51.いつもの日常
学院際が終わってまたいつの日常が戻ってきた。ツェーザルは平日は学院に行って空気になって、週末はジオラマ造りとダンジョンがよい。これはこれで充実している。
学院での授業は、もう必修科目はないので気楽である。授業中に寝る回数も増えてきた。とにかく気が抜けているのである。騎士団や国の文官として採用を狙っている者は必死である。かなり成績を気にしている。学院の成績は採用の合否にも影響するようである。上級貴族の場合コネもあるだろうが、下級貴族にはそんなものはない。だから下級貴族ほど成績を気にしている。ツェーザルの場合、魔道具とポーションの収益で何もしなくても暮らしていける。それに男爵位を拝命しているので、その給金もある。将来は安泰である。後はお嫁さんをもらうだけである。これについては学院を卒業してから旅先で出会った娘と決めている。
問題は昼食をこれまで1人で取っていたのを、女子8人と取るようになったことである。それと母が、早く身を固めろとうるさいことである。兄2人も婚約者がいる。姉2人は嫁いでいった。後は俺だけである。それに俺がいろいろやらかしてかなりの高収入というのも、問題のようである。毎月かなりの綴り書きが寄せられているそうである。叙爵するまでは婿の話が多かったようであるが、叙爵してからは、それ以外も増えたそうである。それで実家にはあまり帰らないようにしている。すると、たまに母上が男爵邸に来ることがある。学院から帰ると、母上がいてびっくりすることがある。そのようなときは決まってアライダ達がやってきて母上の機嫌を取っている。
あと、学院生活では生徒会がある。姉は会長をしていたが、俺は何もしていない。以前誘われたが、基本俺はぼっちの生活をしていることと、剣術、魔法、体力どれをとっても最下位かそれに近い状態の俺に役員が務まるわけがない。俺が人並み以上なのは家柄だけだと言って断った。結局生徒会はベルンハルトが会長をするそうである。
ジオラマは、車道と白線は出来た。その横の歩道もできた。今は歩道の横のビルを作っている。これが難しい、遠近法を用いているために少しゆがめて作らなければならない。作っては直し、作っては直しの繰り返しである。ビルの躯体もさることながら、窓や庇なども正確には少しゆがめなければならない。
それはいいのだが、問題はビルに書かれている文字である。前世の文字を使うとこの世界の人間には読めない。悩んだ挙句、この世界の文字を使うことにした。なんせ3日に一度はアライダ達が来てジオラマの進捗具合をチェックしているのである、前世の文字なんぞ使おうものなら、俺は変人扱いされる。要らぬトラブルは避けるに限る。
ダンジョンに行くとたまにマルテ達に会うことがあるが俺がいまだに2階層でまごまごしているので、俺をもっと下の階層に連れて行こうとは思わないようである。元冒険者の奴隷に言わせると、もう少ししたら3階層へ行けるだろうとのことである。
あれから槍の使い方がうまくなった。突いたり、切ったり縦横無尽である。それに、魔法陣に流す魔力を俺からも直接流せるようにしたため、槍のスピードも変幻自在である。目くらましの明かりの魔道具も、後ろに反射板をつけて、光の方向を前方に収束させるようにした。これにより、狙った魔獣の目を狙えるようになった。これまでは光は全方向に向かっていたので、光を強くすると俺まで目がくらんだが、光の方向を制御できるようなったので、俺は目がくらむことはなくなった。
槍に改良を加えたことから、やっと元冒険者の許可が出て、今日から3階層である。3階層ではオークやビッグボアが出るそうである。これが倒せるようになると冒険者としては、俺の場合やっと半人前、俺の場合は魔道具に頼っているので1人前にはなれないそうだ。
「言わなければわからないだろう」
と言ったら、
「そんなことを言われても評価は適正にしないと、下手したら死ぬので」
と言われた。
俺を思っての評価ということで素直に受け入れることにした。やっと半人前、冒険者として1人前になるのは先が長そうである。




