34.叙爵
ツェーザルたち新しいポーションを作成した学院の学生8人には法衣貴族ではあるが男爵位が授けられることになった。叙爵の式典が8月に行われることになった。
8人一緒ということで今公爵家でその練習をしている。まず、名前を呼ばれたら前に出る。すると、国王あるいは王子から剣を授けられる。それに対して誓いの言葉を述べる。式自体はこれで終わりのようである。父の言葉では「今回は男爵ということで国王でなく王子がその式典を取り行うであろう」とのことである。
女学生たちは
「今回はツェーザル様がいてくれて助かる。ツェーザル様と同じようにしていればいいのだから」
とのことである。
アンナとリタは
「私たち平民が貴族になるということで、家族の者はすごく喜んでいる。これもツェーザル様のおかげ」
とのことである。
王宮での叙爵式は第1王子がとり行った。名前を呼ばれて、王子の間に進み出て、片膝をつくと、王子が剣を肩にあててくれる。それに対して誓いの言葉を述べる。練習通りである。しかし緊張する。元の位置に戻るとほっとする。あとは他の学生が叙爵されるのを見ているだけである。
式典が終わったら、宮殿の一室に呼ばれた。行くと、皇太后と国王がいた。先ほどの第一王子も一緒である。思わずどうしていいかわからず立ち尽くしてしまうと、国王が
「気にする必要はない、ここはもう公の場ではない。自由にすればよい。とりあえずそこに座ってもらおうか」
着席を進められたので、ツェーザルが座ると、残りの女学生も座った。
すると国王が、
「まず、私から礼を言う。今回のポーションで、皇太后の病気が快復した」
「滅相もありません。たまたまできたものなので、お役に立てて光栄です」
「私からも礼を言わせて、私は結核にかかって、薬師からはもう長く生きられない、夏まで持たないだろうと言われていたのですが、このポーションを飲んだらすごく元気になって、もう夏だものね。それで、すごく感謝しているの」
「こちらこそ、そう言ってもらえるとポーションを作った甲斐があります」
その叙爵式の話になって
「どうだった。叙爵の式典は、緊張したかね」
「はい、王宮に来るのも初めてだったのですごく緊張しました」
「ツェーザル君は公爵令息だよね。王宮は来たことがなかったのかね」
「はい、学院に入学するまではお茶会などもすべて欠席していましたし、外へ出ることも稀でしたから」
「そんなに出不精だったのかね」
「はい、将来は商人になって、諸国を巡るのが夢なので、王宮は行くことがないと思っていました」
「そうか、それもいいかもしれないな、自由に生きるか。我々王族には無縁の世界だな」
「ところで、横の学生さんたちは、どうかね」
すると、アライダが
「私の家は、子爵家なので王宮は初めてです。昨日父に聞いたら、年1回開かれるパーティー以外はほとんど行ったことがないと言っていました」
そうやって、貴族令嬢が感想を述べていくとアンナが
「私は平民なので、王宮は初めてです。父も行ったことがないと言っていました」
最後にリズが
「私も平民なので、アンナと同様初めてです」
「これからは君たちも貴族になったのだから王宮へ来ることもあるだろう。若い君たちの今後に期待しているよ」
そうやって、国王一家との会談は終了した。その後王宮を辞して公爵邸に帰った。今後の打ち合わせである。何でも叙爵した新しい貴族はお披露目のパーティーを開くのが習わしだとのこと。その打ち合わせである。これには父上や母上それに執事長にも入ってもらった。正直言って分からない。他の女学生も同じであった。
結局パーティーの次第は公爵家にすべて任せることになった。費用は後でポーションが売れたらそこから払うことになった。招待客のリストについては原案を公爵家で作って、他の貴族家にも見てもらうことになった。
その前に家名とか紋章とか色々決めないことがあるそうだ。「すべて執事長に任せてはダメか」と聞いたら、執事長からは「私は公爵家の執事長であって、ツェーザル様の執事ではない」と言われた。「誰か俺の執事なってくれる人はいないか」と聞いたら、父上が「探しておく」と言ってくれた。
そうしたらアライダが
「もし、ツェーザル様のお嫁さんになったらツェーザル様と同じでいいのですよね」
と言い出した。心臓に悪い。すると母上が
「ツェーザルは、この子が好きなの、以前ミヒャエラから聞いた話だと、隣のクラスの確かリーナだっけ、その子が気に入っているという話だったけど」
「私はまだ結婚する気はありません、将来は家を出て諸国を巡るのが夢ですから」
「そうなの、早く落ち着いてくれると私も安心なのだけどね」
そうすると他の女学生たちも、
「私でよければ」
とか言い出した。
すると母上が
「ツェーザルはモテモテね、母としてはうれしいわ」
と言い出した。
その後も、母にからかわれて、中々開放してくれない。女学生もここぞとばかりにアピールするので、終わりが見えない。俺は貝になることにした。そして、時間が過ぎるのを待った。そして夕方になってやっとお開きとなった。




