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勇者パーティ到着

 俺達、虹色の悪夢がリザードマンを倒した2日後に勇者パーティが町に到着した。


「挨拶して来る。ニーナ、いつも通り頼む」


「毎度お疲れ様です」


 俺がニーナに頼んだのは陰魔法の認識阻害だ。

 勇者パーティと顔を合わせる事になる。終わったとは言えエミリーに会った時に気まずいだろ。


「はい、これで大丈夫です。でも勇者パーティの前では仮面を着けて下さいね。意味無く蔑んで来ますから」


 ニーナの魔法で俺は全くの他人に見えるそうだ。しかも顔には大火傷の跡が見える様にしてもらった。仮面はそれを隠す為に着ける。

 認識阻害で別人に見せ、更に大火傷の跡が見える幻影、そして物理的に仮面。この3重のガードで本当の顔を隠す。エミリーであっても俺だとは分かるまい。



◯▲△



「申し訳ございません。我ら露払い如きでは命からがら逃げ出す事が関の山でした」


「安心しろ、最初からお前達に期待などするものか。で、魔王軍の幹部のリザードマンで間違い無いのか?」


 自称勇者か。

 勇者パーティの前に跪く俺を、どうやら連中は実に下らない物を見るかの様に冷めた目で見ている様だ。

 まだ顔を上げる事を許されていないので推測でしか無いのだが、この熱の無い視線は分かる。


「間違いございません。その口から吐く炎で魔王軍でも上位の実力者にのし上がったと豪語しておりました」


「それは丁度良い。ここまでの道中では魔物1匹出やしない。身体が鈍っていた所だ」


 残念な剣聖が口を挟む。あの夜、鎧を剥ぎ取られ下着姿で王都の往来で寝ていた所を更に物取りに下着まで取られて全裸で寝てたクセに一丁前の武人らしい事を言う。

 自身の()()()()が市民から嘲笑されているって知っているのかな?

 

 魔物1匹出ない? そりゃそうだろ。ニーナの広域索敵魔法で隠れている魔物まで見付け出してケインの剣とニーナの魔法で殲滅する。仕上げに姐さんが要所要所で浄化を施して魔物の発生を防いでいるのだから。

 コイツらにレベルアップなんて絶対にさせない!


「分かった。下がれ。目障りだ」


 今度はインチキ賢者が傲慢に手を振って追い出そうとする。ニーナの魔法を1ミリも見破れないとは、やはりインチキ賢者の血筋と本当の大賢者では格が違うか。


「大丈夫ですか? お怪我は?」


 遠慮なくその場を去ろうとする俺に聖女であるエミリーが声を掛けて来た。

 この性悪女、魔王討伐の旅に出て以来こうして何回か絡んで来る機会が有った。その度に知らない人が見たら誤解する様な優しく見える態度を取る。

 本当、慈悲深い聖女ですってアピールに虫唾が走る。

 俺の事は隣国から逃げ出した奴隷とか抜かしてたクセに。


「いえ、私のこの火傷は此度のリザードマンとの戦いで負った物ではありません。もう何年も前の傷跡でございます。前回の報告の時にも同じ事を聞かれて同じ様にお答えしました」


 取るに足りない小物だと見くびっているから何回も言った事を忘れるんだよ。本当に失礼な奴だな。

 

「ごめんなさい。それは分かっています。それ以外に今回の魔物討伐や探索でお怪我をしていないかと思いまして」


「それは失礼しました。お気遣いありがとうございます。お陰様で聖女様のお手を煩わせる怪我はございません」


 有ったとしても姐さんの足元にも及ばないお前如きの世話になるか。

 勇者パーティとは本当に胸クソ悪い奴らだ。こんな連中に報告とかしなきゃいけないって、リーダーってやっぱり面倒くさい。


 だがまぁいい。

 このままノンストレスな経験値ゼロの平坦で快適な旅を用意してやる。

 魔王の玉座の前までは。

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