54.小船の試乗
港に戻ると、そこで昼食をとった。午後はどうするかという話になって、昨年俺が作った小船が時速20ノット、時速37kmぐらい出るというので、アンゼルム様とアポロニア様に体感してもらうことになった。小舟が係留してあるところに来た。
「これが、時速20ノット出るという船か。ずいぶん小さいな」
「はい、ツェーザル君が改良してもいい船を紹介してと言ったので、軍の連絡用に使っている小船を紹介しました。その後、この船にツェーザル君が魔道エンジンを設置しました。魔道エンジンは軍艦のよりもずいぶん小さいです」
早速アンゼルム様とアポロニア様と伯爵と小船の艦長それに俺と護衛の騎士が数人乗り込んだ。
「この船は船底に穴をあけて、スクリューを設置したので水が入って来るのではと思っていたのですが、心配するほどでもなく入った水はバケツで汲みだせば問題ない状況です」
「これが魔道エンジンか。先ほどの軍艦の物と比べるとかなり小さいな」
「それでは出航します」
艦長がそう言って、船の操作を始めた。まず、錨を引き上げて、操船室に入ると、魔道エンジンのスイッチを入れた。舵を操作しながら、魔道エンジンの出力を上げていく。すると、徐々に船のスピードが上がる。
「あれ、もう先ほどの軍艦のスピードと同じくらい出ているのではないか」
「そうですね、船が小さい分、船の操作も楽ですし、これくらいのスピードでも十分操船できます。それに船が小さい分、加速も早いです。それに、小回りも効きます」
「連絡用としてはもってこいと言うところか」
「そうですね。出来れはもう数隻ほしいところです」
「いいですよ、王都へ帰ったら小船用の魔道エンジンをいくつか作って送ります。いくつぐらい作ればいいですか」
「そうだな、新たに作ってくれるのなら10とか20とかまとまった数が欲しい」
「それらいっそのこと、この小船で艦隊でも作りますか」
「そうだな、それもありかもしれないな、小舟に魔法士を乗せて、相手の船に近付いて、魔法を放ったらすぐに離脱、小回りが利く分相手から攻撃されにくいだろう」
「そうですね、それならいっそのこと100ぐらい作りますか」
「そうしてもらえるか」
「わかりました。王都に帰ったら作って送ります」
その様な話をしていたら、港を出たので、船はさらに加速した。早い、顔が風を切っている。
「今どれくらいのスピードが出ているのだ」
「これで、時速20ノット、時速37kmぐらいだと思います」
「最初に言っていたスピードか。確かにこれは早いな。私も長い間船に乗っているが、こんな早い船は初めてだ」
すると船を操作している艦長が
「船が壊れてもいいのなら、もう少しスピードを上げますが。いつもはこのスピードなのですが、船が小さいので、さらにスピードを上げても船は壊れないのではないかと思うので、絶対ではありませんが。もし壊れてもいいと伯爵がおっしゃればの話ですが」
「わかった、やってくれ」
「それでは加速します」
そう言って館長は魔道エンジンの出力をさらに上げた。すると船はさらにスピードを上げた。
「船は何ともないみたいですね。今のスピードはたぶん時速30ノット、時速55kmぐらいだと思います」
「時速30ノット」
そう言って、アンゼルム様とアポロニア様が絶句している。
「このスピードで攻撃されたら、相手の船は対応できないですね」
「しかし、これだけ早いとこちらの魔法士も相当訓練を積まないと相手の艦に魔法攻撃を当てられないのではないかな」
「そうですね。相当な訓練を要します」
「大丈夫だな、伯爵。魔法士を十分鍛えてくれ」
「わかりました」
その後、夕方になってきたので、港に戻って来た。その後伯爵邸に戻って、今日の予定は終了。再び夕食会。
「もう伯爵夫人が俺をにらむのをやめてほしい」と思った。食事がのどを通らない。




