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王都に到着して

 ニーナが仲間に加わってからは旅がガラリと変わった。

 実を言うと最近では魔物狩りにも慣れて魔物の身体が部材としか見えなくなってきたのも事実。

 現代の日本人の記憶を取り戻してからは違和感有ったけど、冒険者としての仕事だと割り切ったら何も感じなくなった。

 特に牙や爪は高く売れるので、ニーナがウインドカッターで腕ごと切り落として、姉さんが魔物を治癒して再生させる。そしてまた切り落とす。これの繰り返しで荒稼ぎして旅の資金は潤った。

 欠損箇所の再生には生命力を費やすそうなので無限に出来る訳じゃないが、魔物でも切った腕を再生させるって聖女の治癒能力って恐ろしい!

 それにしても魔物からしてみては何回も腕を切り落とされるのだから溜まったものではないだろうし、現代日本人としてはいくら魔物とは言え倫理的に疑問も感じない訳ではない。

 しかし姉さんもニーナも特に何も感じてはいない様だし、この方法を考え付いた人物こそ200年前の聖女キャロルだそうだ。

 200年前の勇者パーティはこの方法で旅の路銀を稼いでいたらしい。

 所変われば品変わる。常識や考え方も変わる様だ。



◯▲△


 

 旅を続けて数日、何とか王都へと辿り着いた。

 俺達は徒歩なのに対してエミリーは馬車だ。エミリーが到着して既に数日が経っている筈だ。

 本音を言うとすぐにでもエミリーの所に行きたいが相手は勇者パーティの聖女だ、簡単には会えないだろう。

 焦らずじっくりと行くしか無い。そういう訳で先ずはギルドへと向かった。

 折角の王都だ。どうせなら楽しみたいが何をするにも金が要る。だからマジックバックの中身を早いとこ換金しなければ。


「場所が変わってなければギルドはこちらです」


 200年前は王都に住んでいたニーナが案内してくれるが、その記憶はニーナにとっては少し前でも実際には200年も経っている。


「色々と変わっていますね」


 そりゃそうだろう。むしろ変わってないと何の進歩も無いって事になる。


「この先の広場を通り抜けるとすぐの筈です」


 ニーナの言った通り広場に出た。凄い人だ!


「これが王都の広場なのね!」


 視界が開けて人々の賑わいを見ると姉さんの声も明るくなる。


「はい! 祖父の下での修行時代には露店や大道芸人で気晴らしたものです」


 ニーナの言葉通りあちらこちらに露店が有る。


「ねぇニーナちゃんクリス君、何か食べましょ!」


「姉さん、ギルドが先だよ。マジックバックの中身を換金しないと金が無い」


「ならさっさとギルドに行くわよ!」


「はいはい」


 露店に興味津々な姉さん、今日中に露店の何かを口にしないと後が怖そうだ。


「ちょっと待って下さい!」


 早口でそう言ったニーナが何かを見つめている。


「勇者の像?」


 広場の中心に4人の男女の石像が有る。それを見つめるニーナはボソボソと呟いている。


「ニコラスさん、エセルさん、キャロルさん…」


 ニーナの口から出た固有名詞、それは200年前の勇者、剣聖、聖女だ。

 もう1人、大賢者の名前が出て来ない。代わりに何かを呟いている。


「…」


 ドォーン!!


 突然、賢者の石像は謎の爆発を起こした!


「すみません。ムカついたので」


 これだけ人が多い広場のシンボルとも言える石像が突然の爆発を起こしたのだ。周囲は蜂の巣をつついたかの様な大騒動になっている中ニーナは淡々とこの爆発は自分が起こしたと俺達にだけ自供した。


「ちょっとニーナちゃん、やるなら先に言ってよ! ギリギリだったわよ!」

 

 この爆発で1人も怪我人が出なかったのは何かを察した姉さんが咄嗟に簡易的な結界、防壁を張ってくれたからだ。

 完璧聖女が身内で良かった!


「ニーナがやったとバレる前にギルドに急ぐぞ!」


 自分をマジックバックに閉じ込めた相手だ、無理も無い。責めるつもりは無い。

 俺はニーナの手を引いて足早に混乱を極めるその場を後にした。

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