103.ファンファーレの意味
この都市に来て3日目、今日は舟遊びの日である。宿の目の前の遊覧船のところに行った。行ったのはいいのだけど、そこには「舟遊びは冬期はしていません」の張り紙、また宿に戻ってきた。
「今日はすることがなくなったので、寝て過ごすか」
と言うと
「せっかく来たのだから、予定を前倒しして買い物に行く」
と言い出した。
女の買い物は恐怖でしかない。まして昨日城まで行って、たくさん歩いたので疲れている。足が筋肉痛である。
「俺は、疲れているので買い物には付き合えない」
と言うと、アライダ達だけで行くことになった。護衛は公爵家の護衛だけが残ることになった。後の護衛とメイドはアライダ達に付いて行った。
そのあと静かになったので寝たようだ。昼前になったので何か食べようとしたらアライダ達が戻って来た。あまり機嫌がよくない。
「どうしたのだ、買い物が出来たのだろう」
「買い物はしましたが、店が少ない。品揃えが少ない」
「そんなもの王都を基準にたらダメだろう」
「それはそうですが、まさかこんなに少ないとは思いませんでした」
「それで、午後はどうするのだ」
「それは思案中です」
そう言って不満たらたらだったが、「宿にいても暇」ということで、「午後はカフェ巡りをする」と言って出て行った。なんとも活動的なことである。俺は相変わらず宿の部屋でポケーとしている。
宿の部屋から川を見てみるが
「汚い」
それが第1印象、前世の記憶でもきれいな川はBODが1以下、それ以上は汚い川、それが俺の川に対する認識だったように思う。類型指定でいえばA、Bからは汚い川という認識だった。有名などぶ川の道〇堀川のBODが1.8と聞いたことがある。
「あの川で舟遊びしなくてよかったな。水でも浴びたらえらいこっちゃ」
と思った。
そんな事を考えながら川を見ていたら、ダンゴムシや妖精が出てきた。ダンゴムシや妖精は昨日の疲れもあって午前中はおとなしく寝ていたようだが、午後になると起き出してきたようである。護衛に見つかるといけないので昼行燈全開にするように指示した。
すると、妖精の1人が話しかけてきた。
「ツェーザル様、私たちも超絶美少女になりたい」
「お前たちは、今のままでも超絶美少女じゃないか」
「それは姿だけ、大きさはとても小さい」
「小さいと何か不便でもあるのか」
「だって、ツェーザル様の子供が産めない」
今、しれっと恐ろしいことを言った。
「だって、アーダが自慢するのだもの『私ツェーザル様の9番目の妻になって新婚初夜も経験した』って」
俺は恐ろしくなってアーダの方を見た。するとアーダはお腹のあたりをさすりながら
「ひょっとしたら私のお腹の中にはツェーザル様の子供がいるかもしれない」
と言い出した。
そうだ、新婚初夜の時は夫の務めを果たしたのだ。あえて考えないようにしていたが可能性は十分あるのだ。
人間とダンゴムシのハーフ、考えただけでも恐ろしくなる。
それに人間は一度に産む子供は1人か2人だが、アーダは何人産むのだ。それにアーダは何なのだ。ダンゴムシは昆虫それとも違う動物。それもわからん。昆虫は足が6本、蜘蛛は8本、ムカデは100本?アーダは4本ますますわからん。こいつ本当にダンゴムシか。
もう?マーク全開でパニックになりそうだ。おまけに俺の周りを妖精が飛び交い
「私も超絶美少女になりたい」
と言ってくるのだから落ち着いて考えることもできない。
アライダ達に相談しても
「身から出た錆、ご自分で解決してください」
と冷たく突き放されて終わりである。
もう1人の当事者であるアーダは?マークの動物でその種類もわからん。それにこいつそんなことを真剣に考える頭は持っていない。完全に俺の子を産むつもりである。人間とダンゴムシ?のハーフ、こんなのが世間にばれたら俺は異端者として火あぶりにされる。
「おいアーダ、もしお前が俺の子供を産んでも、絶対にほかの人間に知られないようにしろよ。そうしないと俺が火あぶりにされる」
「どういうことですか」
「だって、考えてみろよ、お前はダンゴムシ、俺は人間、もし子供が生まれたらそれは何になるのだ」
「そんなこと、決まっているじゃないですか種族を越えた真実の愛、キャー」
こいつ自分で言っておきながら、自分の言葉に酔ってやがる。
ツェーザルとアーダが結婚した瞬間に頭の中にファンファーレが鳴った意味をいまさらながら理解したツェーザルであった。




