振られる
「じゃあ私と付き合う?」
「え?リディアごめん。俺はハナじゃないとダメなんだ。」
「冗談だよ!私がアレンと付き合うわけないじゃない!」
「そうだよな。慰めてくれただけなのにごめん。」
嘘。昔から好きだった。アレンとは幼なじみでずっと好きで好きで、周りには愛想が無くても私には優しかったからいつか私とって思っていた。学園に入り過ごしていたある日アレンから好きな人が出来たと告げられ呆然とした。告白の出来ないアレンを卒業後何年も見守っていたが、アレンはずっと諦めなかった。そして愛しのハナちゃんが男と歩いていたと落ち込むアレンを飲みに誘った。そして軽口を装い付き合う?と言ってみたけど、アレンのハナちゃんへの愛を見せつけられただけだった。
「リディアは結婚しないの?」
「あぁ…相手いないし、まだまだ仕事したいからね!」
「良い奴なのに何で相手出来ないのかね。不思議だよ。俺は早くハナちゃんと結婚したい…」
「まずは告白からだよね?何年言ってるのよ。」
「出来たら苦労しないよー。」
まぁ頑張ってと慰め会を解散した。なんで…どうして私じゃダメなのかな?ずっとアレンが好きなのに。10歳から想い続けて12年…もう22才になってしまった。そろそろ諦めないといけないのかな。涙が溢れそうになる。
「明日も仕事だから寝よう…ツライな。」
学園を卒業後に私は王宮で働いている。アレンが目指していたのもあって、ずっと一緒にいれると安易に考えたのが良くなかった。見込みが全くない今会いたくない。明日会うのが嫌だな…あぁ明日殿下に会わないとと思いながら眠りについた。
「リディア嬢どうした?」
「え?何がですか?」
「いや、何かあった?落ち込んでるよね?」
「あぁ…いや。」
学園の同級生であるルシウス殿下はいつも私の変化に気づいてくれる。銀髪碧眼で甘い顔をしている殿下は皆に優しく気遣いのできる人だ。同級生皆…いや国民皆大好きだ。
「アレン?」
「え…はい。昨日やっぱり私じゃダメなんだって思わされまして。そろそろ諦めないといけないのかなって。」
「リディア嬢…」
スッと殿下は私に近付き頬に手を添え、指で涙を拭ってくれる。気づかない内に私は涙が出ていたみたい。
「君がずっとアレンを好きなのは知っているよ。悲しくないはずが無い。泣いていいよ。」
ギュッと抱きしめられられ私は涙腺が崩壊してしまった。悲しい。何故私じゃない?ハナちゃんより私を見て欲しかった。ずっと一緒に居たかった。殿下は泣き喚く私を抱きしめたまま、そうだねと優しく話を聞いてくれた。
「落ち着いた?」
どれくらい時間がたったのだろう?殿下はずっと背中を撫でてくれていた。温かい腕の中で安心出来る。え?腕の中?
「殿下!ごめんなさい!私ずっとくっついたままで…仕事もあるのに迷惑を…」
「大丈夫だよ。リディア嬢にされて迷惑な事など何1つとして無いから。目真っ赤だね。」
ふふっ可愛いってまた指で優しく目元を拭ってくれる。恥ずかしい。殿下に腰を抱かれ頭を撫でられている。冷静になるとこの距離感おかしいよね?離れようとしても腰を抱く腕に力が入り離してくれない。
「あの…離れたいです。」
「ん?嫌?」
「嫌とかでなくおかしいですよね?誰かに見られたら誤解されますよ。」
「うん。ダメなの?」
「いやいや…殿下が困るでしょう?私なんかと恋仲とか言われちゃうんですよ?」
「なんで?私は困らないよ?リディア嬢は私とは嫌?」
「え?嫌とかじゃない…って話ループしてますよね?」
楽しそうにわらっている…殿下が変だ。今まで程良い距離感があったはずなのに、今日は何故か詰め寄ってくる。私の肩に殿下の頭が乗せられる。サラサラな髪がくすぐったい。
「私はねずっとリディア嬢が好きなんだ。アレンが好きなのはわかっていたから見守ろうって。でももし諦めるような時が来たら、必ず私のものにするって決めてたんだ。」
「え?…えぇ?!!え?私を?殿下が?」
「リディア嬢は私を優しいって言ってくれるけど君だけだよ?私は好きでも無い人に優しくなんかしない。リディア嬢好きだよ。」
「あの…私はアレンが…」
「うん。知ってる。でも諦めようとしたよね?それなら私の想いを知って考えて欲しい。一生大事にするから。」
えぇぇぇ…まさか殿下が?!全く知らなかった。出会った時から優しくていつも声をかけてくれていた。本当に?何で私?
「でも私…」
「まずは私を知って欲しいな。頑張って友達をしてきたけど、これからはリディアを全力で口説いていくね。」
「え…名前…」
「呼び捨てしてるアレンがずっと羨ましかったんだ。リディアも名前で呼んでよ?」
「…ルシウス殿下。」
「殿下はいらないよ。リディアお願い。」
「ルシウス様?」
様もいらないけど今は我慢するねって髪を触りながら微笑む。眩しすぎる。こんな整った顔に間近で微笑まれて照れない令嬢はいないよ…。
「今度デートしよう?」
「へ?デート?」
「うん。あ、そろそろ仕事行かないと怒られちゃうね。一応私のところで打ち合わせしてるって連絡させてるから。手紙書くね。デート楽しみにしてる。またね。」
あっという間に部屋から出されてしまう。え?本当に?いつから?ふいに抱きしめられていた事を思い出し顔が真っ赤になる。ルシウス様良い匂いしたし温かかったな…って違う!!仕事仕事!気を引き締め職場へと向かった。




