115.異空間での温泉設置
夕方には買い物に行っていたアライダ達も帰って来た。
「温泉を作るような家は買えたのですか」
と聞かれたので、
「牧場を買って、アーダの異空間に収納した」
と答えた。
すると「見てみたい」というので、みんなでアーダの異空間に行って牧場を見学した。行くと真っ暗だったので、明かりの魔道具を設置して辺りを照らすと、牧場の全景が浮かび上がった。その広さに感動してしまう。
アライダ達も
「アーダの異空間どうなっているの、こんな広い牧場を収納できるなんて」
と驚いている。
アーダは鼻高々である。いつものポーズをとっている。この牧場の改造と温泉設置は馬車に乗っている間に、俺が異空間に行って作業することになった。
今日で、サブレンツも終わり。明日からどこへ行くか協議した。決まったことはとりあえず街道を南へ向かって走る。面白そうなところがあったら、寄ってみることになった。これぞ俺が憧れる目的を決めない気ままな旅である。
次の日の朝、宿を出た。業者が「どこへ行くのだ」と聞くので「とにかく南へ行ってくれ」と言った。なんかぶつぶつ言っていたが聞かないことにした。
俺はアーダの異空間に入って、温泉の設営を始めた。まずしたことは明かりの魔道具の数を増やして、牧場全体がもう少し明るくなるようにした。
その後、屋敷と畜舎は以前設置した屋敷の側に動かした。アーダの異空間だけあって、アーダが望むとすぐにこの空間の改良は出来るようであった。アーダが、「牧場の屋敷と畜舎は向こうの建物のところへ移動」と唱えると屋敷と畜舎が移動した。
そして、その屋敷の真ん中に、窪地を作って、以前イルメラの実家の男爵邸でした時と同じように土の周りを固くして岩に擬態させて、その岩で窪地の周囲を囲った。また土を平板状に固めてタイルを作って、それを並べていった。そして水道の配管を設置して出来上がり。ここには俺たち以外居ないので、周囲をつい立てで隠す必要はない。水は俺の火魔法でお湯にした。
出来上がった温泉を、アライダたちに見てもらった。すると「スパがない」と不満のようである。
「スパはアライダ達で作ったら」
「マッサージをしてくれる人間がいない。アーダの能力を隠しておく必要があるので、ここにはメイドは連れてこられない」
あまり文句を言うので、
「マッサージ機を作ろうか」
「マッサージ機とはどんなものか」
「見本を作るから見ていて」
そう言って、前世の記憶にあるマッサージ機を作った。動力は魔石である。椅子の背もたれのところの部分が動くようにした。しかし、どのように動かせばいいのか全く分からない。
アライダ達に聞きながら調整しているが、うまくいかない。1人がうまくいくと、次の人に代わってもらうと、また違うことを言う。これは個人差がるようだ。結局出力の調節つまみをつけて、出力は各自変えられるようにした。
そうやって、マッサージ機を作っていると、アンナとリズが「是非これもうちの商会で売り出したい」とのことである。商魂たくましい限りである。
確かに、彼女たちについてきたメイドは商会の人間である。これを実家に報告しなかったら後で文句を言われる。彼女達の立場も理解できる。それで、マッサージ機は宿に帰ってから、部屋に出して、みんなで協議しながら改良することになった。
馬車は南へ向かって走っている。俺はアーダの異空間から馬車の周りに広がる風景を見ている。このあたりには川沿いにいくつもの城が設置されている。
城の見学をしてみたい気もするが、そうすると城には城主すなわちその地域の領主が住んでいる。他の貴族に挨拶するのは面倒である。川沿いの城は馬車の中からというかアーダの異空間から眺めて終わりにした。




