昔話(ある村人の話)
村人が犯した罪...その証言
古代インドに語り継がれる叙事詩【ラーマーヤナ】、ヴィシュヌ神の化身【ラーマ王子】の愛する【シーター妃】を奪還するために耗発した羅刹羅闍【魔王ラーヴァナ】との戦の末、羅刹の王が敗北者となり、王子と妃が運命の再会を果たした物語...
もしこの物語は何者かの筋書き(運命)によって定められたとしたら、それに抗えないだろうか?
時は現代日本、ある女子大学生【椎谷・蘭華】がラーマーヤナの物語(世界)に巻き込まれ、滅んだはずの羅刹の王との出会いで運命の歯車がついに再び動き出して、心を探す旅が始まった...ぶらりと...
私が見たもの...
私が関わった...関わってしまったものの全てを告発します。
あの夜何が起きたか...
だから私は先にごめんなさいと言うべきでした。
それは何に対する謝罪なのか...
私はただ見ただけ...
それでも謝りたいほど残酷なものを見ただけで何もしなかったという...自分への戒めかもしれません。
私は他の村人がした非道が止められなかった...
だからここで全てをお話しします。
それは...ある日突然訪れた出来事でした。
その日までに私が住んでいる村には豊作に恵まれて、村の皆は平和に暮らしてきました。
それは全て豊穣の巫女様がもたらしてくれた繁栄だと村の皆がとても感謝していました。
しかし、その巫女様が突然姿を消しました。
しかも...どういう訳か一人の村人である次郎左衛門まで姿を消しました。
混乱に陥った村はその事実が明らかにされないまま...同じ方向の考えを口を揃えてこう言い始めました。
「あれ...駆け落ちでしょうか?」
「いや!次郎左衛門の野郎...巫女様に親しいことを利用して、巫女様をたぶらかしてこの村から攫い出したに違いない!」
「でも...何のため?」
「そりゃ...巫女様の力の独占して、自分だけ儲かろうとしているのじゃ!」
「確かに...他の村に行ったら...いや、もっと大きな町に行ったら、誰にも巫女様の力が知らない場所ではアイツが思う通りにできるんだ。」
「許せん!アイツ...」
「この手でアイツを仕留めてみせる!」
「巫女様はこの村の皆のだ...独りよがりの野郎に絶対見つけてやる!」
村の皆の怒りと鬱憤がいつの間にか次郎左衛門に向けた憎悪に変わりました。
彼の行方を特定し、巫女様の奪還と共に彼に制裁を下してやろうとする者が集まって、捜索隊が結成された。
捜索じゃなくてただの探索であればよかったが、中には本当に次郎左衛門の命まで狙う者もいました。
私は、ただ駆り出されて...荷物持ち担当だけであって...次郎左衛門本人に恨みなんてありませんでした。
そもそもおかしいと思っているが、他の村人に楯突くことが怖かったし...これは村の意思であれば従うしかないと思っていました。
最初は次郎左衛門が行きそうな場所を思い当たるところまで行ってみたのだが、収穫がありませんでした。
しかし...捜索隊の人たちの執念が深く、諦めようとしませんでした。
そして、何回かの遠征を繰り返したある日...ついに次郎左衛門らしき人物の居場所が分かる人を見つけました。
しかし...目撃者の話だと、彼はただ毎日その町に来て、力仕事から人の手伝いまで何でも請け負って仕事をするとても真面目で好印象の青年だとその町の人々が言っていました。
もしかしたら...彼は村の皆が思うほど悪人じゃないかも...と思った私に対して、捜索隊の人たちは全く違う方向を考えていました。
「あの野郎...真面目に働いているふりをして、絶対何かを企んでいる!」
「もしかして...資金を集めて、もっと大きな町に行く計画を立てたんじゃ...」
「おのれ...どこまで悪人なのだ!」
...おかしくないのか?
もし皆が言う通りに次郎左衛門が巫女様の力を利用して、大儲けするなら...わざわざこの町で仕事をする必要がないのでは?
ある土地でも借りて、いっぱい作物をこの町で売り捌いたら結構お金になるのでは?
大体...聞いた話ではこの町からさえも遠いところから来たと言われたから...なぜそんな辺境で...
でもダメだった...誰にもそんな反対する考えを聞く耳を持ってくれませんでした。
私もそんなことを言う勇気を持っていませんでした...
そして、その町で潜伏した捜索隊は次郎左衛門の姿を捉えました。
すると...彼の帰路である道で待ち伏せをして、彼を拘束しました。
抵抗すると思ったが...彼はまるでこの結末が来るかのように大人しく拘束されて、巫女様がいる場所まで案内させられました。
たどり着く場所には辺境に建てた小さな家だった。
その家に向かって、捜索隊の誰かが叫んだ。
「巫女様!我々は悪人の次郎左衛門を捉えて、あなたの救出に参りました!」
「巫女様!私たちはこの者からあなたを解放いたします!」
そして、出てきたのは慌てた顔をした巫女様と思われる女性と...彼女が抱えているのは...あ、赤ちゃん!?
「安心して下さい!今からコイツに成敗いたします!」
「ジロウさん!!!」
彼女がこっちに向かって動きだそうとしたその瞬間...次郎左衛門が彼女にこう言った。
「鶴!私は十分幸せだ!君と出逢えて...君と過ごした時間はかけがえのない時間だ!俺たちの宝はよろしく頼む!」
と言ったのは彼の最後の言葉になりました。
ふりか刺した刃物が彼の背中を切り裂き、そこから血しぶきが吹き出し、その身体が倒れ込みました。
そして、彼の息が止まったことが確認できた人たちは巫女様の方に歩き出しました。
こんなの...酷すぎる...
事実を確かめもしないまま、人を殺めることができるとは非道のやり方だ。
しかし、止めに入りもしない私には相手を批判する資格があるだろうか...
私はそう思って、その場から動けませんでした。
しかし、迎えに行こうとした者たちの動きが止まりました。
よく見ると、巫女様が次郎左衛門の方に歩いてきました。
赤ん坊を抱えたままの彼女は悲鳴一つも上げませんできた。
その表情は悲しみでも怒りもなく...逆にいつも見たことがある優しい目の中には冷たい何かを感じました。
彼女は彼の遺体のそばに座り、その息のない体に手で触りました。
すると、彼の遺体は地から生えてきた木に覆われて、そこには立派な大樹になりました。
信じ難い光景を目の当たりにした私を含め、捜索隊の皆が慌てて土下座をし始めた。
それは神の力への恐怖なのかそれとも自分の行いに対する罪悪感なのか...分かりませんでした。
巫女様が発した次の言葉はとても優しく...と同時に残忍ささえも感じました。
「皆さん...では、村への帰りをご案内くださいませ」
それはこの村...椎谷村の人たちが犯した罪であり、後には豊穣の巫女の掟の元にもなりました。
例え直接に手を下さなくてもそれを止めなかった私も同罪でした。
罰当たりでもなんでも甘んじて受けるつもりでした。
しかし、私に課せられた罰はこの話を永遠に忘れないことでした。
例え私がこの世からいなくても私の子孫はこの話...そして、その事実への罪悪感を永遠に忘れない呪いがかかりました。
私の名前は...田中・勘平
ここで告げる...このような愚かで残酷なことが2度とないようにと私の子孫に託す。
どうか...忘れ勿れ
...
...
目が覚めた...
さっきは...眠る時にいつも見た光景...
夢ではなく、まるで自分はそこにいたかのような臨場感...
身体を起こしてみた。
そうか...さっきの戦いで気を失った...
痛みはまだ感じる。
取り逃がしたのは使用人失格だ。
「まだ痛そうたがら、動かない方がいいじゃけ。」
その声の主を見ると、そこにいたのは白髪と白い肌の少女だった。
「君は...」
「あ...俺はサトラ。これは俺の分身だ。本体は執務室にいる。」
「執務室...当主様と蘭華様は!?」
「大丈夫じゃけん...一番だいじょばないのはアンタだ。それで様子見に...」
「そうですか...ありがとうございます。」
「おい...無理にしなくてもいいのじゃ...もうみんな、その話知っているよ。」
「だからこそ行かねばなりません...」
「あ、そう...俺は医者じゃねーし、元気そうなら好きにすりゃいいよ...使用人さん...いや、田中勘治さんよ」
どうか...この物語には幸せな結末がありますように...
今回の感想↓
昔話シリーズ!
しかし!視点を変えまして、ある村人から語らせてもらいました!
その人はなんと!田中!あの田中!(どの田中だ?)
にしても重い!急に重い展開に!
恐ろしいですね
これは巫女様がいなくなるせいで呪いがかかったじゃない
スモールソーサイティという集団心理の影響で皆の思考が一つの方向にまとまって、しかも反対するのに勇気が必要だし、1人だと言いにくい環境!
特に残酷なことをするのはこういう混乱又は極限状態に陥るケースが多い。
これは他人事じゃありません。
皆様も...こういうときには気をつけましょうね(一応経験上で言っています)
ここで繋ぎ合わせてこんな展開になりましたが、いかがでしょうか?
もっとヤバい展開にしようと思いましたが、ここまでにしました。
では、話の核心に迫ってきます。
一体他の人の反応はどうなるか?
そ、れ、は...
もうどうなるかそれは次回の楽しみとしか言いません!
乞うご期待!
----------
改めて最後までお読みいただきありがとうございました。金剛永寿と申します。
こちらは「第11回ネット小説大賞」の一次選考通過作品です!
二次選考で選ばれませんでしたが、一次選考通過作品である事実は消えません。
だから今もこれからも胸を張って、誇りを持って言えます!
これを励みだと思って、前にもっと進みたいと思います。
今まで応援していただいた読者の皆様にはお礼を何回言っても足りません。
また、お陰様で...この作品は36000PVに達成しました!!!
本当にありがとうございます!
この作品を描き始めてあと少しで4年が経ちます。
それでもまだ読んでくれている読者がいる限り、やめるつもりがありません。
(もしかしたら、別の作品を書くこともあるかもしれませんが...並行にしたいです)
このような作者ですが、今後ともよろしくお願いいたします!
もうここまで来て、付き合ってくれた皆さんに御礼を申し上げます。
次回は誰を登場させるか...どのような物語と展開になるか...今後の展開もぜひお楽しみに!
この作品は古代インドの叙事詩「ラーマーヤナ」をベースにした輪廻転生系ローファンタジーフィクションです。
日本では三国志や西遊記よりかなりマイナーですが、南アジアから東南アジアまで広く親しまれる作品です。ぜひご興味ある方は原作にも読んでいただければと思います。
ご興味ある方はぜひ登場した気になる言葉をキーワードとして検索してみていただければと思います。
もし続きが気になって、ご興味があれば、ぜひ「ブックマーク」の追加、「☆☆☆☆☆」のご評価いただけるととても幸いです。レビューや感想も積極的に受け付けますので、なんでもどうぞ!
毎日更新とはお約束できませんが、毎週更新し続けるように奮闘していますので、お楽しみいただければ何より幸いです!
追伸:
実は別の作品も書いていますので、もしよろしければそちらもご一読ください!↓
有能なヒーラーは心の傷が癒せない~「鬱」という謎バステ付きのダンジョン案内人は元(今でも)戦える神官だった~
https://ncode.syosetu.com/n6239hm/
現代社会を匂わせる安全で健康な(訳がない)冒険の世界を描くハイファンタジーです。




