105.アーダの転生得点
アーダを妻にしたツェーザルは、このままいくと火あぶりである。それを阻止すべく家族で対策を検討中である。
「なあ、アーダ、お前『前世の記憶がある』と言っていたよな」
「はい、私、前世は妖精でした」
「生まれ変わるとき、神とかに会ったのか」
「いいえ、会っていません。森で死んで、気づいたら、お母さんのお腹の中から出たところでした」
「その時に、前世の記憶があったのか」
「はい、生まれた時にありました。だから家族から追い出されたときも、すんなり受け入れました」
「普通、生まれ変わった人間は大抵、転生得点があるはずなのだが、お前変わったスキルはないのか」
「スキルですか、そういうことあまり考えたことがなかったので」
「そうだよな、ダンゴムシだったら、そういうの無いよな」
「失礼な、私はダンゴ妖精です。ダンゴムシではありません」
「あの、妖精の時は何かできたか」
「妖精のときは花に潤いを与えることが出来ました。元気のない木や花があると、元気にすることが出来ました」
「他には」
「妖精は森の生き物ですよ、ほかにあるわけないじゃないですか」
「使えねえ」
「試しに、『能力値の表示』と言ってみな」
「『能力値の表示』ですか」
「そう」
アーダが『能力値の表示』と唱えると、目の前に透明な表示板が出てきた。そこには
「超絶美少女への変身、持続時間10分、昼行燈、*****」
「これ俺が与えたスキルじゃないか。でもその後の「*****」は何だ、読めないぞ」
「そうですね、読めませんね。だったら、またキスをすると読めるのではないですか」
「キス」と言う言葉にアライダ達はピクンと目じりが吊り上がったが、今は緊急事態、
「仕方ないな、それにかけてみるか」
「いいのですか、ツェーザル様、ダンゴムシのざれ事に付き合って」
「仕方ないだろう、もうそれしか方策がないのだから」
と言うことで、俺はアーダとキスをすることになった。アーダは待っていましたとばかりに唇を突き出している。みんなが見ている前でするのは恥ずかしい。さすがダンゴムシ、そういうのは気にしないというか、こいつの度胸は大したものだと思う。
突き出したアーダの唇に軽くキスをした。すると辺りが眩しく輝いて、頭の中に
「パンパカパーン、アーダが幾多の困難を乗り越えて再び真実の愛に目覚めたので、転生得点により自分だけが使える異空間を得ました。持続時間の縛りなし」
「ツェーザル様、私、異空間が使えるようになったみたいなのですが、異空間とは何ですか」
「異空間とは、こことは違う空間という意味だ。試しに、その空間に、目の前の菓子を入れてみろ」
すると、アーダは机の上の菓子のところまで行って、「この菓子入れ」と唱えた。すると菓子が消えた。
「どうだ」
「頭の中に、菓子1つと出ています」
「今度は、その空間にお前が入れないか」
「私がですか」
「そうだ」
「やってみますね」
アーダが「私の体よ、入れ」と言うとアーダの姿が消えた。
「これで一件落着、アーダもいなくなった」
「そうですね、アーダがいなければ教会で貼り付けにされることもありませんし」
しばらくすると、再びアーダの姿が現れた。
「ひどい、入り方は教えてくれたのに、出方は教えたくれないんだもの。このまま出られなかったら、どうしようと思いました」
「でも、出られたのだからよかったじゃないか。それでどうだった。アーダの空間は」
「真っ暗で、何も見えませんでした。でもとても広かったように思います。あと、ツェーザル様やアライダ様が見えましたし、しゃべっている声も聞こえました」
「だったら、アーダは普段はその空間に居ろ、そうすれはほかの人間に見つかることもないし」
こうして、アーダの問題は解決したのであった。アーダがこの空間に居る限り、ほかの人には見つからない。それに俺の子を産んでもこの空間で育てればいいのである。ほっと胸をなでおろすツェーザルであった。




