そしてリザードマン戦
「さて、勇者様にはいつもの様に幻と戦ってもらいますか」
勇者パーティがリザードマンを倒す当日となった。ある意味自分達で倒した時よりも気を遣う。
「本当に良い性格よね」
それはお互い様だよな、姐さん。先ずは姐さんに決戦の場となる領主の館に張った結界を解いてもらわなければ。
「結構難しいんですよ。辻褄を合わせるのも」
確かにニーナには苦労させている。
ニーナには冷凍保存してあるリザードマンを解凍してもらった後に、のこのこ来た勇者パーティ全員に幻影を見させて、その幻を相手に戦ってもらう。
「またアレが見られるのか。楽しみだな!」
お前は特に何もしないだろ、ケイン。でもまぁ気持ちは分かる。
端から見れば勇者パーティは滑稽でしかない。
何も無い所で必死で剣で空を切る残念な剣聖。
何も無い所へ長ったらしい詠唱を唱えて魔法を放つもニーナに打ち消されるインチキ賢者。
それを前にして大声で指示を出す自称勇者と、祈るしかない芸のない性悪聖女のエミリー。
いつも笑いを堪えるのに必死だ。
そしてその時がやって来る。
◯▲△
「おい露払い、此処に魔王軍幹部のリザードマンが居るのか?」
「御意にございます。奴の吐く炎の前に私達では太刀打ち叶いませんでした。どうかお気を付け下さい」
「誰に言っている。リザードマン如きがロバート殿下の相手になる筈が無いだろう」
「露払い、目障りだ。消えろ」
残念な剣聖とインチキ賢者が相変わらずの態度だな。
「調査ありがとうございます。充分に休養を取って下さいね」
エミリーの奴が俺を気遣った風に声を掛ける。コイツに気を遣われるなんて本当、虫唾が走る。
「それでは私は失礼致します。ご武運を」
精々楽しませてくれよ!
◯▲△
「俺は魔王軍四天王の1人、ジェラフニード様配下16将の1人、灼熱のオレジオ!」
「我こそは魔王を倒すべく選ばれし勇者、ロバート=デッ!」
名乗っている途中で勇者が慌てて盾を構えて後退した。どうやら奴等に見えてるリザードマンが炎を吐いた様だ。
「魔物とは言え何と無礼な!」
「殿下、ここはこの私にお任せください!」
「火傷は私が治癒します!」
自称勇者は盾で防ぎ切れなかった炎で火傷したらしい。そしてインチキ賢者と残念な剣聖がそれを守る様に構えるとエミリーが自称勇者に駆け寄る。
「………」
未練は無い筈なのに、エミリーがあの自称勇者の手を取る姿を見ると面白くない。何なんだろうな。
「相変わらず、下手な三文芝居の稽古を見ているかの様ですね」
確かにそんな感じだ。いい事を言うなニーナ。
「あいつら幻相手に脂汗をかいているぞ」
「いくら何でも、これ以上弱くしたら魔王軍幹部の設定が怪しくなります」
「どうでも良いんだけど、リーダーの元カノの聖女、あれじゃ子供が転んで膝を擦りむいた傷を治すにも2時間は掛かるわ!」
「そこは私の作った幻ですから補正を掛けていますのでご安心下さい」
露払いに弄ばれる勇者パーティの存在意義って…。
今後は毎日更新は難しい状況になってきました。
出来る限りはしますので、よろしくお願いします。




