酔っ払った受付嬢
「ケイン=エドリーだ!」
「リリー=トレバンです」
俺達はギルド近くの酒場へ移動して親交を深める事にした。
「俺はクリス=ベイリー、こっちはアリー=マッキャン、そしてニーナ=ブライトンだ。よろしく」
手の無い剣士であるケインとギルドの受付嬢のリリーに酒を奢る事が査定アップの条件ではあったが、このケインとは話がしたかったのは事実だ。
実はここに来る前にギルドの中で姉さんとこんなやり取りが有った。
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「姉さん、広場はまた明日だな。今日はあの2人と飲みに行けば10万クロルになるから」
「仕方ないわね。それにどうもあの受付の子、あの彼に入れ込んでるわね。ハンデキャップを背負いながらも冒険者稼業に身を置く彼とそれを受付嬢として支える彼女、ちょっと楽しめるかしら」
姉さんはいたずらっぽく微笑む。こういう時は何か企みそうだ。
「それにあの彼、手が無いとは思えない位に戦闘に関わるスキルのレベルが高いわ。これで手がまともならどんな事になるのか想像も付かないわね」
姉さんがあの男の状態を見たか。確かにオーラと言うか雰囲気の様な物は感じる。
「私はどうしますか?」
ニーナは15歳だ。この国では16歳から飲酒が許可される。生年から数えるとには215歳なんだけど。
「好きにして良いけど、宿屋にいるか?」
「それも寂しいので酒場へ行って大人の階段を登ってみます!」
ニーナの顔が妙にやる気に満ちあふれていた。
◯▲△
「ケインさんは先代の剣聖から将来を嘱望されていたんですよ! それなのに…」
「分かったから、それ以上は言ってくれるな」
酔った受付嬢のリリーが管を巻いている。
しかしこのリリー、酔ってもテーブルに並べられた料理は必ずケインが食べやすい様に取り分けている。気が利くな、ケインには。
一方のケインはと言うと、酒が入ってしどろもどろで饒舌になったリリーを抑るえているが、その表情はサバサバしている。
「その先代の剣聖ってのは、今の剣聖のお父様てすよ。立派な方でした。今のと違って」
「剣聖ってエセルさんの子孫ですよね?」
かつての仲間に関わる話題だからか、ニーナが身を乗り出した。
「ちょっとあなた、剣聖エセルをさん付けって、そんな知り合いみたいに言わないの! 飲み過ぎじゃない?」
結局15歳なのでソフトドリンクしか飲んでないニーナが酔っ払いとなったリリーに言われている。
「エセルさんは気は優しくて力持ち。剣聖の称号を受けても偉ぶらず気さくな方でした。性格って遺伝しない物なんですね」
一見すると酒に見えるジンジャーエールを飲みながらニーナがかつての戦友を懐かしんでいた。




