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周囲の様子から、いつの間にか市街地と呼ばれるであろう場所に入ったことを二人は悟った。
かすかなざわめきと、喧騒が聞こえてきたのだ。すでに耳についてしまった荷車のきしむ音もそれを消すことはできない。
毛布越しのかすかな明かり、それ以外のものに二人は少し飢えていた。
再び喧騒が遠くなる。荷車のきしむ以外の大きな音が聞こえた。
いきなり毛布が剥ぎ取られ、二人はまぶしさに目を細めた。
そして周囲を見回す。
いつの間にか建物の中に入っていた。
正確には高い塀に囲まれた建物の敷地内に。
そこで二人は荷馬車から降ろされ、建物の中に入るよう指示をされた。
毛布をかけられる直前に見た建物を思い出してみる。あれよりだいぶ大きくて立派なような気がする。
あくまで気がするだ。二人の常識では測れない建築方式だったので。
金属ではなく木材で建物を作るなどありえることではなかった。
木材以外の建材もまったく知らないものだった。
二人はレンガというものを知らなかった。見たこともなかったから。
家の外壁を難しい顔で睨んでいる二人を男達は無理やり引っ張って室内に入れる。
そこには長い黒髪の女性が三人並んで待っていた。
そしてひとりが連れてきた男性に出て行くよう指示を出す。
女性の陰に隠れて、人一人は入れそうな桶がおいてあった。
一人は大判の布を抱えている。
アーシュラはかすかな湿気を感じた。
「服を脱いで、この中に入ってください」
そういわれて桶の中を見下ろせば、なみなみとお湯が入っている。
二人は顔を見合わせた。
どうやら服を脱いで、この中に入れといわれたことに気づいた。
たっぷりの水に疲れといわれて二人は仰天した。しかし、女たちは怪訝そうな目をして二人の様子を見ている。
そしてエレノアは先ほどいわれたもうひとつの問題に気がつく。この女たちの前で服を脱がなければならないのだ。
「お願いです、二人っきりにしてください」
とっさにエレノアが懇願した。
エレノアとしてはとっさに出たことだ。アーシュラならまだいい。学生時代はよくクラブハウスのシャワールームで一緒になったことがよくあったから。
しかし、初対面の女性達の前で入浴するなど神経が耐えられない。
シャワーブースで見知らぬ人間と相席になるのとはわけが違う。
自分が入浴している姿を三人の女性がその脇で服を着たまま見守るのだ。
だめだ絶対に耐えられない。
エレノアの引きつった顔を見て、女性たちはそれぞれ顔を見合わせた。
そして未練がましい目でエレノアの光る髪を見ていた。
「入浴がお済でしたら、ドアをたたいてください。それとお手洗いはあちらです」
そう言って、部屋の隅を指す。
二人はありがたく使わせてもらうことにした。
次回も入浴シーンが続きます。




