26.旅行の報告
それから俺たちは何日かまた馬車の旅を続けて王都に帰った。公爵邸に帰るとミヒャエラ姉さんから
「せっかくの休みなのに、ツェーザルがいないので、つまらなかった。お茶会ではツェーザルのことを聞かれたけど、地方へ遊びに行ったと伝えた」
と苦言を呈された。
旅のことを聞かれたので、
「初めての地方の旅だったので、とても新鮮だった。特に教会の尖塔に登った時は、とても絶景だった」
「そうそれはよかった。それで、女子たちとも一緒だったのでしょう。何かあったの」
「何もなかった。それから、姉さんに土産」
と言って、アントリーペン市で買った宝石を渡すと、途端に姉の表情が緩んだ。
「ありがとう。すごい、これ高かったんでしょう」
「それほどでもないよ。僕は明かりの魔道具でお金はいっぱいあるから」
それから、父の執務室に行って旅行の報告をした。
「公爵家の馬車と護衛をありがとうございました。おかげで安全な旅行をすることが出来ました。それから、今回の旅のことで報告があります。
まず、馬車が揺れるので、馬車の改造をしました。そうしたらそれがまた新しい魔法陣ということで登録しました。これについては、アンナとリタの商会が販売したいと言っております。
それとブルヘンジュ伯爵のところで、船にスクリューをつけて風がなくても船が動く魔道具を作ったのですが、これをブルヘンジュ伯爵が量産してほしいと言っておりました。
また、旅の途中で馬車の中で遊べる遊びを考案しました。これについても、アンナとリタの商会が販売したいと言っております。
また、ブルヘンジュ伯爵のところで海藻がいっぱい取れたので、それらを用いた食品を作ったのですが、これもアンナとリタの商会が販売したいと言っております。
また、明かりの魔道具を増産してほしいとアンナの父親に言われました。報告は以上です」
これを聞いた父親は
「旅行に行って、魔法陣が2つとゲームが2つ、それに食品を2つ作ったということか」
「そうです」
「お前というやつは。まあ、よい、それでどうしたいのだ」
「王都に工場を作って、量産するしかないと思います」
「工場の運営はどうするのだ、ゲームと食品はアンナとリタの商会に任そうと思います」
「そうだな、ゲームと食品では政治が絡むことはないだろうから、それでいいだろう」
「馬車の改造はどうする」
「公爵家で、工場を用意してもらえば、製造の方は私が指導します」
「よかろう。王都に工場を確保するよう執事に行っておく。工場の大きさは前回と同様でよいか」
「それで結構です」
「次に風がなくても動く船についてはどうする。こんな物が出来たら周りの国がほっておかないだろうな。今までは、船の戦いは、風上にいる船が有利だったのが、そうでなくなるのだからな。これは国王陛下にも報告して判断を仰ぐ」
「そこまでいきますかね」
「当たり前だ」
「それで、ブルヘンジュ伯爵があんなに必死になっていたのか」
「ブルヘンジュ伯爵が何か言っていたのか」
「はい、一度父上のところに寄せてもらうと言っておりました」
「わかった」
「明かりの魔道具については、増産してほしいという声が公爵家にも来てるので、新たに王都に工場を確保したので、お前が行って指導してほしい」
「わかりました」
このようにして父への報告は終わった。色々報告することがあり過ぎて、冷や汗が出た。また、聞いている公爵も息子があまりもぶっ飛んでいるので聞いていてあきれてしまった。
その後、公爵は改造した馬車がどんなのものか知りたくて公爵家の敷地内を走らせてみたが、馬車の快適さに驚いていしまった。すると夫人や、ミヒャエラ姉さんが
「こんな快適な馬車はほかにない。ほかの馬車も改造してほしい」
と言い出した。
それで、その日から3日ほどかけて、公爵家の馬車をすべて改造した。
その間に、ブルヘンジュ伯爵がやってきて父と話をしてその後王宮へ行った。国王との協議の結果は、秘密保持のため、帆船の魔道船への改良はブルヘンジュ伯爵領の造船所で行う。ただし、魔道船のエンジンは公爵家が王都に工場を作って行うことになった。どうも、ブルヘンジュ伯爵家の鑑定士にエンジンの魔法陣を鑑定してもらったが、「理解不能で、同じ物は作れないと言われた」とのことである。それで、公爵家で王都に工場を作って、これもツェーザルが指導することになった。
これで、すべて一件落着と思ったら、一緒に旅行に行ったみんなが借りていたマジックバッグを返しに来た。すると、公爵家のマジックバッグは、すでにツェーザルから返還されていた。そこで、これらのマジックバッグをツェーザルが作ったことがばれてしまった。しかし、これは父によりかん口令が敷かれた。そして、もともとこれらのマジックバッグも公爵家にあったことにしてもらった。しかし、色々愚痴を言われた。




