3.入学手続き
入学試験の結果は、貴族には通知があるが、平民は掲示板に張り出されるので、それを見て入学手続をする。一人で見に行こうとすると、2つ上の姉ミヒャエラが付いて行くと言い出した。
「姉さん来なくていいのに。手続きぐらい一人でできるよ」
「何言っているのよ。大事な弟の入学手続だもの、学院の人にも挨拶しておかないと。あなた、入学願書に家名書かなかったんでしょ。平民と見られたら侮られるわよ」
「別に、侮られても構わないよ」
「そんなことないわよ。あなたはネルデンベルク公爵家の一員なのだから、侮られたら公爵家の沽券にかかわる」
「はい、はい、そうですか。でも余計なことは言わないでよ」
歩いて行こうとしたら、無理やり公爵家の馬車に乗せられた。そして、学院に行った。平民しかいないところに、貴族の馬車が来たので目立つ。
「だから、一人で行くと言ったのに」
「何言っているのよ。これくらい平気よ」
合格者の張り出されている掲示板のところに行った。自分の名前を探すと、
「あった」
「どこ」
「そこ、ツェーザルと書いてある。受験番号も書いてある」
「やっぱり合格していたんだ」
「試験できたという僕の言葉、信用してなかったんだ」
「そんなことはないわよ。弟が優秀だってことは知っていたわよ。いつもどこにいるかわからなかったけど」
「平民も結構な数が合格しているんだ」
「そうね、私のクラスにも平民が3人いるわ」
「そうなんだ、Aクラスでも平民もいるのだ」
「そうよ、彼女たちは優秀でまじめだわ。将来はたぶん貴族に見初められて、貴族の側室かな」
「正室にはならないんだ」
「そうね、貴族の結婚は契約だから」
「そういう物なんだ」
「そうね」
「だったら俺は、貴族にならず自由に生きる」
「あんた、まだそんなこと言っているの」
「そうだよ、将来は自由に生きる」
「でも、貴族に睨まれないようにしなさい」
「はい、はい、忠告ありがとうございます」
「手続きはあっちみたいだね」
「そうだね」
事務室に行って、受験番号と名前を告げると、書類を渡された。そこに必要事項を記入して、提出しようとすると、
「け、平民ごときが」
すると、ミヒャエラ姉さんが
「今の言葉聞き捨てならない。この学院では貴族も平民も平等となっているはずよ。それを推奨すべき学院の事務員がそんな言葉言っていいの」
「平民を平民と言ったのだ。何が悪い」
「ツェーザルは平民ではないわ。貴族、わたしの可愛い弟なんだから」
大事になりそうだったので、無理やり姉さんをその事務員から遠ざけて、
「僕のクラスはどこですか」
と聞くと、
「そっちの掲示板に張ってある」
と言われたので、掲示板のところに行くと、Aクラスだった。すると姉さんが
「やっぱり私の弟、ツェーザルは優秀ね」
その後、先ほどの事務室に戻って、入学の手続きや書類をもらった。学院の制服は貴族は指定の店で作ってもらうそうだが、平民は服置き場においてある大中小の既製服から自分のサイズに合うものを、適当に選んで着るそうだ。自分は背丈は普通だったので、制服は中を選んだ。体が大きくなると申請すると大きい制服がもらえるそうだ。平民は無料とのこと。
すると姉さんが
「平民は服も無料なんだ」
「貴族は違うの」
「私は学院指定の服屋へ行って、仕立ててもらっているから有料ね」
「じゃ、その分のお金も、公爵家を出て行くときの餞別に追加してもらえるかな」
「あなた、ほんとに学園卒業したら、公爵家を出て行く気」
「そうだよ、俺は将来商人になって、色々な国を気ままに回って面白おかしく暮らすんだ」
その後、公爵邸に帰って、合格したこと、Aクラスだったことを伝えた。家族からは
「合格おめでとう。ツェーザルは優秀だ」
と褒められた。




