勇者の露払い?
「そんな事が…」
「クリスさんは違う世界の方だったのですね」
俺が40歳で死ぬ所を若返ってこの世界に転移した事を皆に告げた。
姉さんもニーナも言葉を失っている。俺の事を告げた事は失敗だったかという考えが浮かんだ時だった。
「なーんだ、自分は40歳じゃない! それで私の事を年増扱いするなんて!」
「そうですよ。それに私なんか200年前の人間ですよ。私からすればお婆さんがいらっしゃるだけ恵まれています!」
「それによ、こう、どう言うのか良く分かんねぇけど、それくらいの事はどうって事無いんじゃないのか? 違う世界の人間って言っても出身地が変わっているってだけだろ。俺達みんな何か理由ありって事でいいじゃないか」
姉さん、ニーナ、ケインは異世界転移を特に気にする事も無く受け入れてくれた。
「ありがとう、みんな。でもケインは「俺達」って言っていたな」
「ああ。さっき剣聖に勝つ前にそっちの姐さんと賭けをしたよな。俺が勝つのと腕を再生するの、どっちが早いか」
「あぁ、そう言えばしたわね!」
姉さんが少し驚きながら思い出した。声も少し大きい。
「その賭けに勝った権利を行使するぜ」
ここでケインは椅子を少し引いてテーブルに両手を付けた。
「頼む、俺を仲間に加えてくれ!」
ケインはテーブルに頭を付けて懇願した。
「仲間って?」
俺は姉さん、そしてニーナと顔を見合わせる。確かに一緒に旅はしたが正式なパーティではない。
「私からもお願いします!」
今度は立っていたリリーが身体を90度に曲げて頼み込んだ。
「さっきの剣聖との戦いを見て思いました。この人は王都に縛り付けてたらいけない人だって。こうして五体満足になったからにはボディガードよりも冒険者として魔物討伐している方が合っていると思うんです。きっと皆さんのお役に立てます。だからどうか、お願いします」
「でも私達はこれからどうするのか決めてないのよ」
「そうです。クリスさんが聖女に振られて今の私達は目的が無くなった所なんですから」
それを強調するなよ!
「それでしたら!」
リリーが明るく大きい声だ。
「皆さんにピッタリの依頼が有ります!」
「依頼?」
「はい、夜が明けたら正式発表なのですが、実はギルドでは勇者パーティの露払いをする冒険者パーティを募集します。どうですか?」
正式発表されてないって事はギルド職員からのリークって事か。
それにしても勇者パーティの露払いって何なんだ?




