表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
敵国の王に白い結婚で嫁いだ冷遇姫ですが、なぜか溺愛されています〜えっ?あのとき助けた亀はあなたでしたの?〜  作者: しましまにゃんこ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
15/22

15 誘惑の夜

 ◇◇◇


 その日の夜も、深夜まで海に潜っていたカイは、シャワーを済ませてすぐに寝室に向かった。

 伝承に残る場所を片っ端から探しているものの、海はあまりに広く、今だ手掛かりも掴めないまま。

(明日こそは、必ず……)


 部屋に入ると、ふと、嗅ぎ慣れない香りが鼻についた。

 ──甘い、花の香り。

(花でも飾ったのか?)

 ピアラには毎日花を贈っているが、普段自分の寝室に花が飾られたことはない。

 しんと静まり返った寝室に、微かに感じる違和感。

 カイの身体に僅かに緊張が走る。

(──侵入者……)


 衛兵を呼ぼうとしたそのとき、くしゅんと小さなくしゃみの音がした。

(……???まさか……)


 ツカツカとベッドに歩み寄るカイ。

 思い切って上掛けをめくると、そこにいたのは……


「嘘だろ……」

 カイのベッドで、すやすやと眠るピアラの姿を、呆然と見つめるカイ。


「勘弁してくれ……」


 ◇◇◇


「私の夫に手を出さないで!」


 と、勢いよく宣言したものの、実際はキスはおろか手を握ったこともない。よく考えれば、白い結婚とは言え、あまりにもスキンシップがなさすぎるのでは?


 そうは思っても、いまさら引っ込みもつかない。

 元々勝ち気なピアラのこと。

 おめおめと、姉姫たちに言われっぱなしでいられる訳もない。


 気が付いたら、カイの寝室の扉の前に立っていた。ピアラが与えられた王妃の間は、カイの寝室と扉1枚で繋がっている。


 この扉を開けたら、後戻りはできない。


 そう言い聞かせて、そっと扉を開けるピアラ。

 けれど、そこにカイの姿はなかった。


 ホッとしたような、拍子抜けしたような。


 ピアラはぽすりと、カイのベッドに腰掛ける。ついでにゴロンと寝転んでみた。

 ほのかに香るカイの香り。どこか懐かしいその香りに包まれながら、ピアラの目に涙が浮かぶ。


「どこに行ってるのよ……ばか……」


 ◇◇◇


 すやすやと眠るピアラを前にすっかり固まっていたカイは、今度はそわそわと部屋中を動き始めた。


(どうする?どうしたらいい?)


 完全に想定外の出来事だった。確かに寝室は繋がっており、鍵などもついていない。

 彼女が入ろうと思えば、いつでも入れる状態だ。


 が、しかし!


 まさか、彼女の方から寝室に訪ねてくるとは考えてもいなかった。

 おまけにベッドの中にいるのだ。(寝ているが)

 これは、もしかして、もしかするのでは?


 恐る恐る、ピアラに近づくカイ。

 手を伸ばし掛け、ぐっと我慢して止める。

(これは、何の拷問なんだ。この俺を、試してるのか……)


 しかし、ピアラの目元に、涙の跡を発見して、再びピシリと固まってしまう。


(な、泣いてる……)


「ん、んんん……カイの、ばか……」


 寝言でまで!


「……っ」


 どうしたらいいのかわからずに、カイはただ、立ち尽くすのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ