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二人がとりあえず、大判の布を体に巻きつけたまま悩んでいると、再び女性たちが入ってきた。
一瞬硬直していた二人は、あわてて背後にアーシュラの武器を隠した。
「着方がわかりませんか?」
とっさにエレノアは、首を前にぶんぶんと振った。
「あたしを見本に着付けてください、そうしたら、彼女もまねすると思います」
とっさにでっち上げたいい訳だが、女性たちはあっさりと信じた。
それには、エレノアたちが着ていたジャンプスーツが、彼女たちの常識と相反する衣装だったからかもしれない。
といっても、紐で固定する方式のパンツぐらいが抵抗のある衣類で。後はスリップ状の衣類を頭からかぶって。その上から羽織る形式の上着を着てボタンを留めるぐらいだった。
拍子抜けするくらい簡単だった。
しかし、アーシュラはじりじりといやな汗をかいている。
背後の武器類を何とかごまかしたいのだ。
「わかりました、一人で着替えられますので」
手伝おうとする女を何とか押しとどめた。
そして再び女たちに出て行ってもらい、アーシュラは大きく息を吐いた。やっと落ち着いて着替えることができる。
そして早速衣類を検分し始めた。
たっぷりと布を使った上着なら、ちょっと細工をすれば、ジャケットの中身を移せそうだと目星をつける。
携帯用小道具の入った袋にはフックがついていた。そのフックを上着にくっつける。
布は案外丈夫だったのでそれで十分だった。
それだけを済ますと、アーシュラはすぐさま着替えを済ませた。
エレノアが着ていたポリスジャケットは銀色に紺のストライプが入ったものだった。しかし今来ているものは、エレノアが濃い濃紺の踝まである上着を着て、アーシュラの分がモスグリーンの踝まである上着だった。先ほどまで来ていた服と色の濃さが逆になっている。
ゆったりとした仕立てなので、ほぼフリーサイズだとエレノアは思った。
エレノアも一つだけ銃を持ってきていた。
その従を服からたれた適当な紐に結びつける。
おそらくその紐は、あまりに着ている者が細すぎた場合に補正用に使われるものだろう。
二人はそろそろと扉を開けた。
女性たちは、アーシュラの方あたりを引っ張ったりする。
そのしぐさに悲鳴を上げそうになるのをようやくこらえた。
背後では、アーシュラの脱いできた服を興味深そうにいじっている女たちがいる。
「あの、あの服も持って行っちゃだめ」
恐る恐るお伺いを立てる。なんといってもあれは、一応支給品の制服だ。むやみやたらと紛失していいものではない。
エレノアの公務員魂で、そう頼み込んだ。
銀色の布地を未練がましそうに撫でながら、それでも女たちはエレノアたちに服を返してくれた。
「洗濯しないでいいんですか」
言われて、エレノアは戸惑う。洗濯の意味がわからなかったのだ。
ジャケットなどの耐久衣類は防汚処置がされている。肌着類は、脱いだらそのまま処置箱に入れておけば再び、再生肌着になる。
エレノアにとって衣類とはその二種類だけで、それに洗濯は付随しない。
彼女らにとって常識と思われるその単語を問うのもどうも気が進まない。
とにかく、女性たちから離れた。
衣装を変えた二人をここまで送ってきた男たちが待ち構えていた。
そして今度は荷車と違って、箱型の馬車が用意されていた。
扉を開けて中に入ればちゃんとした座席が用意されている。
二人は黙ってそれに乗り込んだ。
窓はついていたが、小さな明り取りだけ、こちらから覗き込むことも外から覗かれることもできないようになっていた。




