↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
3/4

エピソード3 初対面?

校門に近づいた、そのときだった。


「みっずき〜! おはよう〜!!」


 突然、元気いっぱいの声が響き渡った。


「……えっ?」


 声のした方を振り向くと、一人の女性がこちらに向かって駆け寄ってくる。


 茶色のボブカットに、目元のほくろが印象的な女性だった。身長は百六十センチほどで、女性としてはやや高めだろうか。水色のトップスに白いスカートという清楚な服装が、彼女の明るい雰囲気によく似合っている。


 女性は、目の前まで来ると、にっこりと笑った。


「おはよ、みずき!」


 どうやら、彼女は自分に話しかけているらしい。


 しかし、少女には心当たりがなかった。


「あの……私に話しかけてくださっているのでしょうか?」


「そうに決まってるじゃん!」


 女性は即答した。


「ってか、何そのしゃべり方! お姫様モードってやつ? あははっ!」


 からからと笑う女性を前に、少女は困ったように首を傾げた。


 ――お姫様?


 なぜ、そのようなことを言われたのだろう。


 自分では普通に話しているつもりなのだが……。


 そこで、少女ははっとした。


 ――そうでしたわ!


 先ほど、不思議な板に表示されていた文章。


 そこには、確かに『みずき』と書かれていた。


 つまり、今の自分の名前は、みずきということなのだろう。


 ひとまず、そう考えることにした。


「は、はい! 私は、みずきです!」


「……いや、何その返事!?」


 女性が目を丸くした。


「初対面の挨拶みたいになってるじゃん! もう大学入って一年たつよ!?」


「い、一年……?」


 少女は思わず固まった。


 どうやら、自分は大学二年生らしい。


 しかし、そんなことを言われても、まったく記憶にない。


 そもそも、大学という場所が何なのかさえ、まだよく分かっていないのだ。


 少女は困惑を隠しながら、恐る恐る口を開いた。


「えっと……あなた、ですよね? その……この板に書き置きをしてくださったのは?」


「板!?」


 女性は一瞬きょとんとしたあと、吹き出した。


「ちょっと待って! スマホのこと!? 板って何!? あはははっ!」


 どうやら、よほど面白かったらしい。


 お腹を抱えて笑っている。


 少女は、自分の発言のどこがおかしかったのか分からず、ただ困ったように微笑んだ。


「それと、あなたって……。私の名前、忘れたの?」


 女性は笑いを収めると、少しだけ不満そうに頬を膨らませた。


「私の名前は、いつき! 金森伊月! 何度も一緒に授業受けてるでしょ!」


 ――なるほど。


 この方は、いつきさんというのですね。


 少女は心の中で、しっかりと名前を覚えた。


 金森伊月。


 これで一つ、分かったことが増えた。


「も、もちろん覚えていますよ! いつきさん!」


「さん付け!?」


 伊月は、再び声を上げた。


「いやいや、今日どうしたの!? いつもとキャラ違いすぎない!? まだ、お嬢様モード?」


「お、お嬢様……?」


 少女は、またしても首を傾げる。


 どうやら、この話し方は普通ではないらしい。


 けれど、だからといって、どう話せばいいのかも分からなかった。


 そもそも、今の自分にとっては、この話し方こそが自然なのだ。


「……まあ、いいや!」


 伊月は、ひとしきり笑ったあと、少女の手を取った。


「ほら! 教室行くよ! 一限に間に合わなくなる!」


「えっ? あ、あの、ちょっと……!」


「大丈夫、大丈夫! いつもの教室だから!」


 伊月はそう言って、少女をぐいぐいと引っ張っていく。


 少女は戸惑いながらも、その後をついていった。


 ――いつきさん。


 どうやら、この方は私のことをよく知っているようです。


 それならば、いろいろと教えていただけるかもしれません。


 少女は、少しだけ安心した。


 自分の名前らしきものが分かった。


 知り合いらしき人物にも会えた。


 分からないことばかりだった世界に、ようやく小さな手がかりが見つかったのだ。


 ……もっとも。


「ねえ、みずき! 今日ほんとにどうしたの? なんか変なものでも食べた?」


「へ、変なものですか!? いったい何を食べれば、そのようなことに!?」


「いや、そこ真面目に聞く!? あはははっ!」


 どうやら、前途多難であることに変わりはなさそうだった。

第三話です!

ついに友達登場です!ここから大学の中へ冒険です!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。