デート
「本当に来た…。」
「殿下からお手紙なの?!」
家に帰るとルシウス様から手紙が来ていた。お母様にはキラキラした目で見られるし、お父様にはまさかって顔で見られた。
「用事あるだけだから!」
「リディアちゃん殿下と親しいの?同級生だったわよね?まさか…!」
「用事!用事だから!」
「殿下なら…もうリディアも22才だからそろそろ覚悟しないといけないね。」
お母様もお父様も話を聞かない。確かに好きって言われたけど…言われたよね。好きって…。
「あらあらリディアちゃん。可愛い顔をしてー。早くお手紙読んで返事しないとね。」
「お母様…違うから。恥ずかしい。」
2人に見送られ部屋に向かう。本当にすぐ手紙をくれるなんて。ルシウス様ってずっと婚約者居ないよね?学園の時に想い人がいるって噂あった気がするな。え?私って事?きっと違うはず…。手紙を開くと私への甘い言葉が溢れていた。先に進めない…恥ずかしすぎるんだが。チラッと見るが恥ずかしい!!
「リディア様何してるんですか?」
「あ、ミナ…。手紙が恥ずかしくて先に進めないの…。」
「は?何言ってるのですか?代わりに読みましょうか?」
ピラっと紙をめくって見せるとミナが気まずそうに目をそらす。目元を手で覆い真っ赤になっている。
「なんですかこの手紙。愛の台詞集ですか?」
「ルシウス様…殿下からの手紙よ。お出かけする約束をしたから手紙をくれたのだけど進めなくて。」
「薄目で見て約束の箇所まで飛ばし見するってどうですか?」
「そうしましょう。」
薄目で進めるがずっと甘い…くっ無理!!ミナが入れ替わり途中から探してくれる。何これ。
「あ!リディア様ここです!ありました。」
「最後の2行?」
まさかの紙2枚の最後2行だなんて…明日出かけようって。明日?!!
「ミナどうしよう?!明日だって!」
「え?明日ですか?お洋服どうしますか?」
「えぇーっと手紙には森へピクニックって書いてあるからワンピースにしましょう。この前買ったのにしようかな。」
「そうしましょう。リディア様初めてのデートですからね!腕によりをかけて飾り立てますね。」
「いやいや…違うから。」
「こんなに想われているのにですか?あの殿下にですよ?あの!ですよ?」
「わかるけど…」
ルシウス殿下といえば社交界でも令嬢達が取り合い、どの貴族も目をかけられようと必死になる。令嬢達の誰にも靡かず笑顔でかわしまくり難攻不落とされている御方だ。そんな人が私を好きとかある?騙されてるんじゃないのか。
「明日楽しみですね。」
「ミナはどう思う?本当だと思う?」
「あの手紙を見て嘘だと思わないです。真実で無くあれを書けるなら、殿下はとんでもない愛を語る詩人になれますよ。」
「あれ全部読まないとダメかな?」
「殿下からなので読んだほうが良いかと…なかなか辛そうですが。」
先に明日の返事を返した。そして向き合い1行ずつ読んでは悶絶してを繰り返し最後まで辿り着いたのは明け方だった。お出かけの予定なのに…私行けるかな?ルシウス様の愛が重すぎるかもしれない。私は倒れるように眠りについた。
「リディアおはよう。いつも可愛いけど今日はさらに可愛いね。おめかししてくれたの?妖精かと思ったよ。」
手を取り指先に口付けをされる。朝から全力で来るの?私1日この人とやっていけるだろうか。
「今日はどちらに行くのですが?」
「森がこの季節花が咲いて綺麗なんだ。一緒に見ようかと思って。さぁ行こう!」
豪華絢爛な馬車に乗せられ森へと向かう。普段着のはずであるルシウス様は、シャツ姿が爽やかで格好良すぎる。今までアレンだけを見ていたから他の人を見るのが不思議な気持ちだわ。
「ん?どうかした?」
「いや…ルシウス様格好良いなって思って。」
「ちょっと待って…」
顔を手で覆い俯いてしまう。何?え?私変な事言った?よく見ると耳が真っ赤になっている。照れてるの?
「ルシウス様まさか照れてます?」
「それは好きな相手から格好良いとか言われたら…不意打ちだったし。」
「あんな情熱的な手紙をくれるのに意外ですね。」
「何年もリディアの視界に入れなかった男なんてこんなものだよ。私を見てもらえて嬉しいよ。」
確かに。ずっと同級生で一緒に過ごしたのにあまり思った事無かったな。ずっとアレンが居たからどれだけ周りを見てなかったか反省させられる。
「あのルシウス様はいつから…」
「好きかって?」
「あ、うん。聞いてみたくて。」
「一目惚れだよ。入学式で見て可愛いなって。毎日見て癒やされてる内に本当良い子で、アレンに向ける目を私に向けて欲しいってずっと思ってた。」
「え?入学式?」
「うん。諦めきれなかった。でもアレンを見てるリディアの幸せも祈ってた。泣いてほしくないな、でも私なら幸せに出来るのになって。好きだって言うのにまさか22才までかかるなんて思わなかったよ。」
「…6年?」
そうだねって笑っている。まさか過ぎる。そんなに長い間想ってくれていたなんて。
「気付かなくてゴメンなさい。」
「私が臆病だっただけだよ。言って友達ですら無くなるのが怖かったんだ。何かあった時守れないのは嫌だからさ。今回すぐ気づけて良かったよ。」
「昨日はありがとう。」
「全然。むしろ私の得でしか無いよね。昨日はよく眠れた?大丈夫?」
「昨日はあまり寝れなかった。」
「…そうだよね。」
「ルシウス様の手紙のせいだよ…。」
「え?私??アレンじゃなく?」
一瞬暗い顔になりかけたルシウス様は目を見開き驚いている。あの手紙を書いた人とは思えない。
「手紙が読むの恥ずかしくて…時間がかかって…。ルシウス様に好きって言われた事で、アレンの事昨日すっかり忘れてたよ。」
「…リディア抱きしめていい?」
「何で?!」
向かいに座っていたルシウス様が隣に座り抱きしめられる。また抱きしめながら肩に頭を乗せてくるから、くすぐったいと思いながら撫でてみる。ルシウス様はビクッとして動かなくなる。
「リディアは私の理性を試してる?」
「は?何故?」
「ズルいよね。」
手は腰を抱き肩に頭を乗せたまま話しかけられる。やはりくすぐったい。何故かわからないが拗ねているようだ。
「リディアに触りたいけど嫌われたくない。どうしたらいい?」
「へ?触ってるよね?ルシウス様の事嫌いにはならないですよ。学生時代から優しくて大好きですよ。」
「はぁ…本当ズルい。」
昨日から割りと触ってますよね?この人は何を言っているのだろうか。と思った瞬間頬に柔らかいものが触れる。え?




