33.王宮での検証
薬学の先生が俺たちが作った新しいポーションを王宮へ報告したことから、王宮でも俺たちのポーションの検証が行われたようである。その詳細については俺たちは蚊帳の外であった。事が事だけにかなり秘密裏に行われたようである。
(ここからは、ツェーザル達の知らない王宮での調査の状況である)
まず、ポーションが投与された教会の患者の追跡調査が行われた。その結果、結核に効果があるというのは確認された。しかし、耳が聞こえにくくなるという副作用もあることが分かった。しかし、これについては量を間違わなければいいのではということで、今後も調査を継続することになった。
次に、このポーションの効果を確かめるべく、結核を罹っている患者のうちポーションを希望する人間を秘密裏に募った。すると、真っ先に、皇太后が名乗りをあげた。皇太后の病気については伏せられていたが、王からこの話を聞いた皇太后が
「もう私の寿命は長くないので、是非そのポーションを私で試してほしい」
と王に懇願した。
王宮の薬師からも皇太后の病状が末期的で、もう長く生きられないことを聞いていた王はこの願いを認めた。その結果、まず皇太后で試してみることになった。
皇太后がそのポーションを飲むと、次の日には、
「体が随分と楽になった」
と言うようになった。
しかし、その後1か月ぐらいで症状の改善が見られなくなった。
教会では症状が改善しない場合は、追加でポーションを与えていたので、同様に再度ポーションを飲んだ。すると症状の改善が見られた。
しかし、また1か月ぐらいすると症状の改善が見られなくなった。そこで再度そのポーションを飲んだ。すると皇太后が
「もうずいぶん楽になったし、咳も出なくなった。もう年なのだから若い者と同じにならなくてもいい」
と言い出した。
宮廷の薬師としては、ポーションの効果をもっと知りたかったが、皇太后が嫌がるので諦めた。
効果の検証は、同時並行で皇太后の他にも、他の貴族家の人間数名で調査が行われた。その結果、こちらの貴族家の人間は一度そのポーションを飲むと1か月ぐらいで病気が改善し元気になった。その後はポーションを飲まなくても症状の改善が進んだ。
これらのことから、王宮では
「今回のポーションは結核の改善に非常に効果が高い。大抵は一度そのポーションを飲むと1か月ぐらいで症状が改善する。若し症状が改善しない場合は再度そのポーションを飲むとよい。ただし、追加のポーションは2回までとする。ただし、このポーションには難聴になるという欠点がある」
という結論に達した。
直ちに、ツェーザル達は王宮に呼ばれた。聞き取りには、宮廷の薬師と宰相が同席した。子供が呼ばれたということでネルデンベルク公爵も同席した。
宮廷の薬師が
「このポーションはどのようにして作ったのですか」
代表して俺が答えた。
「ダンジョンに行ったのですが、私は体力がなくてみんなに付いて行くのが大変でした。そうしたら、たまたま1階層で、変わった薬草を見つけました。
ここで、この薬草を使ってポーションを作ればみんなに付いて行かなくてもいいと思い、ここでポーションを作ると言いました。そうしたら今横にいる7人も私と一緒にポーションを作ることになりました。そうしてできたのが、今回のポーションです。
そして、教会の施療院で臨床試験の結果、結核に効果があることが分かったので、商業ギルドに登録して、製造のための工房を構えました」
「すると、ツェーザル君は、ダンジョンで、みんなに付いて行くのが嫌で、ポーション作りを始めたというわけですか」
「はい、そうです」
これには聞いていたみんながあきれた。
「だから、薬草も変わっていたし、変わったポーションが出来るとは思いましたが、どんな効果があるかは見当も付きませんでした」
「まあ、いいです。つまり今回のポーションはダンジョンの1階層に生えている薬草を用いて、ダンジョン内で作ったというわけですか」
「そうです。そして私のマジックバッグに収納しました」
その後、王宮の薬師とともにダンジョンに移動して、また8人でポーション作りを始めた。そして出来たポーションを薬師に提出した。王宮の鑑定士が鑑定すると調査用に以前提出されたポーションと同じということが分かった。
そして、この新しいポーションは結核に有効ということで大々的発表された。また、今回、このポーションを用いて皇太后の病気が改善されたということも併せて発表された。
そして、このポーションを作成した学院の学生8人には法衣貴族ではあるが男爵位が授けられることになった。




