107.ランブル市へ到着
竜の城の町での滞在を終え俺たちはまたイルメラの実家ランブルグ市に向けて旅立った。色々なことがあったが、アーダには異空間のスキルが発動し、アーダと妖精の問題が解決した。
このままアーダと妖精が異空間を住みかとすれば俺が火あぶりになることもない。また気ままなスローライフが送れる。
余裕が出たので
「なあ、イルメラ、なんか面白いところはないか」
「面白いかどうかわかりませんが、今流れている川と支川が合流するあたりに騎士団が駐留している町があります」
「騎士団か、興味ないな」
「ですよね、ツェーザル様は武術とかあまり興味ありませんものね」
「そうだな、俺は平和主義者だ」
戦闘系はあまり興味がわかなかったので、その日は適当に馬車で走って、夕方になったので、着いた街で宿を取った。「町の名前は知らん」興味がなかったので、気に留めなかった。
ついでに宿も適当に決めた。護衛が「訳の分からないところに泊まると警護が大変だ」とぼやいていたが、無視した。「主を守るのはお前たちの務めだ」と言い聞かせた。
朝宿を出ようとすると、護衛達がげっそりしていた。昨日の夜はあまり寝られなかったそうである。おれたちはアーダの異空間でゆっくり休んだ。アーダの異空間の家もいろいろ整備したおかげで快適であった。
ただ、メイドも近づけなかったので、メイドも不満があるようだが、メイドはアライダ達のメイドなので、俺は聞く耳は持たない。アライダ達には「文句を言うメイドは置いていけ」と言ってある。『獄門、はりつけ、火あぶり』さえなければ俺は余裕である。そして、暴君である。
宿を出て、しばらくするとイルメラが
「このままいくと夕方には私の実家に着けます」
「そこに行くまでに何かいいところはないのか」
「ありますよ。この先のところに温泉で有名な町があります」
温泉と聞いて俺の触手が動いた。
「今日はそこに泊まる。3日ぐらい泊まる」
「それはひどい、私の実家はもうすぐだというのに、手前の町で3日も過ごしたら、まるで私たちが私の実家へ行くのを嫌がっているみたいじゃありませんか」
なんか難しい話になった。そこでアライダ達を交えて再度協議することになった。
結論から言うと妻たちに押し切られた。今日はこのままイルメラの実家ランブルグ市に行くことになった。温泉宿は実家に滞在中に行くことになった。
「こんなことなら、昨日少し無理をしても、その温泉宿に泊まればよかった」と思ったが後の祭りであった。
そうして馬車はその温泉町を横目で見ながら、素通りしてランブルグ市に向かった。馬車の中から俺が、
「ここで少し止まって、休憩しよう」
と言うと、危機感を覚えたのか馬車はスピードを上げた。
俺は川面に映る白波とその向こうに広がる温泉街をただ眺めるだけだった。そして、その空しい時間はすぐに過ぎていった。そして馬車はまた山間の道をひた走った。
山間を抜けると少し広いところに出たが、このあたりは丘陵とその間を流れる川が交互に巡っているようで、俺は同じような風景が目まぐるしく入れ替わるのでよくわからない。
イルメラはさすが地元、「ここを曲がると川があって、そこを過ぎると丘があって」とか言っている。すごくうれしそうである。
そんなイルメラを見ていると、「今日、真っ直ぐ来たのはよかった」と思った。
ランブルグ市に近付くと、中心部に高くそびえる聖堂が見える。イルメラに言わせると「町のシンブルだそうだ。これを中心に行動すれば、場所を間違えることはない」とのことである。
城門のところでイルメラが挨拶すると門兵が
「お嬢様お帰りなさい」
まるで家族のようである。
確かに男爵家だと、領主と領民の距離は近い。イルメラが強硬に今日の到着を主張したわけである。そして、俺たちは男爵邸に着いた。男爵邸は市内の中心部にあった。
「お城とかはないのかな」と思ったが、ただの邸宅だった。この街が攻められたら市民とともに街を守る。それだけのようだった。




