46.ジオラマ製作(途中で挫折)
前世の自分の住んでいた都市を記憶にある限り思い出して、まず紙に書いてみた。そして、それをジオラマにする場所に張り付けてみたが、あまり大きくすると建物の製作に時間がかかるので、1/200のスケールで200m四方ぐらいを作ってみることにした。これだと模型の大きさは1m四方となる。
そこで遠近法をどうするか迷ったが、やはり立体感を出すには必要ということで1点消点で作ることにした。紙を張り付けた後ろの壁に点をつけてそこへ向かって投影線が集まるようにした。
ジオラマで再現する場所は前世の記憶にある自分の住んでいた都市の駅周辺とした。こうやって、まず下絵を描いていったのだが、やはり記憶のあいまいな部分が多く、うまくいかない。途中からはもう創造の世界になってしまった。
下絵を書いたら、次はそこに張り付ける模型だが、まずはアスファルトの道路を作ることにした。前世だと紙粘土を使ったように思うが、ここにはそんないいものはない。しかし、この世界には魔法がある。魔法で、前世の記憶にあるようなアスファルト道路を作って下絵に張り付けていったが、手前は大きく、奥は小さくしようと思うと中々難しい。最後は張り付けてからナイフで削って小さくするようにして何とかアスファルト道路を作った。つぎは道路の白線であるが、これも手前は大きく奥は小さくしないといけない。結構骨の折れる作業である。そのうちに嫌になってきた。今日はここまで、また寝ることにした。
また、居間に戻って寝ていると、アライダたちがやってきた。俺が何をしているのか気になるようである。玄関を入って、1階の作りかけのジオラマを見て
「これは何ですか」
「これは、模型だ」
「変わった物ですね。何の模型ですか」
「こんな町があったらいいなと思って作ろうと思ったのだが、疲れたので休憩していたのだ」
「そうですか。この灰色のものは何ですか」
「これは道だ」
「そうなのですか、でもこれ何か遠くを見ているように感じるのですが」
「その遠近感を出すのが大変なんだよ」
「そうですか、うまくできているように思います」
「そうか、褒めてもらえると嬉しいよ」
その後、2階の居間に行って、お茶を飲んで、とりとめのない話をした。
「ツェーザル様、明日ご一緒に観劇とかに行きませんか。今王都で、英雄の劇が人気なのですよ」
「俺は観劇は興味がないので遠慮しておくよ。それに模型もつくりかけだし」
「そうですか。残念ですね。それでは私たちだけで行ってきます。また、感想をご報告に来ますね」
感想の報告は要らないと言いたかったが、彼女たちも俺のところに来る口実が欲しいのだと思って黙っていた。
彼女たちが帰った後、ここにいるばかりではいけないと思って、次の日は実家に帰った。すると母上が
「久しぶりね、ツェーザル、今日はどうかしたの」
「いや、男爵邸に1日いると隣の女子がやって来るので、今日はここに泊めてもらうことにした」
「そうなの、あの子たちのだれかと結婚する気はないの」
「今のところ、俺は将来商人になって諸国を巡るのが夢だから」
「そうなの、でももう男爵になったのだから、結婚していないとどこに行っても付け狙われるわよ」
「そんなこと言わないでくださいよ。自由に生きるそれが夢なのだから」
「そうなの、あっ、思い出した。旦那様がツェーザルが帰ったら話がしたいと言っていたわ」
「何ですかね。それではこれから行ってみます」
父の執務室に行くと
「魔道船のことなのだが、ツェーザルが王都で作った魔道エンジンにブルヘンジュ伯爵が、伯爵領で作ったスクリューと舵を取り付けて動かしてみたのだが、スクリューと舵がすぐに壊れるのだそうだ。ブルヘンジュ伯爵が、何かいい方策はないかと聞いてきているのだが、何か方法はないか」
「自分が作った時はスクリューと舵に強化魔法をかけました。うまくいかないのであればスクリューと舵を送ってもらえれば、私が強化魔法をかけますが。でも、スクリューと舵が大きくて強化魔法ぐらいでは対応できないようであれば、金属、水の中なので錆びるといけないので、例えば銅ぐらいで作ってみたらどうですか」
「では、その解決策を書いた手紙に、スクリューと舵をやり取りするマジックバッグを添えて、ブルヘンジュ伯爵に送っておく」
その日は公爵邸に泊まった。夕食の時母上が
「ツェーザル、男爵邸の暮らしはどう。一緒に叙爵したあの子たちとは、その後どうなったの」
「どうって、いつも通りですよ」
「つまんない。あの子たちを嫁さんにもらう気はないの。何なら7人一緒でもいいわよ」
なんか急に心臓に悪いことを言い出した。その後も母上の猛攻が止まらない。俺は夕食を適当に切り上げると自分の部屋に戻った。男爵邸で1人暮らしを始めても公爵邸に俺の部屋はそのまま残してある。このまま、公爵邸にいるとすぐに婚約とかになりそうなので、明日の朝一番で男爵邸に帰ることにした。




