メンバーを紹介する
「ねぇリーダー、このトカゲ相手なら私かケインかニーナちゃんの誰か1人が適当に相手してあげれば終わっちゃうからこのままじゃリーダーの出番、本当に無いわよ」
姐さん、確かにそうだけど討伐する方に俺はカウントする気はゼロなの?
「そうですよ! これはリーダーにしか出来ないとっても大事なお仕事です!」
ニーナが笑顔でフォローするが正確には、誰もやりたくないじゃないのか?
「リーダー、さっさと終わらせて飲みに行こうぜ!」
ケインを見ていると脳筋ってある意味ではすごい羨ましいなって思う。
ヨシ、もういいや、覚悟は決めた。
「我らは勇者様御一行の露払い!」
「ちょっと待ってリーダー、このトカゲはもう死ぬからそれは言わなくて良くない?」
姐さんからツッコミが入る。おっしゃる通りです。
「改めて、最強のメンバーを紹介する!」
目の前のリザードマンはもうすぐ死ぬ。コイツに俺達の正体を明かしても問題無いだろう。
「先ずは、この世に斬れぬものは無し! 勇者パーティの剣聖を切り刻む事、4回! もはや人の身の限界を超越する剣技を繰り出す様はまさに剣神、ケイン=エドリー!」
「ちょっとリーダー、あの残念な剣聖を斬ったのは5回よ! その度に私が死体の1歩手前から治しているんだから!」
「そして私が魔法であの残念な剣聖の記憶を改ざんしています」
散々だな剣聖。俺達は彼を親しみを込めて残念な剣聖と呼んでいる。
姐さんが訂正してくれたがケインの才能は現在の剣聖を遥かに凌駕している。それ故に剣聖と因縁が有り、堪忍袋の緒が切れて5回も剣聖を切り刻んでいる。
ケインとの差は開く一方、だから残念な剣聖。
それにしてもケインの堪忍袋の緒はもう少し丈夫にしてくれると助かる。メンバーがフォローするからまだいいけど。
さぁ次は姐さんか。
「続いては、治癒、浄化、結界、祝福、破邪、5種全ての聖女の能力を併せ持つ千年に1人の完璧聖女! そして持って生まれたその聖なる能力を撲殺に使う武闘派聖女にして我がパーティの副リーダー、アリー=マッキャロン!」
「誰が武闘派よ!」
すかさず怒声が飛ぶ。
だってさっきも聖女の結界の応用である防壁を魔物に押し当てて始末していたから充分に武闘派だろ。俺に紹介なんか任せているんだ、全権委任って事で抗議は無視させてもらう。
聖女の能力は治癒、浄化、結界、祝福、破邪の5つに分けられる。どれか1つでも貴重な存在なのだが、千年に1人だけ全てを兼ね備えた完璧聖女と呼ばれる聖女が生まれると言われている。
それが、女優のように整った小さな顔を今は般若の様にしているこの姐さん。
「続いては、216年前に生を受け、200年前の聖戦では弱冠15歳にして魔王をあと一歩まで追い詰めた真の大賢者が奇跡の大復活! ニーナ=ブライトン!」
「ちょっとリーダー、それだと私がまるで、216歳みたいじゃないですか!」
ニーナが口をとがらせて不機嫌になるが嘘は言っていない。
本人によると、200年前の魔王との聖戦で魔王を打ち破りトドメを差す直前に裏切り者に文字通り背後から不意打ちを受けマジックバックに封印されてしまったそうだ。
それをひょんな事から1年前に俺と姐さんで封印を解いて今に至る。
だから戸籍上の実年齢をシンプルに計算すれば、216歳となる。マジックバックの中は時が止まっているので身体的には16歳だけど。
「最後、リーダーね」
最後は俺の番だ。自分では出来ないので副リーダーである姐さんにしてもらう。
「そして我らがリーダー、クリス=ベイリー!」
それだけ? 随分とシンプルだな!
姐さん、忘れてないよな? 俺が5年前に異世界である日本から転移して来て、その際に40歳から13歳に若返って、記憶を失っていた事を。
1年前に姐さんのお陰で記憶を取り戻して、身体的には18歳でも中身は40歳である事を。
そこをもっとうまい具合にドラマチックに紹介してくれよ!
「役割りは私を命懸けで守る盾役よ!」
「いや、俺と一緒に切り込み背中を預け合う剣士だろ?」
「元々は確か矢をペシペシ放つ弓撃手とかじゃなかったですかね?」
完全スルーかよ!
皆で好き勝手に言ってくれる。
分かり易く言えば、リーダーと呼ばれながら前衛、後衛、その他都合良く色々こなすマルチタスク。それが今の俺だ。




