冒険者登録は難しい
「なるほど、それでお2人は旅に出られたのですね」
「そうよ。その後にニーナちゃん、王都に着いてからケインが加わったの」
「ニーナさんはどうやって加わったのか、是非聞かせて下さい。詳しく」
トーマスと名乗った使用人見習いは身を乗り出して来た。コイツ、俺の時とは全然態度が違うな。そんなにニーナが気になるのか?
確かにニーナは10代半ばの可愛らしい少女に見える。だがその見た目に騙されてはいけない。
その正体は、2百年前に魔王を追い詰めた勇者パーティの賢者なのだから。
「私ですか?」
「はい!」
トーマスは目を輝かせてニーナを見つめてる。それもどうかと思うが。
「仕方ありませんね。リーダー、お願いします」
「それも俺なのか。それじゃ仕方ない、話すか」
どうやらニーナも拒むつもりは無いみたいだし、酒が入って饒舌になった俺はニーナと出会った時の事を思い出した。
◯▲△
村を出て俺達は王都へと向かった。
しかし所持金は心許ない。となると途中、路銀を稼ぐ為に冒険者登録をして魔物を狩る必要が有るのだが、その登録が中々難しい。
もうすぐギルドの有る最初の街に着くのにまだ登録の準備が出来ない。
「ねぇクリス君、私のは聖女の特殊能力であって魔力じゃないのよ。だから魔法使いとして登録の時に魔力を測ったら魔力不足となるわ。だから魔法使いとするのは無理が有るかも。」
「それもそうか。うーん、何とかするしかないな」
アリーさんの能力の事は旅をしながら聞いている。
俺と婆ちゃんを助けてくれた時に使った破邪の能力も魔法ではないそうだ。
アリーさんによればあの破邪、無敵の様にも見えたが致命的な弱点が有るとの事。魔物や魔族、それに邪心を持つ人間には有効なのだが、邪心を持たない相手には効果が無い。
つまり自分を殺そうとする相手でも、それが少しも悪い事だと思ってない者には効かないそうだ。
具体的には自分の行いが正しいと信じて疑わない狂信者の様な者や、仇討ちの様に覚悟を決めている人、熊とかの獣がそれに当たる。
それに意外と射程距離が短いそうなので、使用は限られるかも。
「クリス君、宿屋はシングル2部屋でお願いしたいわ」
「是非そうしたいね、金が掛かるけど」
アリーさん相手に間違いは無いと言いたいが、アリーさんは客観的に見てかなりの美人だと思う。
このグラマラスな美女を前にした場合、我ながら情け無いが保証は出来ない。
俺って中身は40歳だし。
それが何でも全快で行ける18歳の肉体を手に入れてこんな美女と同じ部屋に泊まる。
18歳って本当に何でもガンガン行ける年齢なのに手は出せないって精神的にこの上なくキツイんですけど!
「その為にも早く冒険者登録をしなきゃ。書類とか手続きはよろしくね!」
「はいはい」
この人、実は面倒事は押し付けるタイプ?
「返事は1回!」
「はい!」
「よろしい。あっ、街が見えて来たわ!」
すっかり自分のペースに持ち込んだアリーさんが無邪気に指差した先には村から王都へと向かった際に最初に通る町が在る。
俺達は人気の無い門に疑問を感じながらも、中へと入った。




