139.男爵家の収支と困窮する他の貴族家
旅の再開が数年後になるということで、暇になった。すごく暇である。工場巡りも終わったし、軍艦のスクリューと舵の魔法による強化も送られてきた物はすべて処理してブルヘンジュ伯爵へ送った。
このようなとき貴族は社交に精を出すのであろうが、ツェーザルの場合の社交は苦手である。三男ということもありほとんどパーティーやお茶会には出席していない。
男爵家とはいえ、いろいろな物の製造にかかわってきた関係上、金がある。
1.男爵家の収入、月金貨100枚(支出はアセビ商会で負担)
2.アセビ商会の収入、ガラスの売り上げから必要経費を引いた残り、月金貨57枚、砂糖の収入、年金貨8000枚(月に直すと667枚)
3.ツェーザル自身の関与している製品の収入、概算で月金貨2500枚(うち半分は船の魔道エンジン関係)
また、アライダたちの男爵家の収入、1男爵当たり(5男爵家だとその5倍)、月金貨100枚、支出、共通部分のメイドと護衛5人分、給金と雑費含めて金貨20枚、専属部分、執事1人、専属メイド2人、護衛2人(旅に行くときに追加した)金貨10枚、差し引き月金貨70枚
また、アンナとリズの男爵家の収入、1男爵家当たり(2男爵家だとその倍)、月金貨100枚、支出、執事1人メイド3人、金貨6枚、差し引き月金貨94枚
アライダ達個人の収入、結核用ポーション、月金貨460枚(7人だとその7倍の3220枚)
エバの収入はアセビ商会の従業員としての収入月金貨2枚、メイドは金貨1枚と銀貨2枚
普通の男爵家だと領地があっても支出が多いので自由になる金は年間金貨2000枚ぐらいである。月に直すと167枚ぐらいである。それも不作や災害が発生すると、これまでの蓄えと供に飛んでいってしまう。
いかにネルデンベルク男爵家が裕福か分かる。
デンランド王国が海峡を通船に関税を課したことから物価が値上がりして、王国の経済状態は悪い困窮する貴族家も増えている。アライダたちの実家についてはツェーザルが提案した農地4分割農法とテンサイの生産で持ち直しているようである。
このような状況を見た他の貴族家から相談が寄せられるようである。俺は面倒なので、窓口は正妻のアライダにしている。最初は当主が聞くべきだとごねていたが、結婚する時の条件だと言って突っぱねた。
「そんな条件なかった」と言われたので、「今追加した」と言った。
俺はパーティーには出ない。さらに、俺が付き合いのあった学院生の卒業生は今地方にいる。王都にはいない。だから、お茶会の誘いも来ない。
しかし、アライダたちの付き合いのあった学院の卒業生の中には王都にいる人もいるようだ。その人たちが来ると、無下にできないそうである。
そのような人たちには農地4分割農法の提案である。これにより農地の生産力を上げるしかないと思っている。しかし、これはまだ始まったばかりでその効果が現れるのは最速でも来年以降である。間に立つアライダ達が難しそうな顔をしている。うちは男爵家とはいえその後ろにはネルデンベルク公爵家がいる。うちに面と向かって怒りをぶつけるわけにもいかないので、最後は泣き落としだそうだ。
このような状況を見て、海峡を通らない商品の輸送ルートを構築してはどうかと思った。俺が大容量のマジックバッグを作って、そのマジックバッグを大量に用いれば、例えば帝国の西の港で船の商品をマジックバッグに収納して、馬でそのマジックバッグを運べば、海峡を通らずに商品をライラント王国まで輸送できる。
馬車を使えば、時間も費用もかかるが、マジックバッグを持った人が馬で街道を走るだけなら時間も費用も船並みに抑えられる。大容量のマジックバッグはすぐに作れる。
問題は帝国がルートの構築に協力してくれるかどうかである。それにこのルートが構築されるとデンランド王国の妨害があるかもしれない。その対応をどうするか。そこまでいくと、もう国家レベルである。男爵家の判断だけではではできない。
ここまで考えて、俺は海峡を通らない商品の輸送ルートの構築についてアライダ達に相談することにした。




