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姉さんは悪役令嬢?

「私はあのカールを絶対に許しません…。勿論その系統である今の賢者も!」


 真の大賢者であるニーナを本気で怒らせた偽りの大賢者カールとその末裔である現在の賢者は相当の報いを受ける事だろう。


「勇者パーティのメンバーが憎いのはニーナちゃんだけじゃないわよ!」


「どういう事ですか?」


 ニーナを励まそうとした姉さんが突然言い出した。


「私はあの自称勇者に恨みが有るのよ!」


「自称って、第8王子だぞ」


「第8だか大工だか知らないけど、あの男は私を陥れたのよ!」


「本当?」


「嘘を言ってどうするの! あれは10年前、あの自称勇者の王子がセグロット王国に留学中の事よ」


「姉さんが聖女として活動していた時だ」


「そう。思い出すのも腹立たしいから掻い摘んで言うけど、聖女は王族と結婚する慣わしで私もセグロット王国の王太子と不同意のまま婚約させられたわ。あの愚鈍と!」


 王太子なのに散々な言われようだな。


「でもムカつく事に私よりも他の令嬢、それも男爵の令嬢と結婚したいなんて言い出して、留学中のロバート王子が「偽聖女として断罪して婚約を破棄すれば良い」なんて讒言したせいで本当に断罪されたのよ!」


 このパターンだと姉さんは悪役令嬢になるのか?


「しかも死刑よ! 父親からも絶縁されるし」


「誰も味方は居なかったのですか?」


「騎士団長が「偽聖女だなんてあり得ない。多くの部下が彼女に命を救ってもらった」って言ってくれたけど判決は覆らなくて」


「でも生きてますよね?」


「騎士団がストライキを起こしたそうよ。騎士団とは一緒に仕事をしたから。それで終身刑に減刑されて10年も服役していたのよ!」


「10年も? 冤罪ですらない、王太子の都合なのに!」


 女性にとって18歳からの10年間って凄い大事だよな。姉さんの怒りはもっともだ。


「頭に来るでしょ。10年経って結局は男爵令嬢だった王太子妃は子供を産めずに、若い側妃が王子を産んだの。その恩赦で釈放されたと思いきや、そのまま国外追放よ。私が国内に居たら都合悪いんでしょ!」


「つまり原因を作ったのはあの自称勇者か」


 もう殿下だなんて思わない。

 

「でも姉さん、そのお陰で愚鈍な王太子と結婚しなくて済んだという見解も」


 ニーナの言う事ももっともだ。そんな王太子と結婚するのもどうかと思う。


「色んな政治的理由で結婚しなくちゃならなかったけど、お互いに好きになれない事は分かっていたから、最初に決めたのよ。白い結婚で3年経ったら子供が出来ない事を理由に離婚するって約束だったの。それなのにどうしてもあのブサイク男爵令嬢とすぐに結婚したいなんて言い出して」


 言う度に姉さんの顔が悔しさで険しくなっていく。

 それにしても思うのは、ブサイクを愛して姉さんは愛せないって、相手の王太子はブス専なの?

 それ以外の理由としては、家柄なのかな?


「姉さん、相手は貴族だろ。相手が悪いよ」


「何を言っているの、私の実家は伯爵家よ!」


「えっ、姉さんは貴族?」


「ああ、でも妾腹でお母様は平民なの。暫く放っておかれたのに聖女だって分かった途端に父の元に迎え入れられたわ。伯爵令嬢の時の名前はアリシアなの。アリーはお母様と暮らしていた時の名前ね。マッキャロンもお母様の姓なのよ。だから今の私は貴族でも聖女でもなくて冒険者、アリー=マッキャロンよ!


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