140.海峡を通らない商品の輸送ルートの構築
ツェーザルは海峡を通らない商品の輸送ルートの構築についてアライダ達に相談することにした。しかし、それにはツェーザルの秘密、ツェーザルがマジックバッグを作れるということを明らかにしなければならない。覚悟を決めたツェーザルであった。
「ここにデンランド王国の海峡を通らない商品の輸送ルートを構築するする案がある」
「その様な案があるのですか」
「ある。ここだけの秘密だが、俺はマジックバッグが作れる。これは公爵家の人間でも数人しか知らない。お前たちも秘密にしてほしい」
「わかりました。今まで不思議に思っていたのですよね。いくら公爵家といえ50個ものマジックバッグがあるはずないと思っていました。それに賃貸料が要らないなんて、よく公爵家が許したと思いました。ツェーザル様が作った物なら、ツェーザル様が自由にしていいわけなので理解できます」
「大容量のマジックバッグを大量に作って、帝国の東の港で、船の商品をすべて買い取る。そして、街道を馬で移動する。護衛も付ける。馬車でなく馬なので早いと思う。こうすれば、海峡を通らずに商品をライラント王国へ輸送出来る。
しかし、この輸送ルートの構築には問題点がある。1つは帝国がこのルートの構築を承認してくれるかという点だ。もう1つはデンランド王国が妨害してくると思われる点だ」
「そうですね。帝国には話をしておく必要がありますね。そうしないと街道を通るたびに関税を掛けられたのでは商品の値段が高くなります。
それと、デンランド王国も関税収入が入らないのでは海峡に砦を作った意味が無くなりますから、必ず妨害してくると思います。デンランド王国軍の兵士が山賊か野党に扮して街道を通る商人を襲うでしょうね」
その後どうするか協議したが、ここは父であるネルデンベルク公爵に対応を任せることになった。もう1男爵家でどうにかできる問題ではないだろうということである。
とりあえず、船1隻分の商品が収納出来る大容量のマジックバッグを100個作った。これに1か月ほどかかった。その後、俺とアライダは父のもとを訪れた。
実家へ帰る時はいつも行き当たりばったりであったが、今回はあらかじめ予定を入れておいた。そのため父と執事長それに母もいた。
「今日はお時間を取ってもらってありがとうございます」
「どうしたのだ、急に改まって、何か問題でも起きたか」
「問題が起きた訳ではありません。現在、デンランド王国が海峡を通過する船に関税を掛けた関係上、ライラント王国の商品の値段が上がっております。そこで海峡を通らない商品の輸送ルートを構築しようと思うのですが」
「どうやったらそのようなルートが出来るのだ」
「はい、船1隻の商品を丸ごと入れられるような大容量のマジックバッグを100個作りました。これで、帝国の東の港で船の商品を買い付け、街道を馬に乗った人がマジックバッグを運べば海峡を通らずに商品を輸送できます」
「確かに、それなら海峡を通らずに商品を輸送できるが、帝国にも話をしないといけないぞ」
そう言って父は黙り込んでしまった、思案しているようだ。
しばらくして、
「この話は国王とも話をしてみる。そのマジックバッグはそうだな50個ほど預からせてもらうかな。そして、これは公爵家に元からあったことにしてもいいか。お前が作ったとなるとお前が攫われる恐れがある」
「はい、そうしてもらえると嬉しいです」
そうやって、ツェーザルは持ってきたマジックバッグのうち50個を父に渡した。
そして一息つくと母が
「デンランド王国のことなんて、ツェーザルが考えるようなことではないのに。それと、アライダさん体調はどうですか」
「はい、もうつわりもなく、だいぶん楽になりました」
「それはよかった。でも気を付けるのですよ。転んだりしないように。それから食べ過ぎると出産の時に苦しいからあまり太るのはよくないわ」
「そうですか。それはありがとうございます」
「ツェーザル、国のことも大事だけど、妻たちのことも大事にするのですよ」
「はい分かりました」
後は父にお任せ。気が楽になったツェーザルであった。




