36.叙爵に伴う作業
9月になった。まだ叙爵して男爵家当主になったという実感はわかないが、日々新しい貴族家当主としての決めなければならないことにもがいている。まだ、執事は決まっていない。決まっていればすべて丸投げなのだが、いないものはしょうがない。自分で決めなければならない。
ただ俺の場合、金はある。明かりの魔道具、揺れの少ない馬車の車輪、船の魔道エンジン、それにポーションと売れ商品を抱えているので、お金に不自由することはない。
家名は公爵家と同じネルデンベルク男爵家とした。父上にも話したが「別に構わない」そうである。つぎに紋章、これも公爵家の紋章を少しいじって違うものにした。
他の女学生もほとんどは生家と同じにするようである。また、紋章も自分の生家の紋章を少しいじって紋章にしているようである。というかすべてツェーザルの真似をしているのであるが、ツェーザルが気づいていないだけである。
あと、王都に男爵邸を構える必要がある。これについてはみんなで一緒に不動産屋に行って決めようということになった。不動産屋に行くと、同じような屋敷が8つも一度に売りに出ているわけもなく、どうするか迷った。そうしたら、アライダが
「大きな屋敷を買って8つに分けたらいい」
と言い出した。これなら、みんな平等である。それに管理も楽である。これは一つの案だが、その案にはなぜかすんなり賛成できない。そこで俺は
「やっぱり俺は別のところにする」
すると、アライダが、
「ちぇ、」
と小声で言った。
よかった。何かよからぬたくらみがあったようだ。
俺は学院の近くの以前大きな商会があった館を購入することにした。学院の近くだと学院に通うのが楽だと考えたのと、そこに俺の魔道具の工場を作ってもいいと考えたからである。そうすればそこの従業員に館の管理もしてもらえる。将来商人になって諸国を巡る予定の俺としては屋敷の管理をしてもらえる人間を確保する必要があるのである。
そうしたら、アライダたち貴族子女5人は「その隣の屋敷を共同で購入する」と言い出した。アンナとリズは父親の商会の建物の一角を男爵邸にするそうである。そうすれば、管理も楽だし、商会としても男爵邸ということで商会に箔が付くそうである。
現地に行った。屋敷は古くて草ぼうぼうだった。建物も元商会跡ということで、とても貴族の屋敷とは思えないような建物であった。しかし、俺は体裁はどうでもいいのである。とにかく、王都に屋敷を構えた。それだけでいいのである。なんせ俺はほとんど王都にいる気がないのである。その後不動産屋に戻って、購入手続をした。アライダたちは俺が購入手続をするのを見て購入手続をした。
不動産屋が、
「屋敷の修理とかはどうするのですか」
と聞いたので、
「俺は魔法が使えるので、魔法でできることは魔法でする。出来ないところは父に頼む」
そう答えた。
すると、それを聞いていたアライダ達が
「私たちの屋敷も、ツェーザル様の魔法でしてほしい。そして館の修理もお金は払うからネルデンベルク公爵にお願いしてほしい」
と言われた。
そのようにして不動産屋を出た。
その後、再び現地に行ってまず俺の屋敷から門と壁にクリーンと修理の魔法をかけた。すると門と壁が一瞬できれいになった。つぎに門の中に入って、庭にクリーンと除草の魔法をかけた。すると庭が一瞬できれいになった。つぎに屋敷にこれもクリーンと修復の魔法をかけた。すると屋敷が一瞬できれいになった。
これを見ていたアライダたちはびっくりである。
「ツェーザル様の魔法はすごいのですね」
「俺は生活魔法だから、物をきれいにするのは得意さ」
ツェーザルは気づいていないようだが、こんなのは生活魔法ではないのである。
同様な調子でアライダたちの屋敷もきれいにした。
その後、公爵邸に戻って、父に
「学院の近くに男爵邸を確保した。それと、執事は決まったのですか」
「執事は、まだ決まっていない。もう少し待ってほしい。あと男爵邸で働くメイドはどうするのだ」
「当面は俺1人だし、要らないかなと思っている。執事が決まってから執事と相談する」
「まあ、急ぐことでもないし、若し必要になったら公爵邸からだれか派遣する。その時は言ってくれ」
「わかりました」
こうして俺の報告は終わった。




