかりません」
「わかった、その時の対応はお前たちがしろ。それでもよければ、お前たちを嫁にする」
「ありがとうございます」
「ということなので母上、この結婚の話を進めてください」
その後は、婚約の話になって、年度末休暇の終わりにアライダたちの両親を呼んで正式に婚約を結ぶことになった。結婚式は学院卒業後の8月にすることになった。こうしてツェーザルの結婚が決まった。




