47.工場巡り
次の日男爵邸に帰って、またジオラマ作りに没頭した。やりだすと、どうも凝る性分のようである。やめられなくなる。
それからしばらくして、ブルヘンジュ伯爵からマジックバッグに入れられたスクリューと舵が送られてきた。俺は送られてきたスクリューと舵に強化魔法をかけた。そして、またマジックバッグに入れて、ブルヘンジュ伯爵に送り返した。
今度は何も言ってこないので、うまくいったようである。これでまた、ツェーザルの仕事が増えたのである。
それからまたジオラマ造りを続けたが、このまま男爵邸にいるとまたアライダ達がやって来るような気がした。そこで、今度は王都にある俺が関係している工場を回ることにした。
まず、明かりの魔道具の工場、これは2つある。行ってみると順調なようである。しいて言うならば、注文に生産が追い付かないことのようだ。職人が忙しそうにしている。邪魔をしても悪いので、早々に引き上げた。
次に行ったのが振動の少ない車輪を作る工場である。工場の支配人に
「今のところはどうだ」
「これは、ツェーザル様、今のところ問題は起きていません。馬車の改造も、ツェーザル様が提案してくださった、納品後、しばらくして不具合を調整するというやり方は非常にいいです。これでほとんどのトラブルを防ぐことが出来ます」
「そうか。それはよかった」
ここも問題はないようである。
次に船の魔道エンジンの工場である。ここでは俺が、魔法でステンレスの軸とボールベアリングの玉を作っている。それらの品については事前に大量に渡してあるので、今すぐどうと言うことはないが、将来的には、ここの職人に作らせたいものである。しかし、どう考えてもここの職人には作れそうもないので、当面はあきらめることにした。
それから、スクリューと舵の魔法による強化であるが、ここの職人にやらせてみたがやはり不十分であった。ここの職人にできるのなら、ブルヘンジュ伯爵のところでも出来るはずである。俺の掛ける強化魔法は特別なのだろうか。少し検証をすることにした。
まず、ここの職人に、木の板に強化魔法をかけてもらった。次に俺が同じような木の板に強化魔法をかけた。そして、鑑定で比べてみた。すると、
職人が強化魔法をかけた木の板:材質強化(表面のみ)
俺が強化魔法をかけた木の板 :材質強化(樹脂注入と木材の全体的な緻密化と圧縮強化)
職人の強化魔法は表面のみであるのに対して、俺の強化魔法は木材の空隙に樹脂を注入し、そのうえで圧縮強化をして緻密化しているようだ。密度が上がれば、強度は上がる。こんなことが無意識で行われていたなんて、驚きである。これは誰にも言えないと思った。
結局、スクリューと舵の魔法による強化も俺以外出来ないということが分かってがっかりするのであった。
次に、ポーションの工房に行った。ここでの俺の仕事は、空になった魔石に魔力を充填することである。これも大量に俺の魔力を充填した魔石を渡してある。薬師に
「ポーションの生産は順調か」
「あ、ツェーザル様、いらしていたのですね」
「いや、今来たところだ。魔石は足りているか」
「はい、今のところ足りています。それに、もうじき春なので、注文も減ってくると思うので、やっと楽になります。冬場はきつかったです。注文に生産が追い付かなくて、注文してくる人も命がかかっているので、強い口調で言ってくるので、怖かったです。商会長は来年に備えて、ポーションを作り置きすると言っています。そうしないと冬場は乗り切れないと言っています」
「今から作って大丈夫なのか」
「なんか、ツェーザル様から借りているマジックバッグに入れて行けば、時間停止機能付きだから問題ないだろって」
「そうか、それならよかった」
こうして一連の工場巡りは終了した。ゲームと食品の工場は公爵家が関与していないということでやめた。




