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牛乳とチーズは違う味がする(顔だけ男の気ままな旅)~軟弱男のハーレム旅行はどこへ行く~  作者: @000ーooo


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131.英雄の本

 今日はこの町も3日目、市内は見て回ったし、勇者の宝も探さない方針となったことから、することが無くなった。市内をぶらついてもいいが、あまり心に感じるものがない現状では興味もわかない。


 久しぶりにアーダや妖精たちを虫かごから出してやることにした。○○ルムス市の川を渡った東側に大きな森があるそうだ。ゆったりと馬車に揺られて森に行った。そしてアーダや妖精を虫かごから出してやると、元気に飛び回っていきました。終わりのはずが、「寒い」と言ってすぐに戻ってきた。


 この軟弱者がと思ったが、確かにダンゴムシは変温動物、寒い冬に飛び回れと言っても無理がある。しかし、妖精はどうなのだ。彼女たちは人と同じ格好をしているのだから恒温動物のはず。しかし、ダンゴムシと一緒とは思わなかった。妖精も変温動物かもしれない。と思ったら口に出たみたいで、「ツェーザル様のバカ」と言って耳元でうるさい。


 早々に森の散策はあきらめた。俺も寒い冬は苦手である。その東にあるラルシュ修道院の見学に行った。この修道院にはこの国でも最大級の図書館があるそうだ。


 ゆったりとした時間の中、本を読んで悠久の時を過ごす。そして、英雄が活躍した時代に思いをはせる。何となく詩人に成れそうである。


 しかし、修道院に着くと教会の見学をしただけで、アライダ達は他へ行こうという。この脳筋種族が。本に親しみを持つ、これぞ教養人のあるべき姿だと説くのだが、わかってくれない。


 しかし、ここで折れるわけにはいかない、なんせ、俺はここで、今世の英雄叙事詩を読みたいのだ。

「ここには英雄の物語もある。うん。あるはずだ」

と言うと、しぶしぶ読書に付き合ってくれた。


 図書館の司書の人に、「英雄の物語を読みたい」というと本を何冊か持ってきてくれた。有料とのことなので銀貨5枚払った。寄付も求められた。俺が妻とメイドと護衛を連れているので、これは完全に貴族とばれていると思った。仕方がないので金貨2枚を渡したが、なんか難しい顔をしている。そこでもう1枚金貨を追加したら急に笑顔になった。そして「ごゆっくり」と言われた。前世の図書館とはずぶん違うと思った。


 俺は今この世界の英雄叙事詩を読んでいる。前世の英雄叙事詩〇〇ベル〇ゲンの歌ではたしか、英雄ジー〇〇リートは川の下流、今のライラント王国の北部地域の生まれのはず、それが今世の英雄叙事詩ではもっと北方の国の生まれとなっている。確かにこの国の生まれとなると、他の国がいちゃもんを付けそうだ。何となく納得してしまう。


 そうやって読んでいったのだが、読んでいるうちに、感情移入していったのか、涙が出てきた。とくに英雄が殺される場面では涙で目がかすんで読めなかった。


 密かにアーダを呼び出してアーダの異空間でこの本をコピーしてもらった。続きは宿に帰ってから読むことにした。不思議である。前世でも本を読んで涙が出たことはあったが、目がかすんで読めないことはなかった。


 英雄の残滓の様な物が関係しているのかもしれない。そこで、アーダにコピーした本を読むように言ったら

「私こんな難しい本読めません」

と返された。


 ああー、こいつ虫だった。普通に会話していたから気づかなかったが、本来アーダは虫である。本を読んで感想を聞こうとした俺がバカだった。


 アライダ達はどうなのかと思い、アライダを呼んで、本の続きを読んでもらった。

「どうしたのですか、なぜご自分で読まないのですか」

「本を読んでいたらあまりにも英雄が可哀そうで涙が止まらなくなった。涙で目がかすんで読めない。続きを読んでくれ」

「そんなにこの本が感動的なのですか。では読んでいきますね」


 そうやってアライダが本を読んでくれた。そのうち俺は号泣していた。涙が止まらない。心配して図書館の司書の人がやって来た。


「心配ご無用。主人公が可哀そうで涙が出ただけです」

と答えると、

「それだけ本に感動した人は初めてです」

と言われた。


 ある意味異常だ。それは俺も分かっている。しかし、今は涙が止まらない。もう本を読むのはやめてしばらく瞑想することにした。


 そうやって時間をつぶして、帰る時間になったので俺たちは帰った。

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