ニーナは何を企む?
「ケインさん、あなたが本気でその腕を何とかしたいと願うのでしたら私達は協力しましょう。ですが出来る事とそうでない事が有ります。私達ではケインさんの腕を治せないのですよ」
ニーナは嘘は言っていない。出来るのならば協力したい。
しかし姉さんの正体を明らかには出来ないし第一、姉さん自身が聖女の治癒能力では傷が古くて治せないと言っている。
とどの詰まり、打つ手無しだ。
それにしても姉さんよりも聖女の能力が劣るエミリーに治させるなんてニーナは何を考えているんだ?
「しかし聖女様なんて俺が診てもらえる訳が無いだろ」
「フッフッフ、それが可能なんですよ。何を隠そうこちらのクリスさんこそ、聖女様とは少なからぬ縁が有るお方ですよ!」
俺とエミリーには無関係なニーナが何故か誇らしげだ。
「聖女に会いたいなら聖堂に行く事ね。早速明日にでも行きましょ」
姉さんまで乗り気になって来た。
「姉さん、どういうつもり?」
「その方が面白そうじゃない!」
やっぱりそうか。この先もこの2人に振り回されそうだ。
◯▲△
翌朝、ケインを加えた俺達4人は聖堂へと向かった。
「姉さん、本当に聖堂にエミリーは居るの?」
「万国共通で聖女は教会が支配下に置きたいのよ。教会の権威の為にね。だから聖女として教育するとか言って囲っている筈よ」
「姉さんもそうだったの?」
「ええ。今思い出しても腹立たしい! 本当にこき使われたわ。あの頃の私は教会には従わないといけないって思っていたからね」
俄に不機嫌になった姉さんが吐き捨てる。
「まぁまぁ、落ち着いて下さい。その過去が有るから今の姉さんが在るんですよ」
「ニーナちゃんが急に大人びた事を言うわね」
「そりゃ、戸籍的には215歳だか…」
バシャーン!
言い終わらない内に俺は何も無い頭上からバケツ一杯程度の水を浴びせられた。言わずもがな、ニーナの魔法だ。
「クリスさん、次は熱湯を浴びせますよ」
見た目はにこやかだがニーナの目は笑っていない。はい、以後気を付けます。
◯▲△
王都の中心部に在る大聖堂に着いたが、大聖堂は衛兵が配備されて何だか物々しい。
この警備からしてここにエミリーが居る事は間違い無い様だ。
さて、どうやったら会えるのか。
「それじゃ行きましょう」
ニーナが凄く気楽に言うと同時にスタスタと入口に向かって行く。
「ニーナ?」
「そこで考えていても始まりません。私にお任せ下さい。多分何とかなります!」
ニーナに数秒遅れて俺達もニーナを追った。その背中を見ながら姉さんが俺に囁く。
「クリス君、ニーナちゃんは結構ヤバい魔法を使うかもよ。いざとなったら羽交い締めしてでも止めて」
「分かった」
とは言え、ちょっと待て。俺は身体は18歳の日本男子、中身は40歳、この世界の生まれではないので魔力も無ければ特別なスキルも無い。
200年前の大賢者のブレーキになれるのか?




