バレた?
ケイン達とは酒場で別れた俺達は夜の王都を散策しながら宿屋へと向かった。
今日の宿屋はツインルームとシングルを取れたから久々に安眠が出来そうだ。
「姉さんとニーナは女同士でツインな。俺はシングル…」
「ちょっと待ってくれ!」
不意に背後から声掛けられる。ケインだ。
「アンタらに話が有る!」
◯▲△
「話の前にリリーさんは?」
俺達は改めて宿屋近くの酒場へ入った。
「あいつの家まで送って行ったぜ。それからここまで走って来た」
「よく分かったわね?」
「査定の時に書いた書類の連絡先にあの宿屋に泊まっているって書いてたそうじゃねぇか。それをリリーが覚えていて教えてくれた」
職権濫用だな。しかし俺達は王都のギルドにまた行く保証は無い。俺達に用が有るのなら悪くない判断だ。
「まぁいい。それで話って?」
「さっきのダークブラッドグリズリーの手、あれはどう見ても同じ物だ」
「そりゃ同じグリズリーだからな」
「俺が聞きたいのはそっちじゃねぇ。本来なら固体差が多少は有る筈なのに全然無い! 全くの同一固体だ!」
「そっ、そんな同一固体なんて事が有る筈無いだろ」
実は全て同一固体だってバレた?
「俺の目は節穴じゃねぇぞ。僅かな特徴まで同じ所に付いているじゃねぇか」
良い目をしてるな。これはもう誤魔化せんか。
俺は先ずは姉さん、次にニーナと顔を見合わせた。二人とも表情は引き攣っている。多分俺もそうだろう。
確たる証拠は無いが状況証拠とでも言うべきか、そんな事まで分かっていたら疑わずにはいられないだろう。
もちろん偽造した訳では無いので出る所に出ても構わないのだが、姉さんが聖女である事は絶対に知られてはいけない。
「もしかしてだけどアンタら、切られた手を生やす事が出来るのか?」
「そんな事が出来る筈が無いだろう。ははは…」
思わず白々しい笑いも出る。これで信じてもらえるとは思わないけど。
気持ちは分かる。しかし姉さんが聖女である事は絶対に守らなくてはならないトップシークレットだ。
悪いな。
「それじゃあの手はどう説明するんだ?」
「どうもこうもありませんよ」
ここでニーナが前に出て来た。
「切っても切っても手が生えてくる魔物がいたのですから、頂ける物を頂いただけですよ」
「そんな魔物がいるなんて聞いた事が無いぞ」
「私達も初めて見ました」
もう何でも良いからこのニーナの信じ難い説明で押し切るしかない!
「あっ、良い事を思い付きました!」
ニーナが本当に何か思い付いた様だ。
「勇者パーティに加わる聖女様が王都に到着されたではありませんか。ケインさんの手は聖女様にお願いしましょう!」
エミリーにケインの腕を治させる?
ニーナの奴、何を考えているんだ?




