55.問題点の検証と今後の計画
昨日は本当は午前中、魔道エンジンと船の見学の後、伯爵邸で問題点の洗い出しをする予定であったが、午後は小船の性能の調査をしたので、問題点の洗い出しは今日に持ち越した。今日は朝から、アンゼルム様とアポロニア様、それに伯爵様、俺、船の艦長や船員が集まって、会議である。
全員が集まると、伯爵様が挨拶をした。
「今回は、魔道エンジンを搭載した我艦隊の問題点や改善点を明らかにするということで、王都からアンゼルム様とアポロニア様それにツェーザル君が来ておられます。昨日は魔道エンジンを搭載した軍艦と連絡用に用いている小型艦の試乗をしていただきました。
現地でも申し上げたのですが、現在軍艦は魔道エンジンを搭載した場合スピードが出ることから、そのスピードに見合った強度への改良を行っています。どの程度にすればいいのかは、試行錯誤なので、少し時間を頂ければと思っています。
それから、昨日出てきた案なのですが、昨日の実験で小型艦についてはスピードをこれまでの時速20ノットから30ノットにしても問題ないことが明らかとなったので、今後は連絡用でなく、これも戦力として運用したいと思います。
具体的には小型艦に魔法士を乗船させて相手の艦に攻撃魔法を放って、急速離脱、これを艦隊として行いたいと思います。幸い、小型艦用の魔道エンジンはツェーザル君が王都に帰ったら100ほど作って送ってくれるというので、こちらも100隻の小型艦を急遽作りたいと思います。昨日までの状況をまとめると、このようになるのですが、何か意見がありますか」
すると、アンゼルム様が
「大型艦の強度の確認にはどれくらいかかるのか」
「現在作っている艦が完成するのが晩秋なので、年内には強度の確認が完了すると思います」
「そこから軍艦の改造にかかるとすると、伯爵家の造船所では1年に軍艦は何隻作れるのだ」
「5隻程度です」
「そうか、わかった、軍艦の仕様が決まったら教えてくれ、他の貴族家の造船所にも新しい軍艦の建造を依頼する」
「他家へも依頼するのですか」
「そうだ、早急に我国の海軍を増強する必要があるのだ」
「また、どうして」
「ここだけの話だが、北のデンランド王国がきな臭いのだ。何やらおかしなことを考えているという話が聞こえてくる」
「今魔道エンジンを搭載した軍艦は何隻あるのだ」
「30隻であります」
「そうか、それではしばらくは魔道エンジン搭載の旧型艦と小型艦で対応する必要があるということか。ところで、小型艦はどれくらい作れる」
「小型艦でしたら、今年中に30隻程度作れます。それに小型艦であれば、今連絡用に30隻運用していますし、民間の漁船でもよければ、今年中に100隻は確保できます」
「さすがに漁船はまずいだろう」
「あの船は大きさ的には漁船程度ですし、船自体はあまり違いはありませんから」
「わかった、そのあたりは伯爵に任せる。ツェーザル君魔道エンジンはどれくらいできるのだ」
「大型艦の魔道エンジンは王都の工場で月5つできます。小型艦ですと1か月もあれば100個できます」
「それでは、今年中に小型艦が100隻確保出来たら、先ほど言った小型艦に魔法士が乗船し敵艦に魔法攻撃を行って急速離脱する訓練を行ってくれ」
「わかりました」
伯爵が
「艦長、今の議論を聞いて何か言うことはあるか」
「私の様な者が発言していいのですか」
「構わない。強い海軍を作るには現場の意見が重要だ」
「わかりました。それでは2点ほど、魔道エンジンはすごいのですが、相手にこのエンジンのことを悟られると、対策を講じられる恐れがあります。それで、帆を上げた状態から、魔道エンジンへ切り替えるタイミングはこちらの判断に任せてほしいのですが。最初から魔道エンジンを使うと、相手が警戒して近寄ってこないような気がするので」
「そうだな、その判断は艦長に任せる」
「それから、大型艦での戦闘は白兵戦を行うのですか。魔道エンジンを搭載の軍艦は貴重なので、白兵戦は相手が勝つ場合もあるので、出来たら避けたいのですが」
「そうだな、もし相手に強力な魔法士がいると貴重な魔道エンジン搭載の艦を奪われる可能性もある」
「この場合どうしたらいいと思う」
「そうですね、接近して火矢を放って、そのまま相手の艦隊を突き抜ける。そんな戦い方になるのかな」
「そうだな、そんなやり方になると思う。とにかく、今後の魔道エンジン搭載艦の戦法は白兵戦は極力避ける。これでよいか」
「はい、それでいいです」
「ほかに何かありますか。なければこれで会議を終了します」




