仕事
「リディア今日時間ある?」
「アレン?どうしたの?今で良かったら聞くよ?」
「ハナちゃんが…」
「うん。」
「色んな男を誑かす悪女だったんだ!」
「え?えぇ!?!嘘でしょ?」
「同級生にも数人騙された奴がいたらしい…」
アレンがしくしく泣いている。まさか長年思っていた相手が悪女だったなんて…。
「リディアぁ!俺どうしたらいい?!」
「えぇ…っと新しい良い子に出会えるよ。きっと。」
「ありがとう。飲みに行かない?ゆっくり話聞いてほしいな。」
「ゴメン。ちょっと忙しいんだ。また時間ある時に職場で話聞くね。」
立ち去ろうとした私の手をアレンが掴む。え?何?アレンはジッと私を見つめてくる。
「ハナちゃんの事より今断られた方がショックだった。俺本当はリディアが好きなのかな?」
「え?!違うんじゃない?ハナちゃんの事があって変になってるだけだよ!」
「いや俺リディアが!」
「はい。離して。」
グッと手が離されアレンと私の間に白い服の人が入っている。昨日近くで嗅いだ良い匂い。
「ルシウス様…」
「アレン。リディアは私のだから触らないで。」
「へ?ルシウスの?いつから?」
「ずっとだよ。最近やっと私の方を向いてもらえたんだ。邪魔しないで。」
「あ…そうなんだ。リディアとルシウスが。あぁ意外だな。」
庇ってくれギュッと繋がれる手が温かい。アレンに好きかもって言われても全然ときめかなかった。ルシウス様のおかげかな。
「そういう事だから。今後は2人で会わないでね。リディア行こう。」
少し悔しそにしているアレンを置いてルシウス様と歩き出す。手が繋がれたままでいいのかな。
「リディアごめん。」
近くの部屋に入った途端ルシウス様に謝られる。何がだろう?助けてくれたのに。
「庇ってくれてありがとう。嬉しかったよ。」
「アレンがリディアの事を好きな気はしてた。いつもすぐリディアに話しかけてたし。ハナとかいう子が嫌な令嬢なのもわかってたし。」
「え?そうなの?」
「いつも高位貴族達に擦り寄ってたよ。私も何度か誘われたけど、無視してたら寄り付かなくなったよ。」
「そうなの?!ルシウス様にまで??!」
「アレンは後が面倒くさそうだから彼女声かけなかったみたいだね。さっさと声かけてくれたら、早くリディアを私のものにできたのにね?」
知らなかった。ハナちゃんがそんな子だったなんて…ルシウス様がハナちゃんを好きにならなくて良かった。私のなのに。…え?私のでは無いよ?独占欲?
「アレンから隠したけど彼の所に行きたいなら…今ならすぐ手に入るよ…」
「ルシウス様は私を離さないのでは無かったのですか?」
「リディアの幸せが1番だから。」
「私の幸せを願うなら一緒に居てください。まだ待ってと言ったけど、私ルシウス様好きみたいです。一昨日までアレンって言ってたのに…」
「リディア大好き。愛してるよ。」
そっと抱きしめられる。ルシウス様の声が少し震えてる気がする。泣いてる?頬に片手を添えルシウス様を見ると瞳が潤んでいる。
「ルシウス様可愛い。大好きです。」
「ありがとう。もう離してあげられないよ?本当にいいの?」
頬に添えた手をルシウス様の手が包み込む。優しい手だな。
「これから色々連れてってくれるんですよね?楽しみです。一緒に居たいです。」
ルシウス様が目の前にいる。近くない?ふと唇が重なる。口付けをされた。角度を変え何度も口付けが降ってくる。
「ふわぁ…ルシウス様…」
「リディア可愛い。大好きだよ。」
とめどなく降ってくる唇に翻弄されてしまう。腰を抱かれ好きだって何度も伝えられ口付けが止まらない。待って欲しい。初心者が階段を駆け上り過ぎている。
「うわっ!リディア大丈夫?」
「もう無理…」
気づくとソファーに寝かされていた。ここどこ?何でソファーに?
「あ!リディア!ゴメン!」
「ルシウス様?」
「嬉し過ぎて調子に乗りすぎた。」
ごめんと項垂れるルシウス様に先程の事を思い出し顔が熱を持つ。とめどない口付けに気を失ってしまったらしい。恥ずかしい。
「ここ執務室?」
「うん。倒れちゃったから運んできた。無理させて本当ごめんね。」
「次からは気をつけてくださいね…まだ婚約者でも無いからダメですよ。」
「うん!早く婚約しようね。早急に準備するから少し待ってね。」
「早くない?」
「んーでもさっき皆にバレちゃったし良いと思うんだよ。」
「さっき?」
「ここに運ぶのに皆見てたから。」
「あ…まさかわざと?」
さぁ?と微笑むルシウス様は悪い顔で笑っている。他の人呼ぶとかいくらでもあるのに、わざわざ自分で目立つ所を私を抱え歩いてきたのだろう。
「リディアおめでとう!殿下の恋が実って皆安心したよー」
同級生の集まりでそんな事を皆に言われる。殿下が私を好きなのは周知の事実だったらしく…皆アレンより殿下を応援していたそう。誰か教えてくれても良かったのに。殿下が健気過ぎて誰も言えなかったらしい。
「本当にずっと好きだったんですね。」
「そう言ってるでしょ?これからもずっと愛してるよ。」
「私も愛してます。」
いつも手を繋いでくれるルシウス様と共に歩いていこう。
「リディア私の愛おしい人。ずっと一緒に居ようね。」
「はい。ずっとお側に居させてくださいね。」
アレンはその後もしばらく会いに来ていたが、その度にルシウス様が相手をしてくれていた。少しすると落ち着きあまり話しかけてこなくなった。




