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 先ほどの女性達は、二人の基準からするとずいぶんゆったりとした衣装をまとっていた。

 そして、着替えろということなのだろう。部屋の隅に似たような衣装がたたんでおいてあった。

「軽く汚れを落とすくらいなら、二人同時に入ればいいのよ」

 アーシュラが提案する。

 更衣室では何度も見たし見られたものだからと二人は同時に服を脱いだ。

 アーシュラはジャケットの中の銃器類を慎重に出す。

「アーシュラ、なんて物を持ってるのよ」

「しょうがないでしょ、丸腰じゃ落ち着かないのよ」

 ジャケットの袖に仕込まれた細身のナイフを見て、改めてエレノアの首筋が逆立った。

 うっかり忘れていたが、喉を赤く染めて倒れていた男を思い出してしまったのだ。

 それはあのナイフで行われたもので。

 アーシュラは無造作にナイフを手の届く場所に置いた。

 下着も身につけずに二人並んで桶に入る。

 二人で座って入るのがやっとだが、気にするつもりはなかった。

 「これなんだろ」

 アーシュラが桶の脇においてあった黄ばんだ白いものを弄ぶ。

 手のひらに入るほどの小さなものだ。

「なんだかわからないなら触らないほうがいいんじゃない」

 それを元の場所に戻すとアーシュラは手をこすり合わせた。

「なんか手がぬるぬるする」

 見るとアーシュラの掌が白い泡で覆われていた。

 適当にお湯で全身を洗うと、二人は先ほどの女性たちがおいていった布を使って軽く身体をぬぐう。

「さて、どうしようか」

 部屋の隅においてある着替えを着たものか、もともと着ていた服をもう一度着るか二人は顔を見合わせる。

 アーシュラは、ジャケットの中に仕込んである。さまざまな道具を取り出して、たたんでおいてある衣類の中にどうやってか収められないか検討していた。

「アーシュラ、全部持っていく必要があるものなの」

「あるに決まっているでしょ」

 アーシュラは犯罪者だ、犯罪者は逃げるのがもうひとつの仕事で、だから必要最低限のものをすべて収容できるジャケットは生活必需品なのだろう。

「ていうか、どうしてエレノアは何も持ってないのよ」

「装備一式あそこにおいてきたのよ」

 エレノアは、うっかり支給品すべてをボディソーサーに積み込んだまま忘れてきてしまった。

「まぬけな」

 アーシュラのあきれ返った声が聞こえる。しかし気を取り直したアーシュラがエレノアに笑いかけた。

「さっきは助かったかも」

 アーシュラは呟く。

「だってあんまりこの中身人目にさらしたくないし、エレノアが先に言ってくれて本当に助かった」

 自分が言ったらなんとなくわざとらしい感じになるんじゃないかと少しだけ危惧していたアーシュラの本音だったがエレノアにどこまで通じたのか。

「別にあなたのためにしたわけじゃ、というか、それ私の目の前で広げていいの」

「まあ、いいよ、どうせ予測してたでしょ」

 その通りなのでエレノアは何も言えなかった。

「やっぱりあれに着替えることを望まれているわね」

「下にあれを着てジャケットだけ羽織ってたら」

 思わずエレノアも提案してしまう。

「寒いからとか言って、体感温度なんて人それぞれだしね」

 アーシュラの手元に武器があるかどうかが、エレノアの今後にもかかわってきそうな気がしたせいだ。

 装備はあればあるほどいい。おそらくこの先調達はほぼ不可能だと確信できた。

「とにかくどうしよう」

 二人は、服をつかんだまま悩んだ。



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