118.マッサージ機の改良
次の観光地も教会であった、先ほどの聖堂よりは少し小さいが、この教会も由緒ある教会だとか。しかし、説明は全く頭に入ってこない。
同じようなものを見ると飽きてきたようだ。結局この教会はただ素通りした。実際は丁寧な説明があったのだが、何も覚えていない。
確かヤインツと言うと、前世だと「〇インツのグー〇〇ベルク、活版印刷、世界史の授業で習った」と思うが、市内にはその記念館の様な物はない。彼がこの技術を発明したのはいつだったのか、俺の記憶ははっきりしない。
ここで、「グー〇〇ベルクの記念館はありませんか」なんて聞いたら、間違いなく変人扱いされる。ここは自重することにした。
その後、市内を適当にぶらついて買い物をして宿に帰った。
宿に帰ると、温泉宿の予約を取りに行った護衛とメイドが帰ってきていた。無事宿を取れたそうである。宿は市の中心部で割とましな宿が取れたそうである。現在の宿で5泊した後、温泉宿に行って5泊だそうだ。これで準備万端である。
その夜は、マッサージ機の改良のため、意見を聞くことにした。こういうのは男性はあまり興味がないが、女性陣は興味津々である。護衛に声をかけたが「今日は疲れたので、遠慮する」とつれない返事であった。メイドにはアライダたちから声をかけてもらった。すると、美容器具と聞いて目を輝かせたとのことであった。
今カーチャがマッサージ機に座っている。隣ではアライダが説明をしている。こういうのは女性陣にやらせた方がいい。俺は改良点だけ聞ければいい。
みんなで「アーダ、コーダ」と言っている。すると、呼びもしないのにダンゴムシが出てきた。おれはすぐにダンゴムシを隠した。
ダンゴムシ曰く「私の名前はアーダ。呼ばれたから出てきた」そうだ。こいつ分かって言っているなと思ったので「研究対象、解剖」と言うと慌てて虫かごに戻って行った。
「アーダも女性のようだ。美容に興味があるようだ。しかし、所詮ダンゴムシ。少しぐらい美容に気を使っても無駄だ」と思った。
得られた改良点は次の通りであった。
1.俺は背中に当たる部分だけ動かすようにしたが、腰に当たる部分も動いたほうがいい。
2.動くだけでなく振動もした方が効果がある。それで、動きと振動の両方を選べるようにする。
3.音がすると周りに迷惑なので、音が小さくなるように、防音結界を張れるようにする。
4.体を温める装置があると効果が上がる。その装置は、手で持って色々な場所に動かせると、背中だけでなく腰や他の部分も温めることが出来る。
5.熱いお湯で絞ったタオルを額や顔にかけると気持ちがいいので、蒸気の発生装置をつける。
非常に有意義な検討会であった。ここで得られた改良点は順次施していくので、試作品が出来た段階で再度今日のような検討会を行うこととなった。これに参加した妻達やメイドたちは、はれがましい顔をしている。
次の日、俺は朝からマッサージ機の改良に取り組んだ。まず、午前中は改良に必要な資材を書き出した。書き出した資材は午後に妻達やメイドが率先して買いに行ってくれた。
次の日からは実際の改良である。改良点の1.~3.はすぐにできた。4.については別の装置を作るためむずかしい。それにこの世界には遠赤外線の発生装置なんてものはない。そこで、少し重たくなるがお湯を入れた器を作ってこれで操作することにした。湯たんぽの様な物である。5.はもう別の装置を作った。
結局この改良に3日かかった。改良したマッサージ機で再度検討会をしたところ、概ね好評であった。更なる改良はこれを今後使っていってみてとなった。
「とりあえずこれを10台作って」と言われたが、妻の数だけなら8台なのに、なぜ10台かというと、アンナとリズが「親の商会に送って量産してもらう」のだそうだ。
10台作るのは次の温泉宿に行ってからとなった。もう明日は温泉宿に行く日である。
俺は手足を拘束され柱に縛り付けられている。俺の足元にはたくさんの薪が積まれている。あれこれ前も見たような光景だ。これは夢だ。夢だ。そう思った。
しかし、目の前の神父はすごくリアルである。顔のしわが1本ずつ分かる。こめかみに青筋を立てている。
「幽体と交わって、あまつさえ子まで成した外道が。この鬼畜に天罰を与える」
と言って、手にした松明を俺の足元の薪に投げ入る。
薪の火を俺の周りに浮いている透明な丸い玉のようなものが
「お父ちゃんを殺さないで」
と言って、必死になって消そうとしている。
おれは、
「もういいよ。俺ももうすぐお前たちのところに行くから」
その間に、火がだんだん大きくなっていって、やがて俺の体を包み込んだ。
「うわー」
その夜宿の1室にツェーザルの悲鳴が響き渡った。




