120.温泉町
カルラの問題も解決したし、俺たちは朝、宿を出て川を渡って次の町に入った。今回は行き当たりばったりでなく事前に宿も予約してある。
これが普通の旅行である。29人もいるのだから、宿も決めずにやって来て、泊まらせと言う。そして無理と言われると「俺は公爵家の三男だ」と貴族風を吹かせる。
本人は自覚していないが、典型的な傲慢貴族である。それに妻を8人、メイドと護衛も連れている。宿の主人にしてみれば迷惑な客だ。しかし、金払いはいい。その日に全額即金で払っていく。
今回は宿の主人も愛想がいい。市内の観光名所を聞いても喜んで教えてくれる。しかし、市内には温泉以外には特にこれと言った目玉はないようである。宿の主人は盛んに劇場を勧めているが、俺は観劇に興味はない。俺が
「その劇は役者は女だけか」
と聞くと、
「そんな事があるはずがない。劇には男の役者も女の役者も必要だ」
と言われた。この世界には前世の〇塚のような劇はないようだ。俺は興味を無くした。
ついでに
「女が裸で踊るような劇はないか」
と聞いたら、これを聞きつけたアライダが
「新婚の妻を横に置いて、娼婦を探すのはやめてほしい」
すごい剣幕で怒られた。
「後で動けないくらいサービスしてあげます」
と言われた。
その一言がたたって、俺は妻たちの厳しい監視下に置かれた。結局市内観光はなし。幸いこの宿には温泉があったので温泉につかりながら5日間過ごすことになった。
この間に俺は懸案であったマッサージ機の量産に取り組んだ。なんせ10台作らなければならないのである。材料はアライダ達が市内へ買いに行ってくれた。俺はアーダの異空間に入ってアライダたちが買ってきた材料でマッサージ機の量産に取り組んだ。
この空間は便利である。アーダに、見本を見せて、「これをコピーして」と言うと即座にコピーした製品が出てくる。取りあえず、今日は5つほど作って終わりにした。あまり根を詰めるのはよくない。
アーダの異空間から出て、出来たマッサージ機を見せて妻たちに感想を聞いてみた。妻達が順番にできたマッサージ機を試している。
すると、音がうるさいとか、湯たんぽの重さが重いとか、蒸気の発生装置が熱いので火傷しそうだとか色々言いやがる。この前試作品を作った時は「これでいいと言ったじゃないか」と言ったのだが、あの時はそれでいいと思ったが今は問題点が気なった」と好きかって言いやがる。
どうも先日俺が「女が裸で踊るような劇はないか」と聞いたことが尾を引いているようだ。女とは因縁深いもののようだ。
次の日またアーダの異空間でマッサージ機の改良に取り組んだ。もう一気に10台作って、
「後の改良はアンナとリズの商会にしてもらえ」
とマッサージ機の改良の仕事から降りた。
今俺はゆっくり温泉に浸かっている。仕事をやり終えた後の温泉は格別である。そこで面白いことを思いついた。もしこの湯をすこし持って帰って、アーダの異空間でコピーしたら、ほかの町に行ってもここの温泉につかれる。
部屋に戻ってアーダにこのことを話したら、昼行燈を全開にして出かけて行った。そして、温泉のお湯を少し持って帰って来た。早速、異空間に行って、アーダが持って帰ってきたお湯を大量にコピーしてもらった。するとアーダが魔力切れと言い出したので、俺の魔力を分けて与えた。そしてさらにコピーを続けてもらった。そして大量の温泉のお湯を用意した。そしてそのお湯をこの前作った温泉に入れていった。
早速服を脱いで温泉に浸かった。するとアーダも超絶美少女に変身してお湯に入ってきた。
「おいアーダ、お前お湯をコピーしたら魔力切れになったんだよな、なぜ超絶美少女に変身できるのだ」
「また、魔力が残っていましたので」
こいつの魔力切れは絶対嘘だと思った。しかし、美女と一緒の温泉も悪くないと思いそのままお湯につかった。するとすぐに10分経過したようで元のダンゴムシに戻った。
するとまた、俺の魔力を吸おうとしたので
「もうダメ、俺が干からびる」
そう言うと、残念そうな顔をした。
その夜はアーダの異空間の温泉につかりながら過ごした。ここだと1人でだれにも邪魔されずにゆっくりできる。時々妖精たちがうるさく飛び交うが、羽虫と思って無視した。




