ケインの話を始める
すっかり昔話が長くなってしまった。
「ニーナが仲間になったのはこんな感じだったな」
「そうねぇ。あの時は確か翌朝にギルドでニーナちゃんの身分証を発行してもらったのだけど、ニーナちゃんったらやらかしちゃったから」
「あれは魔力測定器が脆弱だからです。あれでもかなり抑えたのですが」
ニーナは魔法使いで登録して身分証を発行してもらうつもりだった。流石に200年前の賢者の身分証は使えなさそうだったからな。
「予想が付くと思うけど、魔力測定器が振り切れて使用不能になっちゃったのよ。ギルド的には私の妹だから仕方無いって感じだったけど、何か未だに釈然としないのよね」
ちなみに姉さんの身分証に記載されている職業は未だに武闘家のままだ。本人的には不服らしい。
「そうなると次は俺の番だな!」
ケインがジョッキをクイッと空けて身を乗り出した。
「あっ、そろそろ夜も更けてきました。続きはまた今度」
見習い使用人のトーマスがここで話をきり上げた。男のは聞きたくないのかよ。
「ん? 俺のは聞かないのかよ、お前もしかして帰るのか?」
「はい」
「そんな事言わずに聞けよ!」
ニーナが加わった経緯を聞ければ用は無いとでも言わんばかりに席を立とうとするトーマスを酔っているケインが強引に引き戻した。
「今お前を掴んだこの手、この手はリーダーに貰った手なんだ」
そうだな。ケインの手は俺達の絆の象徴とも言える。
◯▲△
ニーナを仲間に加えた俺達は王都へと向かい旅を続けた。途中で魔物をニーナの魔法と姉さんの破邪で倒したけど俺は何もしていない。
ナイフで魔物に立ち向かえる程の腕前ではないんだな。残念ながら。
そう言う訳で俺の役目は自然と2人のフォローになる。魔物の注意を逸らしたり、姉さんが結界を張る前に飛び掛って来る魔物から2人を守ったり。
魔物との戦闘後は戦利品の管理だ。
姉さんの破邪だと魔物を倒しても魔石しか残らないが、ニーナは使う魔法にもよるけど魔石の他に角や皮も残る。これは売り物になるのでマジックバックに入れて管理は俺の仕事だ。
それくらいしないと気が引けて。
「それにしてもニーナの魔法も姉さんの能力も凄いな!」
「それ程でも」
褒め慣れてるのかと思いきや、ニーナが何だか照れている?
「実は当時の世界最強の魔法使いであった祖父の孫なら当然って感じで、魔法で褒められた事が無かったので」
「初めて褒めたのが俺?」
ニーナは無言でコクンと頷く。顔も少し赤い気がする。
「新鮮ね。私なんか褒められると言うよりも、おべっか使われてたわよ」
聖女時代を思い出したのか姉さんはつまらなそうだった。
「クリスさん、どの魔法が良かったですか?」
「ウインドカッターだな!」
真空波で鮮やかに相手を切る風属性の魔法だ。
「そうですか、あれなら幾らでも出しますよ!」
確かに無詠唱で凄くお手軽に出してくれる。こんな事で賢者の実力を知る。




