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超越お姉さんに愛を伝えたい。  作者: 鳥木野 望


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14話 冒険者試験


次の日、僕は少しの緊張感を抱きながら冒険者組合に入ってきた。先日訪れた時と変わらず他の利用者や受付にならぶ冒険者の姿は見えなかった。僕は受付に居た壮年の女性に一言告げて、案内の通り、二階の試験会場に向かい、試験を受けた。その後少しの休憩を経て、実技試験の会場の郊外の冒険者組合所有の広い空き地に移動した。

「それでは実技試験を行います。今回の試験は私…ルナとの模擬戦です。使用する武器は刃を潰してある剣になります。受験者からかなり頻繁に陳述が行われるのであらかじめ断っておきますが、使用する武器種の変更は認められません。祝福により多少の有利不利はあると思いますが、私は元挑戦者です。それも含めて本当の基礎の強さを見抜くことが出来ますので安心してください。」

そう話すのは先ほどの筆記試験も担当してくれた試験官の女性だった。黒髪の長髪で後ろでポニーテイルにしている美しく冷たい雰囲気の人で立ち振る舞いも芯がブレずに明らかにただ物じゃない雰囲気を醸し出していた。元挑戦者、この単語で納得した。彼女はおそらく世界でも指折りの実力者で先ほどの話の通り正しく評価をしてくれるだろう。

「はい。分かりました。認められるように頑張ります。」

僕は彼女から受け取った剣を構える。少しだけ重く粗雑に石でも使って刃を潰したのだろう重心も無茶苦茶で嫌な気がしたが、獲物を選り好みするような三流に思われたくなくて出来るだけ顔に出さないように心掛け全身に意識を巡らせ戦闘態勢に入った。

「ではどうぞ、打ち込んできてください」

僕は一気呵成に飛び込み剣を上段から斜めに切り下ろした、カンッ、僕の全身の力を使った大上段からの振り下ろしはたやすく受け止められた。

僕は直ぐに一気に身体を押し込み相手の重心が乱れた瞬間に剣をはじき上げ、距離を少し開けた。

「ふむ、基礎は出来ているな。祝福のおかげか膂力もその体格とは似つかわしくないほど強力。競り合いからわざと私が重心を崩した時も不用意に追撃せずに距離を取った。強者との戦い方は十分。大上段からの振り下ろしは隙が多くなるため体格や経験の勝る相手に対しては対人戦闘として愚かな選択だが、これなら開拓地での怪物駆除にも問題ないだろう。合格だ。」

「え、もういいのですか?まだ一合しか打ち合ってないのですが?」

彼女は既に剣を下ろして歩き始めていたので僕は直ぐに追いかけ合格の意図を問うた。

「もちろんだ。冒険者の実技試験は試験官の完全に裁量に依存している。つまり試験官によって合格難易度がかなり違うのだよ。運が良かったな、私みたいな元挑戦者が試験官で。」

なるほど、確かに試験内容も試験官によってかなりの違いがあるとは聞いていたし、昨夜イメージトレーニングまでして、身構えていたのも難易度の高い試験への警戒からだった。

しかし、少しだけ肩透かしの感覚も否めないけど、贅沢は言えないだろう。僕は気を取り直して試験官の後を追い冒険者組合に戻った。

「受験お疲れさまでした。筆記試験の結果は既に出ています。ルナさん実技の合否は出ましたか?」

「ああ、合格だ。」

「ええ!?本当ですか?」

受付の若い女性は驚愕していた。きっと僕の体格と年齢を考えて実技で失格になると予想していたのだろう。僕は少しだけ誇らしい気持ちになった。試験を担当してくれたルナさんは颯爽と立ち去って行った。僕は未だに呆気に取られている受付嬢に声を掛けた。

「ああ!ごめんなさい少し驚いてしまいまして。筆記試験の方も満点合格ですので、これにて正式に冒険者となります。おめでとうございます。」

どうやら筆記は手ごたえ通りに結果が出たらしい。僕はほっと胸をなでおろした。

「それにしても凄いですね、まさかルナさんの担当した実技試験に合格するなんて。今までルナさんの試験に合格した人はあまり多くありません。それに間違いなく最年少合格ですよ。私はあまり分かりませんがきっと逸材ですね。」

「あ、ありがとうございます。精進します。」

「はいっ!それではこちら冒険証です。遺物ですのでイアルージュ様の個人情報が保管されることになります。例えば祝福の内容や一般依頼の完了件数、開拓地での功績又は開拓地への遠征回数が記録されています。こちらは普段は誰にも閲覧できない暗号化された情報ですが、冒険者組合は必要に応じてそれらの情報を閲覧、収集することが可能です。必要な場合は以下の通りです、挑戦者資格の申請、脱退に際しての退職金の見積もりです。また、開拓地遠征では異形の討伐数と開拓地での活動記録・情報の提供、その他、稀に見つかる遺物の返還で特別報酬となっています。異形討伐だけでも一体につき一万イエン、危険度に応じて報酬は増額され、最大で百満イエンの報酬になります。未踏破開拓地の活動記録、情報の提供ではその内容に応じて報酬が支払われますが、これは明確に査定の基準は発表しておりません。これらすべての報酬の受け渡しはこちらの冒険者組合カウンターでの受け渡しとなっております。」

僕は説明を聞き終え、渡された青い板を受け取った。受け取った瞬間に指先に静電気が走った。

人の石板・汎用改造済み。元来人の情報の全てを抽出する機能であったが、人の手により改造され、この石板での情報の抽出は限定されている。また暗号化され情報を引き出すには解読が前提条件になる。以下に石板の暗号化プロセス・・・。

頭の中に遺物の情報がアナウンスされた。これが祝福の歪み遣いの力になるのだろう。まさか改造された遺物の詳細まで分かるとは思わなかったけれど、意識すると何回でもアナウンスが繰り返されるので、遺物に関しては便利な力になるだろう。

「イアルージュさんはこれから冒険者としてはどのように活動するおつもりですか?」

「とりあえず、初めての開拓地はフォーニンの森に向かってみようと思います。」

「なるほど、それでしたら中央の窓口で遠征申請が可能です。ご武運をお祈りしています。また何か分からないことがありましたら気軽に訪ねてくださいね」

僕は丁寧にお礼をして中央窓口で申請用紙を受け取り、宿に戻った。申請用紙の項目は至ってシンプルでその場で記入して出すことも出来たのだが、昼時になってお腹が空いたのだ。どうせ申請用紙は出すだけで特に精査されるものでもない。極端な話、出立の当日の朝に出したっていいのだ。


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