王子様
「また見てるの?諦めれない?」
「無理かも。」
私が見つめる先にはいつも彼女が居た。まばゆいくらいに笑顔が可愛く、1人を想い続ける姿が健気で可愛い。彼を見つめる瞳で私を見てもえたら何だって出来るのに。誰よりも大事にするのに。
「リディア嬢おはよう。」
「殿下おはようございます。あ、アレン!」
失礼しますと早々に行ってしまう。私は彼女の1番にはなれない。入学式に初めて来た時から恋に落ちた。金色の髪に可愛いピンクの瞳。皆に笑いかける笑顔が可愛すぎて目が離せなかった。
すぐ彼女の想いを寄せる相手がわかってしまった。なのに彼は全く気づかない様で、私が欲しいモノを簡単に手に入れられるのにその姿に苛立った。毎日毎日彼女は彼に駆け寄り笑顔を向けていた。
「殿下見すぎだよ。バレバレすぎる。」
「本人は気づかないのにね。」
「殿下ならいくらでも手に入れる方法あるよね?」
「あの見つめる瞳が欲しいんだ。無理矢理手に入れたってアレは手に入らない。」
同級生の中や学園でも私の片思いは知れ渡っていた。それほど彼女をずっと見ていたんだ。ある日学園のベンチで落ち込む彼女を見かけた。
「どうしたの?」
「へ?殿下!!いえ…あの何でも無いです。」
「そんな訳ないよね。悲しい顔してるよ?」
「好きな人が居て…その人に好きな方が出来たそうなんです。」
「は?」
彼女から向けられる好意にも気づかず、別の女性に目がいくなんて愚かな。たまに見せる彼から彼女への僅かな愛情を感じていたからこそ幸せを願っていたのに。私にすればいいのに。誰よりも幸せにするのに。
「でも諦められなくて…側にいれるだけでいいなんて思ってしまって。」
「それはわかる。」
私だって諦められなくてこうやって友達を装っている。彼女にだけ諦めろなんて偉そうに説教なんか出来ない。
「わかりますか?嬉しい。皆諦めろ他を見ろって言うんです。殿下がわかってくれるなんて。やっぱり諦めないで頑張ります!」
自分で自分の首を絞めた気がする。どうしたら良かった?嬉しそうに笑う彼女が元気になって良かったのと後悔で苦しい。
「殿下なんで向こうに背中押すんですか…皆殿下を応援しているのに…勿体ない。」
「笑って欲しくて。」
ずっと付いてくれている側近のノアに呆れられてしまった。自分でも馬鹿だと思うよ。アレンが王宮を目指すならと彼女も目指すようになっていた。一緒に働けるならと思い私も沢山勉強を教えた。合格を嬉しそうにアレンと笑い合う姿に憎らしくも思った。
「殿下書類届けに来ました。」
「リディア嬢どうした?」
「え?何がですか?」
王宮に入り数年した頃ある日執務室に現れたリディア嬢の様子が変だった。
「昨日やっぱり私じゃダメなんだって思わされまして。そろそろ諦めないといけないのかなって。」
え?本当に?私なら君以外見ないから私にしてよ。つけ入る隙を与えたアレンが悪いんだからね?私はずっと我慢したんだ。馬鹿なアレン。居なくなってきっと彼女の大切さに気づくのだろうね。
泣くリディア嬢をずっと抱きしめる。触ることが許されなかった彼女が腕の中にいる。私は泣きそうなくらい嬉しかった。絶対私のモノにする。ずっと寄り添い落ち着くまで待つ。
「ずっと好きなんだ。」
私はついに数年来の気持ちを彼女に告げる。
「まずは私を知って欲しいな。頑張って友達をしてきたけど、これからはリディアを全力で口説いていくね。」
少し攻めていくと潤んだ瞳で戸惑いながら私を見つめている。あぁ彼女の視界に入っている。それだけで喜んでしまう自分が悲しい。
すぐデートに誘い手紙を書いた。長年の気持ちが抑えられなくて長文になってしまったが伝えたい。蓋をし続けた私の想いを。
「殿下嬉しそうですね?いい事ありました?」
「ノア!彼女がついに彼を諦めると。」
「え!?本当ですか?死ぬまで無理かと諦めかけてました。やっと殿下に婚約者が。頑張ってください!」
「ありがとう。明日デートなんだ。好きになってもらえる様に頑張るよ。」
翌日迎えに行くと可愛らしいワンピースを着た彼女が待っていた。私のために着飾ってくれたかと思うととても心が躍った。嬉しい。早く好きになって。たまに私を見る瞳が愛情がこもってきているのがわかる。欲しかったモノがもうすぐで手に入る。離すつもりは無いけどココで焦るのは危険だと落ち着かせる。
「まだ時間かかるかも知れないけど、少し待ってくれますか?」
いくらでも待つよ。だからあの瞳で私を見てね?長年の想いが報われそうで浮かれきっていた。次の日彼と話しているのを見かけ戸惑う。やはり彼がいいのだろうか?彼が縋り彼女が嫌そうな顔をしている。あ、大丈夫だ。
「私のだから。」
アレンが今さら悔しそうにしているが、手元にあったのを手放したのは君だよ?彼女を連れて行くと好きだと言われた。最初意味が分からなかった。
ふいに届いた言葉に泣きそうになる。可愛く笑う彼女に気持ちが抑えられなくて沢山口付けをしてしまった。部屋に運びノアにお願いし婚約の手続きを進めてもらう。
「殿下良かったですね。」
ノアや沢山の学園出身の人達が祝いの言葉をくれる。諦めなくて良かった。私の名前を呼び見つめる瞳を手に入れた。何よりも欲しかった君がいる。誰よりも幸せにするからね。
「リディア大好きだよ」




